見込み顧客の行動を“見える化”してアプローチ優先順位をつける

こうして、1ヵ月ほどで乗り換え作業を完了させ、メール施策などを実践しつつ、5月から本格稼働をスタート。そのタイミングで、野手氏が同社に加入します。

「正直、当初はマーケティングの"マ"の字もわからない状態でした。山下さんの丁寧なご指導があったのは心強かったです。また、新しいモノへの好奇心が強い性格もあって、わりと早く慣れました」(野手氏)

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エモーションテック マーケティング本部 マーケティング部 野手清美 氏

実は、MAを導入する際には、初心者の方は基本的に、トレーニングを受けていただくのですが、野手氏の場合はトレーニングを受けずに実地で使い方を習得したレアなケースです。

山下氏も、「ツールに対する抵抗や嫌悪感がなく、楽しみながら使いこなそうとされていた。それが早い習得につながったと思います」と振り返ります。

具体的な施策としては、Webを始め、様々なチャネルから得たリードをもとに、MAを使って顧客の行動を分析し、適切なコンテンツを適時に送付。コミュニケーションを継続しながら、スコアリングがホットな状態になったところで営業に渡すというものです。

特に、同社のサービスは、顧客単価が高く、サービスの検討段階から購入に至るまでの期間が長期化しやすい。リードをしっかりとナーチャリングしていくことが肝要となります。また、せっかくリードを獲得、蓄積できても、マンパワーの問題で、営業のアプローチが追い付かないことも同社の課題でした。

では、MA導入で、何がどう変わったのか。

まず、2人が挙げてくれたのが、営業がアクションを起こしたうち、アポにつながった割合を示す、アポ獲得率の大幅な上昇です。

「これまではせっかくリードが10倍、15倍と増えても、営業が追い付きませんでした。フルパワーで電話をかけても、アポが増えずに徒労感ばかりが増す状態でした。MAでスコアリングを見ながら、優先順位を付け、リードがホットなところからアポを入れられるようになったのは大きかったです」(須藤氏)

実際の数値としては、「MAを入れた当初の3月末時点でのアポ率と、一番、成績が高かった7月で比較すると、約4倍増を達成しました」と野手氏。通常、夏休み時期で、アポ獲得率が下がる8月も、3倍をキープしたと言います。
  

営業の負担も大幅軽減。施策にかかる工数が約6分の1に

これに関連し、施策を実施する際の工数が大幅に削減できたことも挙げられます。

「これまでは名刺情報、セミナー参加、Webからのリードがバラバラの状態で、ほぼ管理できていませんでした。MAで一括管理でき、どのチャネルからリード化したかの道筋が見えるのもポイントでした」(野手氏)

さらに、従来、営業担当が6名がかりでメールを送付していたのが、MAを担当する野手氏、ほぼ1名でコンテンツを配信できるようになりました。工数にして6分の1の省力化が実現したと言います。

「この短期間で、素晴らしい成果だと思います」と評価する山下氏。
マーケティング部門で、有望顧客を絞り、商談を作っていくというMAのあるべきゴールを、非常に適格に実現しているケースではないでしょうか」と語ります。

また、定性的な成果としては、営業メンバーから、電話をかける際の心理的負担が削減された、という声も。「電話をかけても、"メールを見たよ"と、お客様からの反応がいい。話が早いといったフィードバックを受けると、マーケターとして、やりがいを感じます」と野手氏は語ります。