アートやテクノロジーなどの最先端の情報を、動画で届けているメディア「bouncy(バウンシー)」。そんなbouncyが、すでにテキストメディアで活躍しているライターを「動画ライター」として起用することが先日話題になりました。

動画なのに「ライター」と表記する理由や、これからの「メディア」について、bouncy 編集長の清田いちる氏に、bouncyの狙いと動画メディアの未来の話を伺いました。

清田いちる氏プロフィール

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ニフティ株式会社にて数多くのサービスを立ち上げる。特に「ココログ」は国内初の本格的商用ブログとして、ココログ内の「眞鍋かをりのここだけの話」は初の「ブログの女王」として注目された。2006年に退社後、「ギズモード・ジャパン」を立ち上げ、初代編集長を2012年まで務める。同時期にシックス・アパート株式会社に入社。新規事業担当シニア・ディレクターとして「Zenback」「ShortNote」など様々なサービスやメディアの企画を行う。2018年1月に株式会社Viibarに参画し、bouncy編集長に就任。

ライターの企画力は、動画でも活かせる

ferret:
最初に「bouncy」がどのようなメディアなのか教えてください。

清田氏:
bouncyは「未来を感じる」最先端の情報を、スマートフォンで見やすい形で配信する新しい時代の動画メディアです。

最先端のテクノロジーや思わず驚嘆する秀逸なアイデア、わくわくするアートなどを紹介しています。

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引用:bouncy / バウンシー | 未来のライフスタイルが見える動画メディア

ferret:
先日bouncyでは、「動画ライター」を募集されていましたよね。動画ライターとは、具体的にどのような仕事をするのでしょうか?

清田氏:
bouncyのコラム枠で、自分の興味関心があるものに取材をしたり、好きなものを紹介したりする人のことを弊社では「動画ライター」と呼んでいます。雑誌のコラムコーナーと同じようなイメージですね。もちろん、動画編集も動画ライター自身で行います。

ferret:
一般的に動画コンテンツを制作する人を「動画クリエイター」と呼ぶことはありますが、「動画ライター」と呼ぶことは少ないのではと思います。なぜ動画なのに「クリエイター」ではなく「ライター」と呼んでいるのでしょうか。

清田氏:
「ライター」は、文字を使ってニュースやストーリーを伝える人のことを指しますよね。

ただ、ライターの仕事は「文字を書く」だけが仕事じゃないと思うんです。取材や企画、編集や拡散までも一般的なWebライターは行なっています。

Webライターの取材力や構成力、読者を意識した企画の立て方などは、テキストでも動画コンテンツを作るときでも実は共通して活きるスキルなんですよね

今後テキストメディアがどんどん動画メディアに変わっていく中、「動画ライター」という新しいライターのキャリアがあってもいいんじゃないかと。そんな思いから、「動画ライター」という名前をつけました。

ferret:
動画コンテンツの発信の場としては「YouTube」が有名ですよね。そこで動画を発信する人々は「YouTuber」と呼ばれています。

bouncyの動画ライターと、YouTuberとはどのような違いがあるのでしょうか?

清田氏:
「何が主役になっているか」の違いがあると思います。

例えばiPhoneを紹介する動画の場合、「今日はiPhoneを紹介するよ」の一言を取ると、YouTuberでも動画ライターでも同じに見えますよね。でもYouTuberの場合は、良くも悪くも主語が「俺」なんです。

「俺のチャンネル」で、「今日の俺はこんなことを紹介するよ!」という……。

ferret:
「iPhoneを紹介する俺を見て!」みたいな(笑)

清田氏:
そうですね(笑)

bouncyでは、あくまで「紹介する対象」が主役です。対象のモノの良さを伝えるために紹介する人の顔を見せているので、ライターは黒子というか。

ただし、動画ライターの「自分らしさ」をまったく出さないということではありません。あくまでもその人のコラムコーナーという立ち位置なので、まったくその人らしさが出ないのもおかしいじゃないですか。

主役は「モノ」だけれど、その「モノの良さ」を伝えるために、自分はそれをどう紹介すればいいのか。メディア編集者やライターのように、企画して動画を作るスキルを期待しています。