Webマーケティング担当者であれば、正解のないSEO対策に一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。ユーザーにより良い情報を届けるべく、Googleの検索アルゴリズムは日々最適化されています。直近では2017年12月にも、医療・健康に関するWebページ検索結果を改善するため、日本のGoogleの検索アルゴリズムが更新されました。

参考:
医療や健康に関連する検索結果の改善について|Googleウェブマスター向け公式ブログ

SEOで重視されているのはコンテンツの質ですが、そのコンテンツの質を評価する方法は日々アップデートされています。そのため、Googleの検索アルゴリズムがアップデートされるたびに、情報についていくことが難しく振り回されてしまう方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、ブログインターネット界隈の事を調べるお」を運営している「調べるお」こと大柴貴紀氏に、ferret創刊編集長である飯髙悠太がSEO対策に対する本音を伺いました。株式会社サムライファクトリーのもとでSEO事業を請け負う子会社の代表も務めていた大柴貴紀氏は、今のSEO対策にどのような思いを抱いているのでしょうか。

大柴貴紀氏 プロフィール

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1976年生まれ。1999年にバイト先の店長からMacを購入したことをきっかけに、ホームページ制作を始める。2004年、株式会社忍者システムズ(現株式会社サムライファクトリー)にWebデザイナーとして入社。その後、取締役、監査役、SEO事業をメインとする子会社社長などを歴任。2014年2月にサムライファクトリーを退職(2015年12月に非常勤取締役に就任)。2014年3月、East Venturesにてフェローに。現在は主にBASE、CAMPFIRE、スタートアウツなどを中心に20社ほどの出資先の支援を行っている。
本業の傍ら、ブログインターネット界隈の事を調べるお」の更新や、「隠れたキーマンを調べるお」の連載などの執筆、コンサルティングなども請け負っている。
引用元:Takanori Oshiba

「初めてHTMLに触れたときは、“コピペ”も知らなかった」

飯髙:
大柴さん、いえ、“調べるお”さんといえば、「インターネット界隈の事を調べるお」のブログで知られていますよね。この前、「渋谷ネット系ベンチャー地図2018新春」の記事を読みました。

ただ、実はそういうコンテンツ以外にも異色のキャリアを歩んできてるとか。

大柴貴紀 氏(以下、大柴 氏):
そうなんですよ。以前は株式会社サムライファクトリーで働いてて、今は非常勤取締役としてお手伝いしています。それと、East Venturesというベンチャーキャピタルでフェローも務めています。

飯髙:
以前からIT企業やベンチャー企業には興味があったんですか?

大柴 氏:
いや、実は最初はパソコンの使い方さえ分からなかったんですよ(笑)

飯髙:
え!そうなんですか?(笑)
でも、今ではブログを書いたり、ネットショップのBASE株式会社さんの出資先支援をしたり、Web業界で有名になっている。そのきっかけは何だったんですか?

大柴 氏:
前から「ホームページを作ってみたいな」くらいの気持ちはあって、23歳のときに偶然バイト先の店長からMacを譲り受けたんです。当時は「コピペ」も知らなくて、HTMLを鉛筆で紙に書いてテキストに書き写して、独学で作業していました。

だから最初はカラーが表示されただけで「やったー、色変わったぜ!」ってテンション上がったんですよね。あの感動を上回ったことは未だにないですね。

それで個人のホームページを作って、Photoshopでデザインもするようになった半年後くらいに、友人から「あるポータル運営会社のデザイナーにならないか」と誘われました。そこは2年くらい勤めた後に辞めて、それでまた人生を模索してた頃に、また同じ友人から誘われて入社したのが、忍者システムズ(現サムライファクトリー)だったんです。

デザイナーからSEO事業子会社の社長へ

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飯髙:
サムライファクトリーでは、どのような業務をされていたんですか?

大柴 氏
最初は「忍者ツールズ」に関する業務やホームページ制作の案件、受託案件もやっていました。たまたま受けた案件で大成功したことがきっかけで、SEO事業の子会社の社長をやってたときもありましたね。

飯髙:
デザイナーからSEO事業?
全然想像できないんですが、そもそもどうしてSEOの案件が降ってきたんですか?

大柴 氏:
いくつかの取引先の広告代理店さんから、「SEO対策をやってほしい」と言われるようになったんですよ。

なぜかというと、「SEO」で検索すると僕たちサムライファクトリーのホームページが1位に出てきていたんです。でもその頃SEO事業はやっていなかったんで、ホームページを開いてすぐ見えるところに「SEO事業はやっていません」ってわざと書いてました(笑)

飯髙:
それは面白いですね(笑)

大柴 氏:
当時からみんな遊び心がありましたからね(笑)
ただあるとき、たまたまホームページ経由で問い合わせがきた案件を、社長の気まぐれで「1件だけやってみるか」という話になったんです。

受注したクライアントからあるビッグワードを依頼されて、3日で1位表示まで持っていきました。そうしたら、クライアントも喜んでくれて。「これだけ喜んでくれるならやってもいいかな」「他にも引き合いがあった案件をやってみるか」という話になり、SEO事業を本格的に始めました。

サムライファクトリーはBtoCのイメージを持たせておきたかったので、BtoB向けにコンソートというSEO事業の子会社を設立し、僕が社長になりました。コンソートの由来は、「comfort」と「sort」で「快適な並べ替え」。単純ですよね(笑)

飯髙:
分かりやすくていい名前です。今、その会社はまだあるんですか?

大柴 氏:
今はないですね。途中でサムライファクトリーが吸収して1事業としてやっていたんですけど、何年か前に事業ごと売却しました。

「リンクを使ってお金は使わない」SEO対策

飯髙:
それにしても、ビッグワードを3日で1位表示までもっていくというのはすごいですね。

先ほどサムライファクトリーさんも「SEO」のキーワードで1位表示だったとおっしゃっていましたが、SEO対策はせずに1位だったんですか?それとも狙ってキーワードをとっていたんですか?

大柴 氏:
キーワードは狙っていましたね。社長の篠田は「お金をかけないマーケティング」を考えていました。最初は「Yahoo!カテゴリ」で上位に表示されるように「会社名を“0”から始める」みたいな。ディレクトリ型検索のときの、初期SEO対策ですよね。

それからロボット型検索が主流になって、いろいろと検証した結果「リンクだな」ということが分かりました。そこで、アクセス解析にnoscriptタグを入れて、その中にリンクを貼っていました。

noscriptタグは、ホームページを訪れたユーザーのブラウザがJavaScriptに対応していない場合に代わりの内容を表示するためのタグで、このタグの中にキーワードリンクを入れても、ブラウザ上では表示されないんです。ただ、Googleクローラーキーワードリンクを認識してくれるので、検索結果の上位に上がるという方法です。最初は「アクセス解析」のキーワードで順位を上げたくてやっていたんですよね。

飯髙:
なるほど、社長の考えもあっての成果だったんですね。
正直、SEO事業としては1位だと思っていましたよね?(笑)

大柴 氏:
それは正直…そう思ってました(笑)

今でも1位だったと自慢できるくらいSEO事業はバリバリやっていたんですけど、社内外問わず、こんな風に説明していたんですよ。「僕たちは豆腐を作って大量にできるおからを卯の花にして売っているだけで、最初から卯の花を作ろうとしているわけじゃない」って。
…分かりにくいですよね?

飯髙:
ちょっと分からないです(笑)

大柴 氏:
そうですよね(笑)

ここでいう豆腐はアクセス解析ツールで、卯の花がリンクです。さきほど説明したように、アクセス解析ツール(豆腐)を提供していると、そのツールの中にnoscriptタグ(おから)を入れて、リンク(卯の花)を売ることができる。だけど、僕たちはリンクを売るためにアクセス解析ツールを提供しているわけじゃない、ということです。
だから、これが「何としてでもリンクを作らなきゃダメだよね」って話になっちゃうと、それは本末転倒で、僕たちのやるべきことではないかな、と思ってたんです。

飯髙:
あくまでSEO事業のための被リンク」が主軸ではなかった、ということですね。

大柴 氏:
そうですね。ただ、このリンクでマネタイズできれば、本来のアクセス解析サービスの広告を減らしたり、課金が必要な機能を無料で利用してもらえるようにできるかもしれない。

一般ユーザーにストレスのない、より良いサービスを提供し続けることが目的でした。

SEOは「手段」。そこを履き違えてはいけない。

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飯髙:
ただ、2010年頃から不自然な被リンクは「」という評価になっていましたよね。

大柴 氏
その頃だともうリスクが高すぎて、派手にリンクは貼れなくなってましたね。怖くて。
ブラックハット」「ホワイトハット」って言葉がよく言われるようになりましたけど、「その手法さえ、永年続くものではないだろうな」と思いながら過ごしていました。

飯髙:
確かに「この手法は“ブラック”で、この手法は“ホワイト”」などと、定義がずっと変わらないということは有り得ないでしょうね。

大柴 氏:
たまに、「順位上げたいんで、このページの上の方に2,000文字くらい突っ込んでおけばいいですかね?」みたいな相談を受けることがあるんですけど、「それはそうなんだけど…」と困ってしまいますね。

飯髙:
確かに、ただ単純に「どうしてもこのキーワードで順位を上げたい!」なんて言われたら、「たくさん文字を書けば、上がるかもですね」で終わってしまいますからね。

「その代わり、そのコンテンツに内容がなかったら、本当に(上位に)いるだけだよ。むしろ悪印象になっちゃうかもしれないよ」って話になりますね。目的は何かってことですよね。

大柴 氏:
そうそう。確かに順位は上がるかもしれないけれど、あなたの目的はどこにあるんですか?って話なんです。例えば「順位を上げたい」とか「リードを獲得したい」とか。目的がはっきりしていないから、適当なランディングページやホームページができてしまう。

目的を考えた上で、今の時代に即している手法をとることが正解に一番近いんだと思ってます。

まとめ

SEO対策については日々様々な情報が飛び交っており、中には方法論に終始している情報も多く見受けられます。しかし、時代やユーザーによってどのようなWebページGoogleから高い評価を受けるか変わり続けています。

ただ盲目的に手段に固執するのではなく、そのときの状況やユーザーのニーズを捉えた上で、好ましいホームページコンテンツを制作しましょう。
SEO対策の目的(「リードを獲得したい」「認知度を上げたい」「ブランディングしたい」等)を明確化し、それに即した対策を講じていくことが重要です。

Photo by 青木勇太