ホームページの立ち上げやリニューアルで、顧客や社員にとって使いやすい機能やサービスの搭載、改善を検討することがあります。小さな仕様変更であればそこまでコストもかかりませんが、新しいシステムを構築する必要がある場合などは、つい足踏みしてしまうことも少なくありません。

そんなとき、活用できるのがASP(Application Service Provider)サービスです。提供事業者が構築したシステムをインターネット上で利用でき、費用や時間も削減できます。

今回は、ASPの仕組みと、メリット・デメリットを解説します。

ASPとは

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ASP(Application Service Provider)とは、インターネット上でソフトウェアやアプリケーションを利用するサービスや、そのサービスの提供事業者を指します。

ASPは、インターネットさえ繋げば複数人の同時アクセスが可能で、どこでも利用できます。また、個別のパソコンにソフトウェアをインストールする必要もないため、費用や時間がかかりません。

ASPと同じ略語の言葉

ASPと略す言葉は他にもあるため、違いに注意しましょう。

【1】Active Server Pages

Active Server Pagesは、マイクロソフトが開発した、動的なWebページを制作する場合に使う拡張機能のことです。

ネットショップなどの電子商取引(インターネット上で契約や決済を行うこと)で活用されることもあります。

【2】Affiliate Service Provider

Affiliate Service Providerとは、ネットショップと、そのショップの広告を掲載するアフェリエイトサイトの間を取り持つ、広告代理サービスのことです。

参考:
ASP|ferret[フェレット]

ASPと間違いやすい言葉

SaaS(Software as a Service)

SaaSは、ASPと同じ意味として扱われます。技術的な違いもありません。ASPは事業者のこと、SaaSはサービス自体のことを指す言葉として区別されることはあります。

ISP(Internet Service Provider)

ISPとは、パソコンをインターネットに接続するためのサービスを提供している事業者のことを指します。光ファイバーやADSLなどの回線を経由して提供しています。「プロバイダ」と呼ばれることもあります。

ASPのサービス例

ASPのサービスは、以下のような例があげられます。

・ソフトウェアなどのシステム開発の基盤や環境
・財務会計
・給与計算
・顧客管理
・在庫管理
・販売促進
・コンピュータウイルスの除去

企業の利用状況

ASPのように、これまで手元で利用していたデータやソフトウェアをネットワーク経由で利用者に提供するサービスを*「クラウドサービス」*といいます。クラウドサービスは、情報を管理する手段として、年々利用企業が増えています。

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引用:
平成28年版情報通信白書|総務省

メリット

企業が感じているメリット

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引用:
平成28年版情報通信白書|総務省

上図は、企業がクラウドサービスを利用している理由をまとめています。情報管理の時間と費用面のコスト削減が主な理由として挙げられています。

では、ASPには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な部分を解説します。

初期コストの削減

ASPの機能を自社で導入するとなれば、自社でシステムを開発したり、市販のソフトを購入したりする必要があります。

その場合、初めから開発する時間工数、莫大なシステム構築費用やライセンス費用がかかってしまいます。

ASPのように完成したサービスを利用することで、時間や費用といった初期コストを削減することができます。

社員のパソコンにソフトウェアをインストールする必要もないため、手間もかかりません、また、ASPインターネット環境さえあればすぐに利用することができます。

ランニングコストの削減

ASPの利用料は、基本的には初期費用と月額料金のみです。サーバーの維持費や、バージョンアップにかかる費用なども不要なので、予算も少なくてすみます。

バージョンアップが不要

サービスのバージョンアップは提供事業者が行います。そのため、自社の作業を増やすことなく、常に最新状態のサービスを利用できます。

バックアップ体制

ASPは提供事業者によって24時間管理・運営されているため、自社の人手が足りなくても安心して任せることができます。中にはデータ消失に備えた機能を搭載しているものもあります。

デメリット

企業が感じているデメリット

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引用:
平成28年版情報通信白書|総務省

上図は、企業がクラウドサービスを利用しない理由をまとめています。セキュリティやネットワークの安全性への懸念が主な理由として挙げられています。

具体的なデメリットを見てみましょう。

他社と共通のサーバーを利用することで様々なリスクが発生

ASPは、提供事業者のサーバーを複数の企業で共有しています。そのため、個人情報や企業情報が流出してしまうリスクはゼロではありません。ネットワーク障害によるデータ消失のリスクや、サービス終了によって継続利用ができなくなることもあります。

また、システム起動や作業中の通信速度がネットワークの速度に左右されてしまうこともあります。

カスタマイズが困難

ASPはどんな企業も問題なく利用できるパッケージになっているため、自社特有のルールが適用できない場合もあります。自社にとって使いやすいかどうか、無料トライアルを試すなどして事前に確認しましょう。

まとめ

今、企業はサービス開発、宣伝、販売以外にも様々な施策が求められています。多様化するビジネスモデルや顧客のニーズに対応していくため、やるべきことが増えてきているからです。

業務の選択と集中を行い、自社が取り組むべきことに注力することが必要だといえます。ASPを活用することで、コスト削減や生産性の向上に繋げることができるでしょう。

自社の業務内容や提供サービスと照らし合わせ、検討してみてはいかがでしょうか。