動画マーケティングに取り組む企業が年々増えていますが、いざ動画を企画制作する際に迷いがちなポイントの1つが "動画尺(長さ)"ではないでしょうか。

残念ながら「●秒なら間違いない!」と断言できるものはありませんが、様々なデータを分析することで一定の傾向を見出す取り組みが各社で行われています。

そこで今回は、"動画コンテンツ"と"動画広告"にわけて、それぞれの動画尺を考える上でヒントになる調査データをご紹介していきます。
  

「動画コンテンツ」の尺

まずは、コンテンツマーケティングの一環として活用される動画コンテンツ(※動画広告ではなく、SNS運用やWebページで配信する動画)の尺に関する2つの情報をご紹介します。
  

各種プラットフォームでの最適な動画尺とは?

昨今は、様々なプラットフォームやメディアから動画を配信することが可能になっていますが、その全てで同じ動画尺で良いのでしょうか。

アメリカ マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くHubSpot社は、様々なデータをもとにYouTubeや主要SNSにおいて理想的な動画尺を提案しています。それぞれのメディアの特性が動画尺に表れる形となっています。

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インスタグラム:30秒

同社によると、最も多くのコメントを獲得しているインスタグラム動画の平均は26秒だそうです。

人の脳は、文字を読むよりもビジュアルを見る方が6万倍も早く認知すると言われており、もともと動画や画像を共有するアプリであるインスタグラムでは、ほかのSNSと比べて、ユーザーが早くフィードをスクロールしているためではないかと考察されています。
  

Twitter:45秒

続いて、Twitter上で「#VideoOfTheDay(意味:今日の動画)」が付けられた動画の平均は43秒だったとのことです。

もともと、140字以内というコンパクトな形でつぶやくというTwitter文化は動画尺にも表れており、45秒程度の短尺動画にまとめることを同社は推奨しています。
  

Facebook:1分

HubSpotのFacebookページに投稿された動画のうち、1分ほどの動画が最もエンゲージメントを獲得したそうです。フィードをスクロールする前に、「いいね!」やシェアをするか否かをすぐに判断できる1分程度の簡潔な動画が好まれていることがうかがえます。
  

YouTube:2分

最後に、YouTubeでは2分ほどの動画が最もエンゲージメントを獲得していたという結果が出たようです。SNSとは性質が異なり、YouTubeユーザーはそもそも動画を視聴することを目的にアクセスしているため、視聴者をしっかりと楽しませ、満足させることのできる長尺動画を配信することが大切だとしています。

参考:
How Long Should Your Videos Be? Ideal Lengths for Facebook, Instagram, Twitter, and YouTube(Infographic)|HubSpot
  

オウンドメディアで有効な動画尺とは?

続いては、企業サイトやサービスサイト等のオウンドメディアで動画を配信する際の動画に関するデータをご紹介しましょう。

動画マーケティングプラットフォームを提供するTwentyThree社は、同社のプラットフォームから配信された150万本の動画における17億回のインプレッション、6.5億回の動画再生を分析し、動画尺とエンゲージメント(≒視聴継続、視聴時間)の関係を示すインフォグラフィックを公開しています。その主なポイントをご紹介しましょう。
  

長尺動画の方が多くのエンゲージメントを得られる

分析対象とした全動画本数のうち、8割が5分以内の動画でしたが、それら動画が生み出したエンゲージメント(総視聴時間)は全体の3割に満たないことがわかりました。これに対し、15分以上の動画が全体の半分以上のエンゲーメントを、45分以上の長尺動画が3割のエンゲージメントを占めていました。

基本的に「動画は短い方が良い」という考え方が定着していますが、オウンドメディアという環境においては、視聴者はその商品や会社に関する有益な情報を求めている状態であるため、長尺でもきちんと視聴してもらえ、視聴者との関係性を構築しやすいということがわかります。

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オウンドメディアでは動画を長く視聴されやすい

オウンドメディア上では、平均3.56分動画視聴した人が66%もいました。かたやYouTubeでは平均58秒視聴した人が23%、Facebookでは20秒ほど視聴した人でも14%にとどまりました。

上述のHubSpotのデータでは、SNSの場合長くても1分程度の動画が推奨されていましたが、オウンドメディアは比較的長尺の動画も視聴されやすい環境であることが、本データからも読み取れます。

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ただし、オウンドメディアなら何でも長尺にすれば良いという訳ではありません。ダラダラと冗長な内容では視聴者は早々に離脱してしまうでしょう。また、視聴者を10分も20分も引き付け続けるには、動画の企画や制作の面で様々なスキルが求められます。

動画の内容にもよりますが、特に初めて動画を制作するマーケティング担当者は、動画の中で訴求すべき内容をきちんと整理し、長くても5分程度におさめることをオススメします。

参考:
The State of Online Video, TwentyThree Report + Infographic|TwentyThree