こんにちは、株式会社ブレインパッドでソーシャルメディア分析を担当している福江です。

突然ですが、海外でも使える世界共通の日本語ってご存知でしょうか?

海外でも現地の言葉に変換されることなく日本語の発音、綴りそのままで利用される言葉です。例えば、メッセージアプリなどで使われる「絵文字」は海外でも「Emoji」と書きます。スマートフォンが日本に進出し、iOSやUnicodeでサポートされたことがキッカケとなり、今では世界中で使われています。

同じように世界共通の日本語の1つとして「Kawaii(カワイイ)」という言葉があります。

今回は、世界中のInstagramの投稿をもとに、各国の「#kawaii」のハッシュタグ投稿を分析してみました。

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「Kawaii(カワイイ)」は世界共通の日本語

「Kawaii(カワイイ)」という言葉は、*“21世紀に入って世界に最も広まった日本語”*とも言われるほど世界各国で共通語として使われています。

日本語の「かわいい」を英語に直訳すると「Cute」と言うことも出来ますが、英語の「Cute」は“子どもっぽい”、“未熟”というニュアンスもあり、相手を見下している印象を与えてしまう可能性もあり、日本語の「かわいい」が表現する範囲の広さに鑑みるとニュアンスが異なります。

その他の言語でもぴったりと当てはまる言葉を探すのが難しいため、「Kawaii」という言葉がそのまま使われるようになったと言われています。

国別のKawaiiをInstagramから分析

そんなKawaiiですが、同じ言葉でも国民性によって使い方、表現の仕方が異なるのが面白いところです。

今回の分析条件は以下の通りです。

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まずは投稿数の多かった国を世界地図で確認してみましょう。
色が濃いほど投稿が多かったことを示します。

「#Kawaii」を含むInstagram投稿数・国別

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※分析条件にもとづいた約130万件の投稿が対象

地図で見るとアメリカが圧倒的に濃く、ロシアあたりも少し濃いようです。では、さらに具体的に投稿数が多い上位10か国を確認してみます。

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※分析条件にもとづいた約130万件の投稿が対象

各国のInstagramのユーザー数にも依存するため一概には言えませんが、アメリカがダントツで投稿数が多く、イギリス、ロシア、イタリアなどが続きます。
全体的にヨーロッパを中心に欧米の国々が多いです。

個人的にロシアが3位というのはあまりイメージがなかったので少々意外でした。

今回は上位10か国の中から地域性を考慮して、北米のアメリカ、ロシア、欧州のフランス、南米のブラジル、東南アジアのインドネシアの5か国に絞って、「#kawaii」と一緒に使われているハッシュタグ10個を、国別のランキングで見てみます。

「Kawaii」と一緒に投稿されているハッシュタグ上位10件(#cute除く)

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※各国別投稿からランダムサンプリングされた投稿をもとに作成

各国のハッシュタグを見ると、#loveのようにどの国でも投稿数が多いものもあれば、フランスの#paris(2位)、アメリカの#otaku(9位)、ブラジルの#tumblr(2位)などのように特定の国のみ投稿数が多いものもあります。

やはり日本発祥の言葉のため、アニメ、コスプレ、マンガなど日本文化に関連するキーワードが多いです。

次に、実際の投稿を見ていきましょう。

国別「Kawaii」 Instagram投稿

●アメリカ(上位ハッシュタグ:#anime、#makeup、#otakuなど)

アメリカはアニメ系のハッシュタグ、ファッション系のハッシュタグが上位に見られる傾向があります。

ハッシュタグのみだとわかりづらいですが、色味がピンク系の画像が今回調べた5か国の中では最も多く投稿されています。

●ロシア(上位ハッシュタグ:#beautiful、#beauty、#russiaなど)

ロシアは“美”を意識したハッシュタグが上位に多く見られます。

今回調べた5か国の中では圧倒的にイラストや画面キャプチャが少なく、人物の写真が多いのが印象的でした。

●フランス(上位ハッシュタグ:#paris、#art、#picofthedayなど)

フランスは「#paris」という都市名が上位に来ているのが他の国とは大きく異なる点です。

フランスではコスプレが人気というのをマスメディアで報道されることもありますが、意外にも「#cosplay」のハッシュタグは、今回の調査でランクインしていませんでした。

●ブラジル(上位ハッシュタグ:#tumblr、#girl、#photographyなど)

ブラジルは、ブラジルで人気のSNSのTumblrのハッシュタグが上位に来ています。

Tumblrはメディアミックスブログサービスとも言われ、イラストやゲームなどと相性が良いと言われているサービスです。投稿もTumblrのイメージにマッチした画像が中心でした。

●インドネシア(上位ハッシュタグ:#like4like、#japan、#l4lなど)

インドネシアは「#like4like」「#l4l」のハッシュタグが上位に来ています。

これらのハッシュタグは、「いいね!してくれたら、いいね!するよ」の意味であり世界中で利用率は高いですが、上位10位までに2つランクインしているのは、インドネシア特有の流行なのかもしれません。

その他にはコスプレやアニメのイラストなどが多く見られました。

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書籍『若者の「生の声」から創る SHIBUYA109式 Z世代マーケティング』の著者・長田麻衣氏に、書籍の内容を交えながら、Z世代の価値観を理解するためのヒントを伺いました。

番外編~Kawaii活動~

ヨーロッパやアメリカで特に人気があります。イギリスでは、「Kawaii人ナンバー1」を決めるコンテストが開催されていたり、フランスなどでは「Kawaii」が単なる流行ではなく、ひとつのファッション・ライフスタイルとして定着してきています。
経済産業省や文化庁でも、日本のファッションが世界で広がるよう、イベントを開いたりしています。

文化庁~「Kawaii」という言葉で、世界を一つにできるか?

「KAWAII」が,世界でどのように広がり, どのように支持されているのかを実際にこの目で確認するということが目的のひとつでした。

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ボリビアのワークショップに集まったKAWAII文化のフォロワーたち

そこで, 2014年より世界中で取り組んでいる「タイム・アフター・タイム・カプセル」というアートプロジェクトを,訪間国各都市で実施することにしました。
これは,各都市の美術館などにハローキティやテディベアなどのキャラクター型の透明なタイムカプセルを設置し,ワークショップを開催して未来へのメッセージを書いてもらい,それを可愛くデコレーションして,カプセルに納入してもらう…という参加型の作品です。

カワイイという言葉に惹かれてそこに集まる人びとや,タイムカ
プセルの中に入れられたカワイイものや未来へのメッセージ。
それらはすべて「希望」という言葉に置き換えられ,今という時代の空気感ごと,アーカイブしてしまうことで,時代に対する閉塞感や人種・宗教・性別・国境などの様々なボーダーを乗り越えてしまおうというのがこの作品の大きな主旨です。

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プラジルでのTIME AFTER TIME CAPSULEにて手紙を入れる様子

その後タイムカプセルは,一旦2020年のオリンピックイヤーに世界各地から東京に送られ,縦に大きく積み上げて,大きな「KAWAII」モニュメントとして制作していきます。
交流使としての訪間国(オランダ,アメリカ,南アフリカ,アンゴラ,ボリビア,ブラジル)では,「KAWAII」についてのレクチャーとタイムカプセルの手紙のワークショップを実施しました。
アフリカのアンゴラでは, 日本という国への関心が少ないと聞いていましたが,実際現地を訪ねれば,そんなことは全然なく,むしろ多くの日本の知識と興味を持って参加してくれました。南米のボリビアでは,近隣のペルーやチリなどの国からも駆けつける参加者がいたりと,南米らしい熱を持ったイベントになりました。
ブラジル・サンパウロでは,会場であるジャパン・ハウスのイベントの中でも,過去もっとも多い参加者が集まり,訪問国中最大のイベントになりました。
どの国も熱狂的に迎え人れられるさまをこうやって体験すると, 日本のポップカルチャーの影響力の大きさを感じずにはいられません。
そのほかにもコスプレイヤー向けイベントを応援するKAWAII JAPAN㈱の活動を書いた記事がありますので参考にしてください。

コスプレ応援アプリ[COSPO]運営のKAWAII JAPAN株式会社

SNSで海外から見た日本を知る

今回はInstagramの投稿から各国の文化の違いを分析しました。

ソーシャルリスニングの利点の1つとして、海外の調査でも日本にいながら行うことが出来るため、従来の調査手法に比べて手軽に安価なリサーチが行えることがあります。

日本だけ見ているとなかなか気づけないような新しい発見が、海外のユーザーから得られるかもしれません。

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