"事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法"と聞くと難しく聞こえますが、それが指す「PDCA(Plan・Do・Check・Action)」というマネジメントサイクルの手法については、きっと誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

特に、データを収集し、リアルタイムで改善できるWebマーケティングの世界では、この手法は相性が良いためか、殊更に重宝されており「高速PDCA」なる言葉もあるほどです。

一方で、上手くPDCAが回っていない、成果を発揮していない……など、もっと具体的に言えばPlanから、なかなかDoにつながらないといった現場の声もよく聞きます。こうした声を聞くと「PDCA」とはあらゆる環境で万能な手法なのか、と疑問を覚えます。

そこで今回は、マネジメントサイクルの手法のもう1つの選択肢として、PDCAと比較してより“小さく”“早く”回すことが可能で、結果につなげやすい「STPD」についてご紹介します。
  

目次

  1. STPDとは
  2. 「Do」と同時に「See」を行ってサイクルを"小さく" "早く" 回す
  3. まとめ - STPDが真に効果を発揮するシーンとは -

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STPDとは

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PDCAサイクルに限界を感じている方にオススメしたいのが「STPD」です。

「STPD」は、「See(事実を見る)」「Think(よく考える)」「Plan(計画する)」「Do(実行する)」で成り立っています。ちなみにこちらのマネジメント手法ですが、ソニーに在籍していた故・小林茂氏(当時の常務取締役、厚木工場長)が提唱したと言われています。

PDCAとの大きな違いは「Plan」の前に、「See」と「Think」があることです。前段で言う「事実を調べ」「どうすれば良いか考える」が抜き出されているということになります。

より具体的に言えば、「See」は先入観なしに事実だけを捉えること。「Think」は「See」で得た事実が何を指し示しているか考える、言い換えれば事実を見てすぐに行動するのではなく、その前に考えるということです。

「See」において重要なことは先入観を排除するということです。「この製品は今まではあのペルソナに売れていた」とか「良い製品だから必ず売れる」といった考えは捨て、仮に売り上げを落としていた場合は事実を直視し「ペルソナが製品に飽きてきた」とか「高品質なものより使い勝手が良いものにトレンドが移っている」と意識改革できるかが、この「See」において重要な点です。

「See」、そして「Think」の考え方をより理解するために、1つ例を挙げます。

例えば、マーケティング施策の基本として、ペルソナ設定があります。この設定に費やす時間は決して少なくないはずですが、従来のPDCAサイクルで設定する場合、ディスカッションや個人の勘や経験則を集約し、そこからペルソナの年齢や性別、マインドといった「属性」を考えて作成、このペルソナを足がかりとして各施策を生み出すのが一般的です。

ここで問題となるのが、時間をかけてつくったペルソナが厳密に言えば、製品などとの間には「相関関係(2つの事柄に一見関係があるようにみえる)」しか結べていないことです。乱暴に言えば、概ね間違いないという希望的な観測からペルソナを設定し、さらにその上に施策が乗っかっているわけです。

もちろん、現場の勘や経験則も重要ですし、精度が高いものもあります。しかし、従来であれば盤石と思われるペルソナと商品の結び付きの中でも、仮にペルソナが置かれている状況(例えば、該当製品を実際に店頭などで手に取った前後、給料日の前後)によっては、想定外のアクションを起こす可能性を秘めています。つまり、属性よりも時にそのペルソナの状況が重視されるケースもあるわけです。

このような不確定要因を含むものに時間をかけてしまっていることに、従来のPDCAの運用の失敗の理由が隠されていると考えられます。
  

「Do」と同時に「See」を行ってサイクルを"小さく" "早く" 回す

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一方で、STPDを採用した場合についてご説明します。

まずは事実および現状を先入観なく確認します。例えば、ペルソナ未設定の想定外の層からのアクセスが多いという事実があったとします。STPDの場合そこから邪推することなくシンプルに“なぜ彼らが製品を購入しているのか”という因果関係を考えます。こうした工程をもとに進めば、「Plan」ですべきことは絞られているため「Do」への移行はスムーズになるはずです。しかも、「Plan」により設定された内容は精度が高いものが生まれる可能性が高くなるわけです。

STPDのもう1つのメリットは、構造上、PDCAよりも全体のサイクルを"小さく" "早く" 回すことができることで、その理由は2つあります。

まず「Do」と「See」を同時、並行で実施できる点です。実行したことの中で得た“気付き”や“学び”を客観的に捉え、因果関係を調べて、そこで得たものを「Do」につなげることができます。一方でPDCAの場合、「Do」から「Check」へ移行するまでに一定の時間を要します。例を挙げれば、1ヵ月やキャンペーン開催中といったものから、目標とする数値を挙げるまで、といった制約が挙げられると思います。

もう1つの理由は先にも述べましたが、「Plan」作りがシンプルになることです。事実を見て、その因果関係から「Plan」を考案するSTPDの場合、勘や経験に頼ることはないですし、“考える時間” “考える工程” が少ないためです。加えて客観的データをもとに作成するため、0から1で作る「Plan」と異なり、専門家、専任担当者のアサイン人数、回数も少なく抑えることで、全体のスケジュールを短縮できます。
  

まとめ - STPDが真に効果を発揮するシーンとは -

STPDについて説明させていただいた場合、単なる言葉遊びであり、本質的にはPDCAと何ら変わりないという意見があります。あるいは「Check(評価)」「Action(改善)」を前倒ししたCAPDなのでは、という声もあります。それらの意見は一部で正しいです。

この場でお伝えしたいことは、PDCA、STPD、もしくはCAPDだとしても、いずれもマネジメントサイクルとは、より"小さく" "早く" 回すことでその真骨頂が発揮されるということです。どの手法が優れているではなく、どうすればマネジメントサイクルより"小さく" "早く" 回せるかを選択することに重点を置くべきです。

失敗が許されない大型のプロジェクトを任されたといって、「Plan」に時間を掛け過ぎて商機を逸することなく、見方を変え、自社、プロジェクトチームに見合った効果的なマネジメントサイクルを選択、実施してください。