こんにちは、初めまして。株式会社マルケトにてアカウントエグゼクティブ(法人営業)を務める田中佑介と申します。

弊社が注力しているのは、テクノロジーの力を活用し、顧客との長期的な関係の発展を目指す、エンゲージメントマーケティングの推進です。

そのため、弊社のエンゲージメントプラットフォームを提供し、お客様、弊社のパートナー企業様と一体となって、お客様の事業課題の解決、売上拡大、ブランド向上等のお手伝いをしています。

今回、ご紹介する、私どものクライアントである株式会社Emotion Tech(以下、エモーションテック)様も、独自の技術力とクラウドを掛け合わせ、顧客企業の事業成長や、課題解決に向けたソリューションを提供している注目の企業です。

なぜ、同社が短期間で、MA導入を成功させるにいたったのか。

エモーションテック マーケティング本部 マーケティング部 部長の須藤勇人 氏と、同部メンバーの野手清美 氏、さらに株式会社パワー・インタラクティブ(以下、パワー・インタラクティブ)の マーケティングコンサルタント・山下智 氏にも加わってもらい、改めてMA導入の経緯や実施したBtoBマーケティング施策、今後の目標などを語ってもらいました。
  

企業プロフィール

emotech_006a.jpg

株式会社Emotion Tech(エモーションテック)
https://www.emotion-tech.co.jp/

NPSの調査・分析をはじめ、カスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)を通じ、顧客や従業員の感情を正確に把握し、 集めたデータを統計的に解析することによって、顧客ロイヤルティや従業員エンゲージメントの向上など売上成長に直結する課題解決を導きます。
  

ゴールを明確にしてこそ、MAツールの選択基準が見えてくる

マルケト事例_田中さん8968a.jpg
株式会社マルケト アカウントエグゼクティブ(法人営業)田中佑介

エモーションテックの現在の顧客企業数は約200社。特に、企業の顧客や従業員の感情にフォーカスしたデータ解析技術や、顧客・従業員ロイヤルティを数値化するNPS(Net Promoter Score)、eNPS(Employee Net Promoter Score)に関する知見に強みを持っています。

エモーションテックは、2017年3月末からパワー・インタラクティブの山下氏とタッグを組みマーケティングオートメーション(MA)導入を支援させていただき、導入したMAに関連した施策により、大きな成果を挙げています。

8968_002.jpg
エモーションテック マーケティング本部 マーケティング部 部長の須藤勇人 氏

実は、同社が現在活用しているMAは2代目。以前は、別会社のMAを使っていました。

「それ以前、16年春ぐらいまでは、電話などのアウトバウンド施策による営業が中心でした。同年夏頃から、HPなどを通じ、リードを獲得できるようになったことから、効率性を重視し、インバウンドの施策に集中しようとMAを導入しました」(須藤氏)

ところが、以前のMAは、導入後、細かいスコアリングやセグメントができず、目指していた質の高いリードの獲得や育成が実現できないことが判明します。

この経験を踏まえ、須藤氏が挙げてくれたMAの選択基準のポイントは3つあります(下記参照)。

1. やりたいと思ったことが実現するカスタマイズ性の高さ
2. 良質なリードを蓄積し、育成していく上で、長く使える汎用性とブランド力
3. ユーザー同士が交流できるコミュニティの存在

「カスタマイズ性が高いということは、使い方の幅も広くなる。また、ユーザーの経験を踏まえた多くの知見や情報が蓄積されており、課題に対する解決策や知りたいことにリーチできるコミュニティの有無は大きなポイントでした」(須藤氏)

私が初めて須藤氏にお会いした際も、とにかくやりたいことが明確だったのが印象的でした。

MAは、あくまでもツールですので、ただ導入すれば効果が出るというものではありません。やりたいこと、目指すゴールは、お客様自身で決めていただくことが肝要となります。

そして、MAの本質である作業効率向上のためにも、スピード感を持って導入し、PDCAを高速で回しながら、より最適な施策を実践していくこともポイントです。

同社のサポート役として、パートナー企業の山下氏をご紹介したのも、それゆえでした。

こうして、3月末の導入から、まずは以前のMAのデータ移管からスタート。当初は2人で毎週、ミーティングを実施したそうです。

「当時はマーケティング部のメンバーも少なく、MAの立ち上げ以外の仕事もある中、大変だったと思います。しかし、ご自身でシナリオを作成するなど、方針、やりたいことがすでにまとまっておられたので、いいスタートが切れたと思います」と山下氏。

マルケト事例_山下さん8968a.jpg
株式会社パワー・インタラクティブ マーケティングコンサルタント 山下智 氏

須藤氏も、「山下さんご自身が、MA活用のキャリアも長く、長期的視点に立って、今、やっておくべき設定や準備についてガイダンスくださいました。単純なマニュアルにはない貴重なアドバイスを受けられたのは非常にありがたかったです」と振り返ります。
  

見込み顧客の行動を“見える化”してアプローチ優先順位をつける

こうして、1ヵ月ほどで乗り換え作業を完了させ、メール施策などを実践しつつ、5月から本格稼働をスタート。そのタイミングで、野手氏が同社に加入します。

「正直、当初はマーケティングの"マ"の字もわからない状態でした。山下さんの丁寧なご指導があったのは心強かったです。また、新しいモノへの好奇心が強い性格もあって、わりと早く慣れました」(野手氏)

8968_004.jpg
エモーションテック マーケティング本部 マーケティング部 野手清美 氏

実は、MAを導入する際には、初心者の方は基本的に、トレーニングを受けていただくのですが、野手氏の場合はトレーニングを受けずに実地で使い方を習得したレアなケースです。

山下氏も、「ツールに対する抵抗や嫌悪感がなく、楽しみながら使いこなそうとされていた。それが早い習得につながったと思います」と振り返ります。

具体的な施策としては、Webを始め、様々なチャネルから得たリードをもとに、MAを使って顧客の行動を分析し、適切なコンテンツを適時に送付。コミュニケーションを継続しながら、スコアリングがホットな状態になったところで営業に渡すというものです。

特に、同社のサービスは、顧客単価が高く、サービスの検討段階から購入に至るまでの期間が長期化しやすい。リードをしっかりとナーチャリングしていくことが肝要となります。また、せっかくリードを獲得、蓄積できても、マンパワーの問題で、営業のアプローチが追い付かないことも同社の課題でした。

では、MA導入で、何がどう変わったのか。

まず、2人が挙げてくれたのが、営業がアクションを起こしたうち、アポにつながった割合を示す、アポ獲得率の大幅な上昇です。

「これまではせっかくリードが10倍、15倍と増えても、営業が追い付きませんでした。フルパワーで電話をかけても、アポが増えずに徒労感ばかりが増す状態でした。MAでスコアリングを見ながら、優先順位を付け、リードがホットなところからアポを入れられるようになったのは大きかったです」(須藤氏)

実際の数値としては、「MAを入れた当初の3月末時点でのアポ率と、一番、成績が高かった7月で比較すると、約4倍増を達成しました」と野手氏。通常、夏休み時期で、アポ獲得率が下がる8月も、3倍をキープしたと言います。
  

営業の負担も大幅軽減。施策にかかる工数が約6分の1に

これに関連し、施策を実施する際の工数が大幅に削減できたことも挙げられます。

「これまでは名刺情報、セミナー参加、Webからのリードがバラバラの状態で、ほぼ管理できていませんでした。MAで一括管理でき、どのチャネルからリード化したかの道筋が見えるのもポイントでした」(野手氏)

さらに、従来、営業担当が6名がかりでメールを送付していたのが、MAを担当する野手氏、ほぼ1名でコンテンツを配信できるようになりました。工数にして6分の1の省力化が実現したと言います。

「この短期間で、素晴らしい成果だと思います」と評価する山下氏。
マーケティング部門で、有望顧客を絞り、商談を作っていくというMAのあるべきゴールを、非常に適格に実現しているケースではないでしょうか」と語ります。

また、定性的な成果としては、営業メンバーから、電話をかける際の心理的負担が削減された、という声も。「電話をかけても、"メールを見たよ"と、お客様からの反応がいい。話が早いといったフィードバックを受けると、マーケターとして、やりがいを感じます」と野手氏は語ります。
  

企業情報データベースとの連携で、ターゲットを厳選

また、アポ獲得率向上のもう1つの要因として、須藤氏が挙げたのが、山下氏の勧めによって導入したというクラウド型の企業情報データベースとの連携です。

IPアドレスから業種や企業規模、売上高といった企業情報を参照することで、「弊社サービスの主なターゲットとなる大企業を中心に、絞り込むことができる。これによってアポの確度が格段に上がりました」と須藤氏。

野手氏も、「メール施策についても、企業情報を見ながら、業種や部署ごとに出し分けをするなど、細やかなコンテンツマーケティングが実践できるようになりました」と明かします。

同社では、現状の商品ラインナップに加え、ミドルビジネス向けに価格を下げたサービス提供も予定しており、より一層、企業規模やターゲットに合わせたエンゲージメントマーケティングを実施していきたいと語ります。

最後に、今後の目標を語ってもらいました。

「最近、新しいエンゲージメントプログラムを導入したばかりなので、商品ラインナップの拡充に合わせたコンテンツの充実、アプローチの精度をさらに高めていきたいです。SFA(Sales Force Automation)導入も予定しています」と野手氏。

須藤氏は、「BtoBマーケティングを成功させるには、営業との連携が大事です。現在も、営業とのミーティングを実践していますが、今後は、お客様になった後の情報も共有し、既存顧客のナーチャリングもしっかり実践していきたいです」と語ります。

8968_005.jpg

それに対し、「こうしたクラウドサービスにおいては、休眠や解約が発生した際のフォローも肝心です」と山下氏。

顧客企業が増えたところで、新たな課題として浮上しうる休眠・解約ユーザーをいかに育成、復活させていくか。「MAは導入したら終わりではなく、実態に合わせ、進化させていくことが大事です。そのためにも、私も長期スタンスで、サポートしてまいります」と語ってくれました。
  

まとめ

MA導入・運用のポイントとして付け加えたいのが、弊社の実践する“Marketing Nation”の重要性です。

“Marketing Nation”とは、世界各国の弊社のユーザー、パートナー、メンバーにオープンなコミュニティを提供する取り組みです。マーケティングに関するノウハウを意見交換し、互いの専門性を高め合うことで、ビジネス成長を加速させることができます。

これまで以上に、三位一体となって、お客様とのより深いエンゲージメントを実現していくために、私自身もより精進していかねばなりません。今回は、決意を新たにするいい機会となりました。

皆さんの中でMAを実際に導入しているものの、なかなか結果に結び付けられず、試行錯誤を繰り返している……という方も少なくないはずです。ぜひ、そうした方に今回のエモーションテックの事例を参考にしていただき、新たな施策を講じる際のヒントになれれば幸いです。