近年、BtoBBtoCいずれの分野においても「コミュニティマーケティング」という新たなマーケティング手法が注目されています。従来型の、一方通行の広告施策などとはまったく異なるこの手法。企業のマーケターで、「コミュニティマーケティングに関心を持っている」という方もいることでしょう。

そこで今回の記事ではコミュニティマーケティングの基礎知識、メリット、いま取り組むべき理由について解説します。

これから始める方へ「コミュニティ マーケティング超入門」

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これからコミュニティマーケティングを始める方におすすめ。コミュニティの考え方や設計方など最初に読んでおきたい資料です。

目次

  1. コミュニティマーケティングとは?
  2. なぜ今、コミュニティマーケティングへの取り組みが必要なのか?
  3. コミュニティマーケティングで実現できること
  4. コミュニティを作るための考え方
  5. コミュニティを運営するツール方
  6. コミュニティマーケティングとは、長期的に顧客との関係を深めていくもの

コミュニティマーケティングとは?

コミュニティマーケティングとは、ユーザーコミュニティを活用したマーケティング手法のことです。

コミュニティとは「共同体意識を持って行動する一定の集団」を指します。インターネット上においても、共通の関心を持ち、メッセージのやり取りを行う人々のグループをコミュニティと言います。

コミュニティをマーケティング活動、すなわち企業の経済活動を支える一手法として活用するわけですから、そこに集まる人々とは「企業」や「商品・サービス」を軸に集まった消費者たちです。

近年、BtoBBtoC企業いずれにおいても、この「コミュニティマーケティング」という手法への注目が高まっています。

なぜ今、コミュニティマーケティングへの取り組みが必要なのか?

企業のマーケティング活動には「テレビCM」「インターネット広告」など、他にもさまざまな手法が考えられます。その中で今、コミュニティマーケティングへの取り組みが必要な理由は、なぜなのでしょうか?

国内市場(人口)の縮小

マーケターとしてまず理解すべきは、国内人口の減少です。

総務省によれば、我が国の総人口は2004年をピークに、今後100年間で明治時代後半と同水準に戻っていくとされています。この変化は、千年単位で見ても前例のない、極めて急激な減少です。しかも、高齢化率は上昇の一途を辿り、来る2030年には3割を超えると推計されています。

つまり、生産年齢人口(いわゆる「現役世代」)に該当し積極的にモノを購買・消費する層はどんどん減少していくのです。

そんな中で企業が新たな価値を生み出し続け、成長し続けるためには、新規顧客の裾野を広げることよりも、一度接点を持った消費者一人あたりのLTVを上げていくことがカギとなります。

コミュニティマーケティングは、既存顧客の満足度最大化のための手段として注目されている、というわけです。

[参考]総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf

情報「砂の一粒」時代

現代社会は、かつてないほどの「情報爆発の時代」を迎えています。

次に示す[図1]は、世界のインターネットトラフィックの推移を示したものです。これを見ると、インターネット上の情報流通量が直近のわずか10年で「6倍」に増えたことが伺えます。

[図1]世界のインターネットトラフィックの推移
image1.png

出典:総務省 平成29年度情報通信白書

つまり、人々が普段の生活の中でWebページや動画、広告などを目にする量はどんどん増加する一方であり、その中で企業が新商品・サービスの情報を伝えようとしても、さながら「砂の一粒」(*1)といったところで、消費者に向けて正確に届けるのは至難の業です。

(*1)「自社の情報は、知らない人にとって砂の1粒と同じ」-佐藤尚之(さとなお)氏が「ファンを大事にするべき」と語る理由 #熱狂ブランドサミット2017
https://ferret-plus.com/8790?page=2

そんな中、企業が消費者に対して効果的にコミュニケーションを展開していく手法としてコミュニティマーケティングが注目されているのです。「特定の企業・商品・サービスに関心がある」という共同意識を持つコミュニティを構築し、その中でコミュニケーションを長期的に深めていくことで、消費者に情報を「自分ごと化」させることができるためです。

企業が顧客と深く対峙し、声を傾聴する重要性

情報爆発時代を迎えたと同時に、モノも溢れすぎている時代になっています。

企業が良いモノを作っても、良いモノであればあるほどすぐ他社に模倣され、すぐにコモディティ化・陳腐化し、「商品特性」だけで競合に勝とうとするのは難しい時代を迎えていると言えます。

消費者の立場では購買の選択肢が数多く存在しすぎて、どの企業の商品を選んだら良いか意思決定が難しい状態でもあります。

そんな中、競合に一歩抜きん出るためには、一度は接点を持った顧客の声を傾聴し、丁寧におもてなしをしていくことが重要になってきます。消費者の中に「この企業は、私のことをよく分かってくれている」という思いを醸成し、自社を選び続け、買い続けてくれる動機を育てていかなくてはなりません。

そこで、企業コミュニティを立ち上げて、消費者と深く向き合っていく取り組みが重要性を増しているのです。

コミュニティマーケティングで実現できること

それでは実際にコミュニティマーケティングによって実現できることを具体的に見ていきましょう。

①リサーチやユーザーインサイトの取得が格段に速く、手軽になる

コミュニティを立ち上げることでリサーチや、ユーザーインサイト取得が従来より格段にクイックで手軽になります。

例えば「商品・サービスの改善点」など、企業側からユーザーに対して何か問いかけたいことがあるとき、コミュニティのメンバーに問いかければすぐにレスポンスを得られるからです。

コミュニティが無い場合には、社外の調査会社などに依頼してWebアンケートや個別インタビュー、グループインタビューなどを実施することになります。この場合、自社商品・サービスの利用ユーザー選定から始まり、ヒアリング内容の設計、ユーザーに対する謝礼の用意、調査そのものの外部委託費用など、時間も金銭的なコストも大きくかかります。

一方、コミュニティを構築していれば、そもそも自社の商品・サービスに関心が高い消費者が既に揃っています。その人たちに問いを投げかけるだけで、積極的に意見を寄せてくれることが期待でき、外部調査会社に依頼するより期間もコストも短縮できます。また、寄せられる声の「質」の面でも、正直な声が集まりやすいこともポイントです。

例えば、「Yahoo!知恵袋」のような、他ユーザーからも見えるオープンな形式で問いを投げかける場合、ユーザー同士で会話・意見交換が展開して、その中からよりリアルなインサイトを得られるからです。さらに、同じターゲットに対して長期で継続的な問いを投げかけ、インサイトの変化を分析することも可能になります。これは、外部調査会社への依頼では実現が難しいことです。

このような側面から、コミュニティマーケティングはリサーチやユーザーインサイト取得に大いに有用だと言えます。

②ロイヤリティ向上、LTV向上、リファラル(友人紹介)増加

コミュニティマーケティングユーザーのロイヤリティ向上、LTV向上、リファラル増加にも大きく貢献します。

これはコミュニティの設計によるところが大きいとも言えますが、ユーザーがコミュニティに参加して発言・活動していく中で、商品・サービスについて愛着を深めていくことが期待できるためです。

<コミュニティ成長のイメージ>

STEP①商品・サービスを軸に情報交換を展開

コミュニティ上において、ユーザー同士で、あるいは企業の「中の人」も入り混じって、商品・サービスから派生した、生活・ビジネスに役立つ有用な情報交換を行う。(※食品メーカーのコミュニティであれば、商品を軸にした「おいしい食べ方」「楽しみ方」といった情報) 

STEP②インタラクティブな関係を醸成

商品・サービス周辺について、参加ユーザー同士、そして企業が双方向に意見交換を重ねていくことで、インタラクティブな関係が構築される。すると、企業とユーザーの距離が近づき、企業から消費者に対する一方的な「売り込み」のコミュニケーションではなくなる。その関係性の中で、ユーザーはコミュニティ経由で得た商品・サービス周りの情報を「自分ごと化」できるようになる。

STEP③ロイヤリティ・LTV・他者推奨意向の向上

ユーザーが商品・サービス周りの情報を「自分ごと化」して捉えるようになると、エンゲージメント向上が期待できる。企業と継続的な接点を保っていることで、次回の購買に向けたブランド好意・購入意向が高まる(ロイヤリティの向上)。すると、LTV向上、さらには、リファラル(友人紹介=他者推奨意向の向上)も期待できるようになる。
 
コミュニティマーケティングによって実現できることは、ここで述べている項目以外に、まだ他にも存在します。詳細は無料のダウンロード資料「コミュニティマーケティング超入門」で解説しています。

これから始める方へ「コミュニティ マーケティング超入門」

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コミュニティを作るための考え方

前項で、コミュニティマーケティングが軌道に乗ればさまざまなメリットを得られることを述べました。しかし、その状態に辿り着くためにはコミュニティ作りの考え方が間違っていては上手くいきません。そこでここからは、コミュニティを作るために押さえておくべき考え方をお伝えします。

①「何のために集まっているコミュニティなのか」設計をしっかりとする

まず、「何のために集まっているコミュニティなのか」設計をしっかりとすることが、コミュニティがうまくワークするための最も重要な土台となります。

冒頭で、そもそもコミュニティとは「共同体意識を持って行動する一定の集団」だと述べました。

これを企業コミュニティに当てはめて考えると、例えば「商品により愛着を深めてもらうためのコミュニティ」「商品の継続使用が定着し、より上手く使いこなしてもらうためのコミュニティ」といった目的が考えられます。

コミュニティの目的を明確にし、そこからブレないように運営していくことで、自ずとコミュニティ内でユーザーとどんなコミュニケーションを展開していけばよいか見えてきます。

すると、コミュニティ成長を期待でき、その先には企業がマーケティング活動の結果として望む「ロイヤリティ向上」「LTV向上」「他者推奨意向の向上」といった目標にたどり着けるのです。

②長期的な取り組みが必要だと理解しておく

次に、コミュニティマーケティングとは長期的にじっくり取り組むことが必要だと理解しておきましょう。

「コミュニティを立ち上げれば、すぐにマーケティング活動にインパクトが出る」と捉えるのは間違いです。

コミュニティ構築のために消費者を集めて、その人たちが積極的に発言してくれるようになるまで、日々のコミュニケーションを通じてメンバーを育てていく長期的な視点が重要です。参加メンバーの母数増加という観点でも、やはりある程度時間を要することです。

参加メンバーは、コミュニティに参加し発言を繰り返す中で、次第にコミュニティの目的を理解し、運営(企業)側や他メンバーと双方向の信頼関係を築き、企業・商品・サービス・社会に対して「自分ごと化」をしたうえで建設的な発言ができるようになっていきます。

いずれにしても「成果が出るまでには時間を要する」とあらかじめ理解して取り組みを続けていく必要があります。

③「売り込む場」と考えず、顧客と向き合う

また、コミュニティを「企業側から商品・サービスを売り込む場」と捉えるのも間違いです。

それでは、企業から消費者に対する一方通行のコミュニケーションになってしまい、広告施策と同じ取り組みになってしまうからです。

企業コミュニティに消費者が集まり、継続参加してくれるのは「企業や他メンバーとの双方向のコミュニケーションが広がる」「自分の意見を他メンバーや企業に分かってもらえる・共感を得られる・ピックアップしてもらえる」といった心理的メリットによるところが大きいと言えます。

コミュニティが消費者にとって魅力的な場となり、次第に成長していくためには「双方向性」を維持することがポイントです。

④初期参加メンバー選定をしっかりと

コミュニティを一から構築する場合、初期参加メンバーに「発信できる人」を必ず入れるよう、メンバー選定にも気を配りましょう。

せっかくコミュニティを立ち上げても、参加している消費者が誰も発言してくれなければ、コミュニティの意味をなさず、成長も望めません。

例えばSNS上で、自社商品について「気に入って使っている様子」「愛着を持っている様子」など自分から積極的に発言してくれている人を見つけたらDMなどで声をかけて、コミュニティへ招待するのも良いでしょう。

コミュニティの中でオピニオンリーダーとなり、他の参加メンバーを牽引して良い影響を与えてくれるような消費者を初期メンバーに入れることが重要です。

コミュニティを運営するツール

ここからは、実際のコミュニティ構築・運営に活用できるオンラインツールを3つ、ご紹介します。

①Facebookグループを使う

まずは、Facebookの「グループ」機能を活用する手法が考えられます。

Facebookは実名登録が基本であるため、ビジネスとの親和性が高く、参加メンバーから建設的な意見を引き出すことにつながりやすいプラットフォームだと言えます。

Facebook上には企業アカウントも多く、「コミュニティマーケティングにはまだ取り組んでいないが、自社のFacebookアカウントなら既に存在する」という企業も多いことでしょう。

自社のFacebookアカウントをフォローしてくれている人、自社商品・サービスについてFacebook上で自ら情報発信してくれている人をうまくコミュニティに巻き込んで参加してもらう手法などが考えられます。

②Slackを使う

Slackはビジネスチャットツールとしてよく知られており、日頃の業務で利用している人も多いはずです。

Slackのワークスペースにユーザーを招待すれば、双方向に意見交換できるオンラインプラットフォームを手軽に立ち上げることが可能です。

例えば事例として、AWS(Amazon Web Service:アマゾンが提供するクラウドサービス)やTableau Japan(BIツールを提供する企業)では、コミュニケーション手段としてSlackを活用し、ユーザー同士のヘルプコミュニティを構築・運営しています。

③コミュニティ運営に特化したツールを使う

コミュニティ運営に特化したツールを利用し、オンラインプラットフォームを立ち上げる手法もあります。

ノーコードでプラットフォームを構築できるツールや、分析機能を搭載したツールなどもあり、コミュニティ構築・運営が初めての人にも使いやすいことがメリットです。

コミュニティマーケティングとは、長期的に顧客との関係を深めていくもの

情報爆発の時代、モノが溢れる時代を迎えている中、コミュニティマーケティングとは、従来の一方通行のマーケティング手法とはまったく異なるアプローチを通して、顧客との関係を深めていける可能性を大いに秘めています。

「自社ではどんなコミュニティを構築すればマーケティング活動に有効だろうか?」と関心が深まってきた方は、ぜひ無料のダウンロード資料「コミュニティマーケティング超入門」もお読みいただき、参考にしてください。

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