NPOが社会課題や団体の認知を高めるため、ソーシャルメディアブログなどを活用して、情報発信を行うようになってきました。しかし、ただ発信するだけでは、これまで接点のなかった人々には、なかなかリーチできません。

発信力が強くないNPOが多くの人に認知してもらうために有効な手段の一つが「キャンペーン」です。今回は、NPOがWeb上でキャンペーンを展開するときの考え方について、様々な事例をもとに紹介していきます。

NPOがキャンペーンに取り組む上で重要な3つのキーワード

多くのキャンペーンは、社会課題に関連した「記念日」や「イベント」に合わせて実施されます。ですが、NPOは予算が潤沢にあるわけではなく、少ない予算やリソースでも大きな効果を生み出せるように工夫しなければいけません。

キャンペーンを考える上で、抑えておきたいキーワードとなるのが以下の3つです。

  • マッシュアップ
  • コラボレーション
  • ムーブメント

マッシュアップとは、複数のWebサービスを組み合わせて活用することで価値を生み出すこと。コラボレーションは外部の力を借りることで、より効果を大きくすること。ムーブメントは、多くの人が参加しやすいような設計を行うことを指します。

順番に、各キーワードの概要と具体的な事例について紹介していきます。

既存ツールを組み合わせ、予算をかけずに効果を高める

キャンペーンを行う際、既存ツールをマッシュアップすることで、可能なことが増え、負担は減ります。マッシュアップに使えるツールの中には、NPO向けに無償や割引価格で提供するサービスもあります。

マッシュアップの具体的な事例として、NPO法人チャリティーサンタが実施しているキャンペーンを挙げてみます。このキャンペーンでは、検索連動型広告Webサイト作成ツールが使用されています。

キャンペーンの内容は、クリスマスにサンタクロースからの手紙が子どもたちに届くというもの。保護者事前に「手紙」を申し込み、子どもへのメッセージをフォーム上に記入すると、そのメッセージが記入された手紙が12月20~22日に届く仕組みです。

手紙の中身はオリジナルの文章にできるだけでなく、サンタクロースが家に訪れるための「魔法のカギ」が届く体験など、子どもたちを喜ばせる仕掛けが用意されています。

手紙は一通1,700円で、売り上げの一部は経済的に厳しい状況にある子どもたちに寄付されます。子どもに手紙を購入することが、チャリティーにもつながっているのです。

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チャリティーサンタが行っているキャンペーンの概要

このキャンペーンでは、Google検索広告Webサイトを容易に作成できるサービス「ペライチ」を組み合わせた「NPO広報強化プログラム」が使われました。このプログラムは、Googleとペライチがサポートし、NPO法人Make it Betterが企画運営を行っています。

NPO広報強化プログラムでは、Googleが毎月1万ドル分の検索広告費を助成する「Google Ad Grants」と、ペライチの有料プランの無料利用が可能になります。指定したキーワードを検索したユーザーに、ペライチで作成したWebページへの広告を掲載する仕組みです。

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Google Ad GrantsのWebサイト

このプログラムを活用することで、これまでリーチできなかった層に届けることが可能となり、チャリティーサンタのWebサイトFacebookシェアは約6,500となるなど、キャンペーンは大きな反響が得られたそうです。集まった寄付により、熊本地震で被災した子どもたち約1,100人にサンタクロースからの手紙が送られたそうです。

その他にも、組み合わせることで効果を発揮するツールとして、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」の非営利団体向けの無償提供プロジェクトブログサービス「はてな」のNPO支援プログラムなどもあります。既存のツールを組み合わせて活用することで、予算が潤沢でないNPOでも、効果的なキャンペーンの展開が可能になります。