2015年から従業員のストレスチェックが義務化されるなど、国や企業の職場環境の改善に向けた動きが活発になっています。人材不足が原因で優秀な人材の確保と維持は年々難しくなり、企業が抱える課題のひとつでもあります。

優秀な人材に万全の状態で働いてもらうことは、そのサービスを受ける顧客の満足度向上、ひいては企業の利益向上にもつながります。この関連性から、以前は*顧客満足度(CS)*のみ重視してきた企業も、*従業員満足度(ES)*に注目するようになりました。

今回は、CSとESのそれぞれの意味と相関性を解説します。

CSとは

CSとは「Customer Satisfaction」の略で、顧客満足度のことです。1990年代にアメリカで流行しだし、1990年代後半に日本の企業でも取り入れられるようになりました。

顧客からアンケート調査などで自社サービスに対する満足度を聞き、点数化して評価します。

CSは「期待水準」と「知覚水準」で決まる

CSは、「期待水準」と「知覚水準」のバランスで決まると言われています。

・「期待水準」…顧客がそのサービスの利用前に期待していた水準
・「知覚水準」…顧客がそのサービスを実際に利用して得られた水準

顧客はそのサービスが期待以上だと、満足感を得ます。
つまり、「知覚水準」が「期待水準」を上回れば満足度が上がり、その逆であれば満足度は下がります。

参考:
「顧客満足」とは何か?|オリコン日本顧客満足度調査

新しい指標「NPS」

近年、CSに代わる新しい指標として、「NPS」が広がっています。
NPSとは「Net Promoter Score」の略で、顧客がもつ、企業の商品やブランドへの愛情や信頼を数値化した指標です。

自社のサービスを利用した顧客に、「あなたがこのサービス(企業・ブランド・商品)を周囲の家族や友人に勧める可能性はどのくらいありますか?」という質問を行い、0〜10の11段階で回答してもらいます。

その評価に応じて「推奨者」「中立者」「批判者」に分類し、回答者全体の推奨者の割合から、批判者の割合を引いた数値がNPSの指数となります。

NPSはCSより収益性との関連性が高い

NPSは、CSに比べて「周囲に勧める」という未来の行動を数値化するため、今後の収益性とも関連性が高いといわれています。例えばCS調査で「満足」と回答しても、NPS調査では最も評価が高い「推奨者」にはならない場合もあります。

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引用:
米国では主流のロイヤルティ指標 “NPS”日本では、いまだ72パーセントが「知らない」‼ CSとの違いとは?|株式会社アイ・エム・ジェイ

2016年時点の調査では、日本はNPSを取り入れている企業が8.5%、CSを取り入れている企業が52.0%と、未だにCSの方が主流です。ただ、同調査内でNPSを導入した企業の6割が成果があったと回答したことから、NPSの高い効果は証明されています。NPSは、今後更に広がっていくと考えられます。

参考:
NPSとは?顧客満足度に代わる新しい指標を理解しよう|ferret[フェレット]