組織として業務を遂行していくためには、上司や部下、チーム内での情報共有が重要ですが、スムーズに情報を共有できる環境が整えられていないという企業も少なくありません。

そのような課題を抱えている場合、グループウェアの導入がおすすめです。

企業向けIT製品の総合サイト「キーマンズネット」の調査によると、社内での情報共有に利用されているツールとしてグループウェアが挙げられており、中小企業では4年間で29.6ポイントも導入率が増加していることから、近年グループウェアへの関心が高まっていることがわかります。

しかし、実際に自社に合うグループウェアを導入したくても、種類が多すぎてどのように選べば良いのかわからないという方がいらっしゃるのも珍しくありません。
今回は、導入前に知っておきたいグループウェアの機能やメリット・デメリット、選び方などを紹介します。

参考:
キーマンズネット|グループウェアの導入状況(2018年)

目次

  1. グループウェアとは
  2. グループウェアの基本機能
  3. グループウェアを導入するメリット
  4. グループウェアを導入するデメリット
  5. グループウェアの選び方
  6. まとめ

グループウェアとは

グループウェアとは、組織内の情報共有やコミュニケーションを円滑にし、業務の効率化を図るためのソフトウェアです。

社内のサーバーにソフトウェアをインストールして利用するオンプレミス型と、インターネット上のサーバー内で動作しているソフトウェアを利用するクラウド型の2種類に分かれています。

グループウェアの導入は、長時間労働の防止や生産性向上に役立てることができるため、2019年4月からの働き方改革関連法の施行を前に、グループウェアを導入する企業が増えてきています。

グループウェアの基本機能

グループウェアによって搭載されている機能は異なりますが、基本的な機能は以下の通りです。

タスク管理(ToDo)

個人のタスク管理が可能です。
業務の追加や変更、削除ができます。自分がやるべき業務だけでなく、チームのメンバーに依頼したタスクの管理も可能です。

スケジュール

個人やチームの予定を管理・共有することが可能です。
自分の予定の作成や変更、削除をはじめ、メンバーの予定確認や予約などができます。

ファイル共有

社内で取り扱う書類や資料などのファイルを共有できます。
ファイルごとに閲覧権限の設定をしたり、共有されたデータを蓄積させたりすることも可能です。

Webメール

Webメールでのやり取りが可能です。
Webメールの作成から送信だけでなく、メール内容を社内で共有できます。

メッセージ

個人やチームとメッセージのやり取りができます。
チャットのような、リアルタイムなコミュニケーションをとることが可能です。

アドレス帳

取り引き先や顧客の連絡先管理が可能です。
アドレスの登録だけでなく社内への共有もでき、個人用と共有用で使い分けが可能なグループウェアも提供されています。

掲示板

社内全体に向けた情報発信が可能です。
目的ごとに掲示板を作成し、アクセス制限をかけることができます。

アンケート

社内向けのアンケートが実施できます。
記名式・匿名式のアンケートや、社内オリジナルのアンケートを作成できます。

レポート

日々の業務に必要なサポートを作成・共有できます。
議事録や日報、報告書などの作成から提出まで対応可能です。

設備予約管理

会議室やプロジェクターなど、設備の予約管理が可能です。
利用希望者による設備の予約、管理者による利用条件の設定や承認ができます。

ワークフロー

業務の一連の流れを効率化するための機能です。
出張申請や経費清算、稟議書などの申請業務を電子化し、社内ルール通りに処理できます。

以上のように、グループウェアには情報共有やコミュニケーション、業務効率化に関する機能が多数搭載されています。

グループウェアを導入するメリット

情報共有やコミュニケーション、業務効率化に役立つグループウェアですが、導入によって具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。

主なメリットを3つ、活用事例とともに紹介します。

社内共有が簡単になる

グループウェアを導入するメリットとして、社内共有が簡単になることが挙げられます。

グループウェアにはファイル共有や掲示板などの機能が搭載されているため、電話やメール、会議とは異なり、手間をかけずに社内へ情報共有が可能です。

また、スケジュールやアドレス帳などにも社内共有が可能な機能が備わっているため、共有や確認のための時間を省いて業務の効率化を図れます。

パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットなどでも利用できるマルチデバイス対応のグループウェアも多いため、いつどこにいてもスムーズな情報共有が可能です。
特に、営業担当が多い企業にとって、リアルタイムな情報共有ができることは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

【活用事例】
・情報を横断的に活用してビジネスに反映し、企業価値を高めるために20~69歳のスタッフのナレッジを共有(人材派遣会社)
・社員全員が同じ価値観を共有し、考える機会をつくるためにグループウェアを活用(温泉旅館)
・情報共有の活性化が図れるグループウェアの活用によって、働き方や業務改革を推進(市役所)

社内のコミュニケーションが活性化する

社内のコミュニケーションが活性化することも、グループウェアを導入するメリットのひとつです。

メッセージや掲示板、アンケートなどの機能によって気軽に連絡を取り合うことができるため、グループウェアの導入によって社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

認識のズレや業務の抜け漏れといった問題を抱えている場合には、コミュニケーション不足が原因であることが多いため、グループウェアの導入で改善を図れるでしょう。

【活用事例】
・内線電話の取り次ぎや代理対応にかける時間を省くコミュニケーションツールとして活用(酒類小売チェーン運営会社)
・情報資産の散逸防止に向け、社内コミュニケーション環境の整備を行うためにグループウェアを活用(スポーツ用品販売会社)
・複数のサービスを利用したコミュニケーションに限界を感じ、必要な機能がまとまったグループウェアを活用(社会保険労務士事務所)

コスト削減につながる

グループウェアの導入は、コスト削減につながるというメリットもあります。

グループウェアには、ファイル共有やワークフローといった機能が搭載されており、これまで紙に印刷していた資料を電子化することによって、ペーパーレス化が可能です。

紙ベースでの管理は情報が散逸してしまう傾向にあるため、管理業務にかける人的コストの削減にもつながるでしょう。

また、掲示板や議事録の機能の利用で気軽に情報交換ができるようになることから、打ち合わせや会議、出張にかかるコストも削減できます。

【活用事例】
・膨大な専門資料のペーパーレス化を推進するため、資料をデータ化して共有できるグループウェアを活用(老人保健施設)
・長くなってしまいがちな会議の時間短縮のため、グループウェアの議事録機能を活用(大学)
・煩雑なやり取りにかかるコストを削減するため、グループウェアのワークフロー機能を活用(百貨店)

グループウェアを導入するデメリット

グループウェアの導入には、メリットだけでなくデメリットがあることも理解しておく必要があります。

以下で、主なデメリットを2つ紹介しますので、参考にしてみてください。

情報漏洩の危険性がある

情報漏洩の危険性も、グループウェア導入時のデメリットです。

グループウェアはオンプレミス型とクラウド型の2つに分かれています。

社内のサーバーで利用するオンプレミス型のグループウェアより、社外のサーバーとインターネットを介して利用するクラウド型のグループウェアの方が、不正アクセスによる情報漏洩の危険性が高いため、セキュリティ面で不安を感じる企業も少なくありません。

また、誤操作といった人的ミスによって情報が外部に漏れてしまうというケースもあるため、セキュリティ対策が万全だからといって安心してはいけないのです。

大事な情報を見逃す可能性がある

グループウェアを導入するデメリットの一つに、大事な情報を見逃す可能性があることが挙げられます。

グループウェアでは組織内の誰もが簡単に情報を共有できるため、利用人数や頻度が増えるほどグループウェア内の情報量も膨大になり、大事な情報が埋もれてしまう可能性があります。

誰に伝えるべき情報なのかを適切に判断、設定したのちに共有しなければ、情報の見逃しは避けられないでしょう。

グループウェアの選び方

ここからは、自社に最適なグループウェアが導入できる選び方を紹介します。

先ほど紹介したメリットやデメリットも踏まえたうえで、選び方の参考にしてください。

自社に見合ったコストで運用できるか

グループウェアの選び方として、自社に見合ったコストで運用できるかどうかが挙げられます。

「せっかく導入するのであれば多機能かつ高性能のグループウェアを選びたい」と考える方が多いでしょう。しかし、機能が豊富で性能が良いグループウェアほど、導入や運用時のコストがかかります。

一方で、初期費用が無料のグループウェアに魅力を感じる場合もありますが、運用コストも含めて自社に見合っているかを確認しておくことが大事です。

オンプレミス型のグループウェアは、サーバーの準備やソフトウェアの購入など導入コストが高い傾向にありますが、クラウド型は導入コストが安いため、導入形態によるコストの差も把握しておくと良いでしょう。

必要な機能が揃っているか

グループウェアの選び方には、自社で想定する業務に必要な機能が揃っているかを確認することも大切です。

多機能であることを謳っているグループウェアもたくさんありますが、使いこなせないほどの機能が搭載されていても無駄にしてしまいます。

機能の数に関してはコストにも影響してくるため、十分な注意が必要です。

グループウェアの導入前には、自社にとって必要な機能は何かを見極めたうえで選ぶことをおすすめします。

また、カスタマイズ性に着目した選び方によって、導入後でも柔軟に機能の追加や削除できるなど、スムーズな運用が期待できるでしょう。

使いやすく操作性が優れているか

使いやすく、操作性が優れているかも、グループウェアの選び方で重要なポイントです。

いくら機能性に優れたグループウェアであっても、利用者が操作しにくいものだと組織内で浸透せず、導入が無駄になってしまいかねません。

ほとんどのビジネスシーンでスマートフォンやタブレットなどのパソコン以外のデバイスが使用されていることから、マルチデバイス対応もグループウェアの使いやすさを判断する項目の一つだと言えます。

また、海外に拠点がある企業にとっては、グローバル対応についても確認しておく必要があるでしょう。

しかし、実際のところ使ってみないとグループウェアの操作性が良いか悪いかの判断できないということが大半だと思いますので、まずは無料版で試してみてから導入するという選び方も有効です。

セキュリティ対策が万全か

グループウェアの選び方として、セキュリティ対策が万全であることも挙げられます。

グループウェア内では、プロジェクトの情報や個人情報などの重要な情報が管理されることもあるため、セキュリティ面で不安がある状態で導入するのは大変危険です。

近年ではクラウド型に関してもセキュリティ対策がしっかり施されたグループウェアが多数提供されていますが、より強固なセキュリティのもとで運用したい場合には、社内で構築できるオンプレミス型にするという選び方もあります。

サポート体制が整っているか

グループウェアの導入が初めての場合、導入から運用までのあらゆる段階で疑問が発生し、窓口に問い合わせをする機会も多いでしょう。

電話やメール、チャットなど、問い合わせ手段が複数あるサービスの方が、スムーズに疑問や問題を解決できるため大変便利です。

グループウェアを提供しているサービスによって異なりますが、他にも初期設定や活用法の伝授といった導入サポート、トラブル発生時などの保守・運用サポート、導入後の機能追加や変更のためのサポート、専門スタッフによるアドバイスサポートなど、様々なサポートがあります。

サポート体制を重視した選び方で迷わないためにも、自社にとってどのようなサポートが必要なのか、明確にしたうえで選択すると良いでしょう。

まとめ

グループウェアの選び方の基準は、導入する企業によって異なります。

何のために導入するのか、どんな成果を出したいのかといった目的を明確にしたうえで導入を検討することで、より自社に最適なグループウェアの選び方が見えてくるでしょう。

社内での情報共有やコミュニケーションに課題を感じているのであれば、それらの課題をスムーズに解決できるグループウェアを利用してみてはいかがでしょうか。