動画の未来はどうなる?

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渋谷 氏:
動画の未来はどうなっていくと思いますか?

前田 氏:
動画には「幅」か「深さ」かという2つの切り口があります。今までは何人に認知されたかという「幅」が重要視されて来ました。でもこれからは「深さ」が重視されると思います。コンテンツへの入り込み方によって、1インプレッションあたりの単価が100倍ぐらい変わってもおかしくないと思っています。

これからの動画は、より深く入り込めるものを作っていけるかどうかです。なぜ深さが重要かというと、深さがビジネスになり始めているからです。2017年の上半期アプリの売上で「Netflix」を超えて「SHOWROOM」が1位ですってなったことがありますが、これは1人ひとりの深さが「SHOWROOM」は深くて、それをマネタイズできたからだと思っています。

広告業界でも同じことが起きると思っていて。深くユーザーに刺さる動画は1インプレッションあたりの単価がどんどん上がっていくだろうと。

じゃあどうやって動画で深さをとれるかって話になりますよね。深さを取るには「クオリティ」か「リアリティ」のどちらかだと思います。「ONE MEDIA」の明石ガクトさんなんて、1本1千万円以下では動画を作らないと言っています。自分たちは一定のクオリティ以下のものは作らない。お金をかけて、ユーザーの共感や感動を呼び起こすものを作ってグッと入っていく。

渋谷 氏:
それはすごく共感できます。フラーでもお客さんのサービスのアプリを開発するってことをやっていますが、予算がある程度ないとやらないようにしていますね。結局うまく行かなくなってしまうので。

前田 氏:
「スターウォーズ」などの映画もそうですよね。膨大にお金をかけてクオリティ側に寄せている。

そしてもう1つは「リアリティ」で、全く逆のことをします。どれだけお金をかけずに、次の瞬間に何が起きるかわからないドキドキを生み出せるかということで深さを作っていくんです。

エンタメコンテンツの10年後

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渋谷 氏:
スマートフォン、動画、ゲーム、AR/VRなど、様々なエンタメコンテンツがありますが、10年後のエンタメコンテンツはどうなっていると思いますか?

岩城 氏:
正直なところ、10年後はわからないですね(笑)
日本の会社はどうなって行くかという視点で話させてもらうと、もう少し自分たちが何者かを考えて海外に向けてやっていかなきゃいけないと思います。

というのは、日本は同質性が高い民族だからユーザーの顔が想像しやすいんです。でも海外に発信するのであれば、そうはいきません。どれだけデータドリブンになるかというのがすごく重要で、データを重ね合わせてアナリティクスをしていかなければいけない。

コンテンツそのものについてはどうせ想像がつかないものなので、おもしろいと思ったことをやるしかありません。

福田 氏:
僕は人間の妄想をもっと具現化できるような力が欲しいです。言葉にしなくてもいいからコミュニケーションが自由にできて、もっと進化できるようなプラットフォームが作りたいと思います。

前田 氏:
僕はコンテンツの供給側と受け手側がもっと曖昧になって行くと思います。受け手が供給側になっていくって現象がもっと起きていくと思いますね。「SHOWROOM」もそうですし、「YouTube」もそうですよね。

あとは、もう1人の人格、現実世界とは別のアイデンティティをみんなが持っている時代がくると予測しています。アバターって概念は今までもありましたけど、あれを本気でやりきろうと思っていて。

現実世界って生きにくいじゃないですか。見た目が嫌とか……。僕らは今はまだ見た目もフレッシュですけど、だんだんとそうではなくなっていくと思うんです。現実世界で僕らが抱えているコンプレックスや今後抱えるコンプレックスを排除した世界の方がいいのではないか、ということです。その世界は今はまだ居心地がよくないけど、今後はどんどんそっちの世界にいくかもしれない。今でもすでにバーチャルYouTuberが出てきていますよね。

テキストを認識して音声転換したり、動画をテキストに転換したりできるテクノロジーも進んでいます。例えば、裏側でバーチャルYouTuberが手話をしていて、手話をテキストにする。そしてテキストを音声に転換すれば、「こんにちは、バーチャルYouTuberです」と画面上で話している子が、実は裏側では声が出なくて耳も聞こえない。けれども、視聴者側からすれば障がいを持っている人と思わないじゃないですか。そういったものを活用すれば、障がいもまったく関係ない世界になっていく。

そんな世界が作れたらいいなと思いますね。