複業によるオーバーワーク(働きすぎ)を防ぐには?

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睡眠時間を削ってはならない

飯髙:
複業に意欲的で、やりがいを感じているからこそ「頑張り過ぎちゃう人」もいると思います。しかし、その結果オーバーワークしてしまうこともありますよね。それを解消するにはどうしたら良いと思いますか?

西村 氏:
まず、働き方を明確に線引きすることが大切ですね。

チームランサーっていうメディアで記事が公開されたのですが『複業家に贈る5か条』というものがあります。

この中の1つに「自己管理」があります。複業を推進することと、長時間労働の是正とか過労死・過労自殺の是正は、相反するんじゃないかという議論がよく起こりますが、明確に相反しませんと。

なぜなら、「会社員」というのは指揮命令をかけ、ほぼ強制的に長時間労働させられるのに対して、複業というのは自分の意思で誰に指示されるよりも自分の意思で「at will」でやるものです。

そのため、複業が原因となって過労死するということは無いと考えています。ただし、人間は研究活動みたいな分野で、研究者が研究に没頭しちゃって三日三晩飲まず食わずで寝ずに研究し、その結果体壊しちゃうみたいなことは起こりえます。

そこで、自己管理の最低限の線引きとして睡眠時間を削り始めたらアウトと考えるんです。睡眠時間を削らないというのを最低限のラインとして、タイムマネジメントをしましょうと話をしていますね。睡眠不足からメンタルの不調は始まりますから。

参考:
【後編】複業は百利あって一害なし!いま複業を考える人に伝えたいこと 〜複業研究家・西村創一朗さん〜

“収入だけ”のために働いても続かない

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飯髙:
睡眠は一番削ってはいけないところですね。5か条の中には、「本業専念」というのがありますね。これも、まさにそうだなって思いました。ちょっとお金欲しいからとか上手くいかないからね。

西村 氏:
そういう考え方で、相談を受けると「うまくいかないからやめておいたほうがいいよ」みたいに伝えていますね。

飯髙:
うちの会社(株式会社ベーシック)には、副業制度があり、相談を受けることがあります。「ここで複業しようと思う」と言ったときに、理由を聞くようにしているんです。

やっぱり若い子にありがちなのは、副収入を増やしたいというもの。そういうときは「だったら本業で成果出したほうが収入が伸びるのは早いよ」って教えちゃう。

実は、弊社にferret One(フェレットワン)というプロダクトのセールスを担当する、ぴろり(@pirori3182)という名前で活動している女性社員がいるんだけど、その子はferret Oneを使ってブログを書いているんです。

その意図は「自分で売りに行っているのに、そのプロダクトを自分自身が使っていないのは気持ち悪いから」ってことだと思う。そしてブログを熱心に更新していることから派生して、今では複業として他メディアに記事寄稿してるんですよ。これは素晴らしい複業だと思ってる。

西村 氏:
それはマインドがとても前向きな複業ですね!

飯髙:
それが自分の営業トークに反映されて複業が本業に活きるから、相乗効果が生まれているんですよね。

僕が soar(ソア)でWebマーケティングアドバイザーとして手伝っているのも、彼らの思想に共感しているから。自分がその環境から学ぶこともあるって思うんです。

例えば、記事がsoarで公開されたときって、みんな一斉にSlackで声を掛け合ってTwitterとかにシェアするんですよね。それも、自発的に。そういう環境ってどうやったら生まれるんだろうって学んでいます。

西村 氏:
その話を聞いてふと思い出したのですが、複業には2つの方向性があるんです。

1つはなるべく本業から遠ければ遠いほうがいいというアプローチ。これはイノベーション理論で、ヨーゼフ・シュンペーターが「イノベーションというのは既存のものと既存のものからなる新しい組み合わせである」と定義していますが、今やっている「既存の物(本業)」と、なるべく遠いもののほうがインスピレーション生まれやすいというアプローチがあります。

2つ目は、本業でやっていることを活かして横展開するというインサイドアウトのアプローチと、本業でより成果を出すために足りないピースを複業から得ていくというアウトサイドインのアプローチ

全てに共通しているのが、本業というコアがあることですね。

例えば、飯髙さんはWebマーケティングのプロですが、実は着物のコレクターだったと仮定します。これはすごく良い複業なんですよね。

つまり、遠いものを無理やり探したわけでは無く、内から湧き上がっている「偏愛」みたいなものだからです。これを突き詰めたら、たまたま本業から遠かったというのが良いんですよね。

なので、もし複業をしたいと考えているのであれば、自身がハマっているものに取り組むのがおすすめです。