外部の専門家や著名人の力を掛け合わせる

2つ目のキーワードは、「コラボレーション」です。自分たちだけでなく、外部の専門家や団体、著名人の力を掛け合わせることで、キャンペーンの効果を大きくするのが目的です。

その一例として、インフルエンサーマーケティングがあります。インフルエンサーとは、ソーシャルメディアブログなどで多くのフォロワーを持ち、その人々の意思決定に大きな影響を与える人のことを指します。

インフルエンサーマーケティングとは、自社の商品やコンテンツをインフルエンサーに利用してもらい、その過程を発信してもらう手段です。インフルエンサーの協力を得て実施された事例として、NPO法人Youth CreateのキャンペーンFIRST STEP」があります。

2013年7月の参議院選挙は、インターネット選挙運動が解禁された最初の選挙でした。FIRST STEPでは、登録されたソーシャルメディアアカウントに対して、投票日前日に自動でメッセージを配信することで、参加者の投票を後押しするキャンペーンを展開しました。

キャンペーン中は、情報発信力のある識者が賛同者として参加し、ソーシャルメディア上で発信。複数のメディアへ掲載されたことにより、情報が拡散され、結果的に660万人を超える人にリーチしました。

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「FIRST STEP」のWebサイト

ここで気を付けなければいけないことは、単にフォロワー数の多さだけでインフルエンサーを決めてはいけないということです。リーチしたいユーザー層やブランドイメージを照らし合わせた上で、依頼するインフルエンサーを決めなければなりません。

インフルエンサーの活用以外にも、コラボレーションの事例としては、お金がなくて塾に通えない子供たちに教育機会を提供する「スタディクーポン・イニシアティブ」(以下、スタディクーポン)があります。ここでは公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンとNPO法人キズキが事業運営を行う、2017年10月に発表されたキャンペーンです。

スタディクーポンにおけるポイントは、NPO単体で課題解決に取り組むのではなく、行政と企業が連携して取り組んでいることです。第1弾として渋谷区が参画したのをはじめ、学習塾や家庭教師など多くの教育事業者が賛同。発表時にはクラウドファンディングを行ったことで、より情報が拡散され、目標金額を大きく超える1,400万円の支援が集まりました。

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スタディクーポン・イニシアティブが行ったクラウドファンディング

外部とコラボレーションしたキャンペーンを展開することで、自分たちだけでは届けることが難しかった層に情報を届けやすくなります。キャンペーンを企画するNPOは、一緒に取り組む企業や団体にとっても取り組む理由はあるか、メリットは何かを明確化しておくことが重要です。

社会に大きなインパクトを与える「参加性のデザイン」

最後のキーワードは「ムーブメント」です。多くの人々が参加できるキャンペーンにすることで、大きなうねりを作り出し、キャンペーン自体も広く認知されていきます。たとえば、NPO法人Table for Twoによる「おにぎりアクション2017」が、事例として挙げられます。

このキャンペーンでは、おにぎりの写真を撮り、ハッシュタグ「#OnigiriAction」をつけてソーシャルメディアに投稿します。写真1枚につき、協賛企業から給食5食分に相当する100円が、アフリカやアジアの子どもたちに寄付される仕組みです。国連が制定した10月16日の「世界食料デー」にあわせて開催されました。

Webサイトでは、投稿された写真を世界地図上で見ることができたり、投稿された写真を集めてモザイクアート(子供たちの絵)を作ることもできるように。ただ写真を投稿するのにとどまらず、活動に参加したくなる仕組みが用意されていました。

キャンペーンでは、16万枚を超えるおにぎりの写真がソーシャルメディアに投稿され、給食90万食分(4,500人の子どもたちに1年分)に相当する寄付が集まったといいます。

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Webサイトでは、世界地図上で投稿された写真を見ることができます

NPOも、多くの人が共感するテーマと掛け合わせたキャンペーンを行うことで、ソーシャルメディアなどでも情報が拡散しやすくなり、より大きなインパクトを与えることが可能になるでしょう。