「再魔術化時代」の到来

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落合 氏は、現代を「再魔術化時代」の到来だと考えています。

近代以前の時代は、実体のないものを魔術だと捉える「魔術化の時代」でした。例えば、食物に火を通すと長持ちすることを、「火は“浄化”するもの」だと考えていたのです。

しかし、科学が進歩すると「火は細菌を殺すもの」であると、根拠を明確に説明できるようになりました。正体の知れない“魔術”は少しずつ潰えていき、「脱魔術化」します。

そして現代では、誰もが複雑なテクノロジーを、その仕組みを知ることなく使いこなしています。普段仕事で使っているパソコンの仕組みを詳しく説明できる方は少ないでしょう。

テクノロジーの仕組みや原理は理解できないけれど、生活には根付いていて、多くの人が当たり前のように利用している。その時代を、落合 氏は「再魔術化時代」と呼びます。

「この魔術を超えた先、多分僕らはより自然に近づいていくんじゃないかなと思っています。ここでいう自然とは、“ロハス”とか“野に帰る”とかではなくて、今ある自然な状態と、人工的な自然の区別がつかなくなるということ。

コミュニケーションツールも、そんな風に画面や既存のもののフレームを飛び出して、デジタルと自然が融合したものに変わっていくんじゃないかと思います。」(落合 氏)

まとめ

スマートフォンに代表されるように、デジタル技術が進化・普及するにつれて、人々は当たり前のようにその技術やデバイスを日常生活の中で使いこなしています。

そのテクノロジーが生活に浸透すればするほど、私たちはその“テクノロジー”と、これまでの生活において当たり前だった“自然”の境界を曖昧なものにしていくでしょう。

顧客とコミュニケーションをとるとき、自社のサービスがいかに“フレーム”を飛び越え、顧客の日常生活に浸透しうるか、当たり前の存在になるかが、今後は大きな課題となってくるのではないでしょうか。