インターネットソーシャルメディアの登場により、誰もが情報発信できる時代となりました。最近では、企業が自らメディアを立ちあげ、情報発信を行う「オウンドメディア」を運営するケースが多く見られます。こうした流れは、NPOにとっても例外ではありません。

継続的に発信することができれば高い効果が狙えるオウンドメディアですが、運営にかかるコストや日々のコンテンツ制作など、実践するためには高いハードルがあるともいえます。そこで、今回は参考にするべきNPOのオウンドメディア事例を紹介していきます。

参考:
オウンドメディアとは?今からでも大丈夫!初心者でも分かる成功の指南書

二枚目の名刺:2枚目の名刺webマガジン

最初に紹介するのは、NPO法人 二枚目の名刺が運営する「2枚目の名刺webマガジンです」です。2枚目の名刺とは、組織や立場を超えてこれからの未来を創る人が「2枚目の名刺」を持つことが当たり前になる社会を目指し、そのきっかけ作りを行っています。

オウンドメディアでは、団体の活動報告やイベントレポートに加えて、実際に副業やプロボノなどを通して2枚目の名刺を持っている方にインタビューを行っています。

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引用:http://magazine.nimaime.com/

サイト内には、オウンドメディアの位置付けとして「会社人が二枚目(かっこいい)な社会人になるときに立ち寄る場所として、情報発信を行っている」ことが記されています。

更新頻度は、週に1~2回。特徴的なのは、団体内だけで運用しているのではなく、オウンドメディアの制作支援を行うサムライトがコンテンツ制作を行っていることです。リソースの足りないNPOにとっては、こうした外部の力を活用することも一つの手段といえるでしょう。

難民支援協会:ニッポン複雑紀行

次に紹介するのは、認定NPO法人 難民支援協会が運営する「ニッポン複雑紀行」です。難民支援協会とは、難民を救うこと、難民を受け入れられる社会を作ることを目指している団体。難民申請の手続きや来日直後における衣食住、就労、地域との関係づくりなどの支援を行っています。

ニッポン複雑紀行は、難民を受け入れられる社会を作るというミッションの達成に向けて開設されました。2017年12月に発表されたリリースには、「日本における複雑な移民文化や移民事情の一つひとつを、単純な図式に当てはめることなくじっくり紐解いていく」と記されています。

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引用:https://www.refugee.or.jp/fukuzatsu/

コンテンツの特徴としては、1つの物語や歴史の紹介だったとしても、記事の末尾にコラムとして定量的なデータが提示されていることです。こうした工夫により、読者に納得感を持ってもらったり、自分事化してもらうことにつながりやすくなるでしょう。

更新頻度としては、月1~2回となっています。しかし、二枚目の名刺と同様に、ライター・編集者として継続的にNPOの支援に携わってきた望月優大さん(株式会社コモンセンス代表)が編集長として参画しており、少ない更新だとしても多くの読者に届けている印象があります。

フローレンス:フローレンスNEWS

「病児保育」「障害児保育」などに取り組むNPO法人フローレンスも、団体のWebサイト内で「フローレンスNEWS」というオウンドメディアを運営しています。「働き方改革」や「アクション最前線」といったコーナーがあり、更新頻度も毎日約1本と多いです。

どのコーナーにおいても、事業を始めた背景にある社会構造の問題や進捗について、ただ活動報告として紹介しているだけでなく、識者との対談やインタビュー、担当者の思いが込められたブログとして紹介されており、非常に読みごたえがあります。

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引用:https://florence.or.jp/news/

記事の文末にはフローレンスへの寄付や求人へのリンクが貼られていることが多く、コンテンツを呼んで共感した人がそのままアクションを起こせるように設計されていのが特徴的です。

NPO法人グリーンズ:greenz.jp

次に紹介するのは、NPO法人グリーンズが運営している「greenz.jp」です。グリーンズは「ほしい未来は、つくろう」をミッションとして掲げ、未来にポジティブに向き合う人を増やすこと。オウンドメディアの運営を柱に、イベントを開催したり、講座なども展開しています。

greenz.jpでは、社会課題を誰かのせいにするのではなく、楽しみながら解決している人や組織の活動を「ソーシャルデザイン」と呼び、コンテンツとして発信してきました。公開している記事は、年間約600本。2015年の平均ユニークユーザーは、月間23万人だそうです。

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引用:https://greenz.jp/

グリーンズは寄付会員を「greenz people」と呼び、集めた寄付を原資にメディアを運営するコミュニティ型のメディアであるのが特徴です。寄付会員は、Facebookグループで会員同士の交流を楽しめたり、オフ会などの開催を通してコミュニティを一緒に作っています。

NPO法人ETIC.:DRIVE

最後に紹介するのは、NPO法人ETICが運営する オウンドメディア「DRIVE」です。

ETICは、20~30代の若者を中心に、長期型インターンシップやコミュニティづくりを展開してきました。その過程で生まれたのが、NPOやソーシャルビジネス、ベンチャーなど「未来を創る」仕事に特化した求人メディア「DRIVE」です。求人メディアとして展開していたDRIVEですが、途中から求人とオウンドメディアに分かれた形で運営されています。

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引用:https://drive.media/

サイト内には、コンテンツを通してETICや求人事業で対象としている未来を創る人たちを応援し、その動きを加速させていくことが目的として挙げられています。読者がコンテンツを読み、求人やETICへの事業に応募することにもつながっていくでしょう。

まとめ:発信する目的を明確にしよう

ここまで紹介したように、オウンドメディアとして発信することで、より活動に対する認知や共感が高まり、寄付や求人への応募につながりやすくなります。またグリーンズやETICのように、オウンドメディア自体が事業につながっていく可能性もあるでしょう。

効果的な運用を行うためには、発信する目的と、それを実現するためにどのようなコンテンツを作らなければいけないかを明確にする必要があります。そのときには、2枚目の名刺webマガジンやニッポン複雑紀行のように、協力者の力を活用することも検討してください。