IT業界に精通した方でなくても、世間一般的に誰もが1度は耳にしたことがある、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏やFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏……などといった著名人。こうした方々がゲストとして招待され、大学の卒業式でスピーチした内容が話題となり、「SNSなどで目にしたことがある」という方も少なくないはずです。

そこで今回は、先に挙げた3名のほか、Apple CEOのティム・クック氏や堀江貴文氏なども含め、総勢11名のIT業界の著名人が登壇した大学の卒業式スピーチをまとめてご紹介します。

スピーチでは、それぞれWebや社会そのものへの見方、ビジネスへの考え方について語っています。ぜひ日々の業務や働き方のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
  

1. スティーブ・ジョブズ氏

https://www.ted.com/talks/steve_jobs_how_to_live_before_you_die

Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏は、アメリカスタンフォード大学卒業式にて、自らの生い立ちと挫折、そして膵臓ガンだと診断されてからの日々についてスピーチしています。

中でも、30歳の時に社外から招いたジョン・スカリー社長によってAppleから事実上追放されるエピソードでは、"将来への確証はなくなったけれど、会社を発展させるという重圧が、もう一度挑戦者になる身軽さに変わった"と当時を振り返っています。

そして、そのような挫折を経験しながらもまた立ち上がろうと考えたのは、自分が打ち込んできたことが大好きだったからと述べ、偉大なことをやり抜くただ1つの道は、仕事を愛することだとしています。

参考(日本語訳):
「ハングリーであれ。愚か者であれ」ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞
  

2. ティム・クック氏

Apple CEOのティム・クック氏がマサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業式にて行ったスピーチです。

ユーモアのある冗談も加えながら、自分自身が探し続けた人生の目的について語っています。中でもApple創業者のスティーブ・ジョブズ氏との出会いがきっかけで、人生の目的とは*「人のために尽くす」*ことであると納得し、テクノロジーが世界の難題を解決する手段の1つになると述べています。

また、ネットは良識の基本的なルールが一時停止する場でもあると指摘し、MITの学生に向けて、正しい理念を持つ勇気について説きました。

参考(日本語訳):
ティム・クック、ジョブズと出会って見つけた「人生の目的」を回顧 15年の模索の末にたどり着いた自らの使命|ログミー
  

3. マーク・ザッカーバーグ氏

Facebook創業者であるCEOを務めるマーク・ザッカーバーグ氏が、母校ハーバード大学で行ったスピーチです。

なお、マーク・ザッカーバーグ氏は在学中に「Facebook」を立ち上げ、ハーバード大学を中退しています。スピーチでは、その経緯について触れながら、在学中に出会った友人や妻との思い出について、ユーモアを交えて語っています。

学生に対して、誰かが起こすであろう”ある変化”が自分に見えている場合、その変化を起こすのは「誰か」ではなく「自分」がやるのだと諭しています。

自分の人生に対して意味を見出したいと考えている方は多いかもしれません。そのような自分自身の目的意識だけではなく、ザッカーバーグ氏は他人に対しても「目的」を持てるように働きかけることが重要であると語りました。

参考(日本語訳):
【UPDATE】ザッカーバーグのハーバード卒業式スピーチが感動的だったので日本語訳した|ハフィントンポスト
  

4. シェリル・サンドバーグ氏

Facebook COO(最高執行責任者)のシェリル・サンドバーグ氏がバージニア工科大学にて行ったスピーチです。

2年前に亡くなった夫との思い出や死に対して感じたことや、バージニア工科大学校内での銃乱射事件を取り上げ、学生たちに対して「立ち直る力」を持つために必要なことについて語っています。中でも、友人や大切な人と築き上げる「集団・組織」の力強さを説いているのが印象的です。

何か困難な壁を乗り越えなくてはならないと感じている方や、仕事での挫折感を感じている方にとって気付きが得られるスピーチでしょう。

参考(日本語訳):
夫の死を乗り越えたFacebook女性COOが、銃乱射事件から10年経ったバージニア工科大学で語ったメッセージ|ログミー
  

5. ディック・コストロ氏

Twitterの元CEOディック・コストロ氏がミシガン大学の卒業式で行ったスピーチです。ディック・コストロ氏は若い頃、コメディ俳優になることを目指しており、シカゴでの下積み時代に即興劇から学んだ教訓について語っています。

人生は即興劇の連続のようなものであり、何をすべきかを考え過ぎず、今この瞬間を生きることの大切さを説いています。

参考(日本語訳):
「台本のない人生を生きろ」TwitterのCEOが卒業生に贈ったスピーチが奥深い|ログミー
  

6. ジェフ・ベゾス氏

Amazonの創業者でありCEOのジェフ・ベゾス氏が母校であるプリンストン大学の卒業式で行ったスピーチです。

幼少期に祖母に対して、吸っている煙草の本数から寿命が何年縮まるか指摘したことで祖母に泣かれてしまったことをエピソードとして取り上げ、賢さと優しさの違いを説明しています。

賢さは生まれ持った才能かもしれないけれど、優しさは自分で自由に行える選択の1つであると述べ、学生たちに向かって「安定を選ぶか、それとも挑戦し続けるか?」「間違いを犯したらそれを隠そうとするか、それとも謝るか?」といった選択を問いかけ、スピーチを終えました。

参考:
「才能と選択の違いを知ること」 Amazon創業者ジェフ・ベゾスが卒業式で語った、道の切り開き方|ログミー
  

7. エリック・シュミット氏

Googleを子会社に持つアルファベット社の会長 エリック・シュミット氏が母校のボストン大学の卒業式で行ったスピーチです。

ネットが世界にもたらす影響と、ネットだけで世界のあらゆる問題を解決できるわけではないこと、問題解決にはイノベーションと起業家精神が重要であることを述べています。

世界最大のIT企業の会長でありながら、*「モニターの光の中に人生はありません」*と、友人や家族とのリアルなコミュニケーションの重要性を説いているのが印象的でしょう。

参考(日本語訳):
Google会長が卒業スピーチで語った、「人とつながること」の本当の意味|ログミー
  

8. ジェフ・フーバー氏

Googleの元副社長ジェフ・フーバー氏がイリノイ大学の卒業式にて行ったスピーチです。

ジェフ・フーバー氏は、Googleを退職後、ガン検査事業を展開するグレイル(Grail)社のCEOを務めています。スピーチでは、農家で生まれ育ち、14歳の頃にはフロッピーディスクの転売による事業を始めたことや、インターネットオークション大手eBay社での経験、Googleへの転職など自身の半生について振り返っています。

また、妻の死をきっかけに、生命科学とコンピューター技術を組み合わせる方法について学び始め、グレイル(Grail)社のミッションを感じるようになったことを最後に述べています。

参考(日本語訳):
すべての物事には“もっといい方法”が必ずある–元Google副社長が最愛の妻の死から学んだこと|ログミー
  

9. 堀江 貴文 氏

株式会社ライブドア元代表取締役CEO、SNS創業者兼従業員、7gogoファウンダーである「ホリエモン」こと堀江貴文氏が近畿大学にて行ったスピーチです。

東南アジアを中心とした発展途上国が急激な成長を遂げていることを指摘し、ただレールに従った人生を歩み続けるだけではこれからの社会で生き残れないと指摘しています。堀江氏は同時に、そのような社会の中で大切なのは、情報を自分で収集し、自分の頭で考えることだと述べています。

最後に”急速に変化していく未来に対して考えることは意味がない。目先のことに集中することが大切”だというメッセージで締めくくっています。

参考:
堀江貴文(ほりえ たかふみ)|クリエイターと読者をつなぐサイト cakes(ケイクス)
  

10. ラリー・エリソン氏 

アメリカ オラクル社の創業者であるラリー・エリソン氏が南カリフォルニア大学の卒業式で行ったスピーチです。

エリソン氏は医者を目指し入学した大学を21歳で中退し、自然保護運動の活動家としてロッククライミングのインストラクターとして働きながら、同時にプログラマーとしても働いていました。そして、妻から医学部に戻らないことを責められ、離婚します。しかし、妻が考えるような“私がなるべき人物”になれなかったことを後悔はしなかったと述べています。

それから、エリソン氏は自分が愛するような仕事を探し求めた結果、自身で起業する道を選びます。

参考(日本語訳):
オラクル創業者が振り返る親友スティーブ・ジョブズの決意|ログミー
  

11. ドリュー・ヒューストン氏 

Dropbox創業者ドリュー・ヒューストン氏がマサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業式で行ったスピーチです。

テニスボールを見ると犬は駆け寄り、そのまま夢中になって遊びます。ヒューストン氏は犬にとってのテニスボールのような、わくわくするようなことを見付けて欲しいと学生に語りかけました。

参考(日本語訳):
「人生のコツはたったの3つ」Dropbox創業者ドリュー・ヒューストンの卒業スピーチが感動的|ログミー
  

まとめ

現在では、一流企業となった企業であっても、創業時には様々な苦労がありました。

創業者や役員の中には、学生時代にサービスを立ち上げたマーク・ザッカーバーグ氏のような人物もおり、大学生に送る言葉にはユニークながらも含蓄を含んだ言葉が数多く含まれています。今回取り上げた人物はみな、自分の人生を生きることや目的を見付けることの大切さについて語っています。

ぜひ今回ご紹介したスピーチを参考を、働き方のヒントにしてみてはいかがでしょうか。