いまや、多くのマーケターにとって顧客のデータを活用することは必須となってきています。データを活用できなければ、顧客に対して画一的なコミュニケーションを続けてしまい、最悪の場合、顧客が望んでいない情報を提供して、不快感を与えてしまいかねません

そんな状況を打破するべく、データマーケティングを最適化するためにマーケティングツールを導入し、確実に成果を上げている企業が増えてきています。本記事では、マーケティングプラットフォーム『b→dash』監修の元、b→dash利用企業やイベント参加者から、EC、飲食、金融など、あらゆる業種のリーディングカンパニー150社のマーケターから聞いた、マーケティングオートメーション(MA)導入後にやるべき、成果に繋がる10の施策をご紹介します。

本記事でご紹介する施策は一見すると「当たり前」と思われるかもしれませんが、成果を出している企業やマーケターは、難しい施策を打つのではなく、当たり前の施策を徹底的にやることで成果を上げています。

認識合わせ!マーケティングオートメーション(MA)とは?

すでにご存知の方は多いかと思いますが、10の施策をご紹介する前に、そもそもMAとは何なのかについて簡単にご紹介します。MAとは、「獲得した見込客(=リード)に対して最適なコミュニケーションを行い、エンゲージメントを高め、購買意欲が高まった見込客へと育成をした段階で営業に引き渡す、もしくは購買に結びつける」という一連のマーケティング活動を自動化するツールです。顧客や見込み顧客がこれまでとってきたアクションをもとに、「最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける」ことを目的に利用されます。
MAを用いてマーケティングを最適化することで、大量のリード対応に忙殺されることなく、一人ひとりの顧客に対して最適なコミュニケーションを行うことが可能となり、潜在的な顧客を購入・成約まで導くことができるようになります。

しかし、MA導入においては依然として課題が多いのも現状です。
これまではMAツールは高価なものが多く、一部の限られた企業しか導入できませんでした。「導入しようと見積もりをとったら、月額数十万円もかかる」、「予算を捻出して導入したものの、やりたいことを実現するにはさらに追加費用がかかる」など、このような経験をした方も多いのではないでしょうか。

かたや、世間で目にする成功事例を再現しようと、初めから高度なデータマーケティングに挑戦するために、高額な予算を捻出しても、「費用対効果が全く合わなかった」、「導入したものの、リテラシーがないので全く使いこなせていない」という声も非常に多く耳にします。そのため、高度なリテラシーのある企業か、潤沢な予算がある企業のみしかデータマーケティングを推進できず、その差は開いてしまう一方でした。

今回は、国内外、企業規模、業種を問わず、多くの企業に導入されている国内No.1のマーケティング支援ツールである『b→dash』監修の元、成果を生むマーケティングオートメーションの施策10選をご紹介します。

ご紹介する施策は、データマーケティングを実現する上で基本的な施策ばかりです。高額な費用を注ぎ込む必要もなければ、データやマーケティングに関する高度なリテラシーがなくても再現可能な施策のみをまとめています。どれも成果につながる施策となっていますが、意外と実現できていない企業が多いのも事実です。

MAツールの導入を検討されている方、すでに導入したものの、円滑な運用がまだできていない方はぜひご覧いただき、自社のマーケティングの参考にしてください。

施策一覧

MAは顧客の属性・行動データを基にして「オートメーション」で施策を実施するツールです。そのため、単発の大きいキャンペーンというよりは、定常で実施すべき施策を行うことが望ましいです。下記が施策の一覧です。

1.入会後××日後メール
2.ウェルカムキャンペーンメール
3.Web閲覧履歴メール
4.Web検索キーワードメール
5.導線離脱メール
6.男女×年代別セグメントメール
7.ポイント期限切れ告知メール
8.定期商材購入促進メール
9.特定商品/カテゴリ購入メール
10.カゴ落ちメール

一見すると当たり前の施策も多く、すでに取り組まれている会社も多いと思います。しかし、やってはいるものの、実際に成果が出ているケースがあまり見られないのも現状です。その当たり前の施策を徹底的に考え尽くし運用することで、売上が130%増加したというケースも存在するなど、少しの工夫で改善することもありますので、そのような観点でご覧いただけると幸いです。

1.入会後××日後メール

まずは超基本施策からご紹介していきます。多くのマーケターが直面する課題は、会員登録を済ませた顧客が初回購入に至らず、そのまま離脱してしまうケースではないでしょうか。このような課題を解決するのが「入会後××日後メール」です。

入会後のユーザーに対して新着商品情報やクーポン、おすすめの使い方情報を提供することで、初回サービス利用や初回利用顧客のリピートを促しましょう。新規入会顧客に対し、定期的にサービスを想起させるメッセージを送付することで定着させることが狙いです。入会後のユーザーの心理状態の変化に合わせて、メールを配信するタイミング(トリガー/配信コンテンツ)を自由に設定することが可能です。

例えば、成果を上げているところでは、配信するメールのコンテンツとタイミングを複数パターン掛け合わせることで最適なカスタマージャーニーを設計し、一番効果の上がったシナリオでは、初回購入率が70%を超えたという事例もあるほどです。

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・準備するもの
顧客データ(入会日が必要) 

2.ウェルカムキャンペーンメール

「1.入会後××日後メール」施策をご紹介しましたが、1と並行して会員登録後のユーザーの購買意欲を高めるためのウェルカムキャンペーンメールを実施しましょう。
具体的には、会員登録が完了したユーザーに対して、任意の日数経過後にサイトの利用方法やお得な情報を伝えることで、初回サービス利用やリピート購入を促します。会員登録後はユーザーごとに差はあれど、サービスに対する関心が高い状態です。ユーザーの関心が高まっているうちに、早めかつ適切なアプローチを行いましょう。

また、本施策は初回購入を促すことに限った施策ではないため、F2転換率を高める上でも有効です。初回購入には至ったものの、2回目購入には至っていない顧客に対して、期間限定のクーポンを配信することで、F2転換率が1.5倍になったというケースもあります。

・準備するもの
顧客データ(会員登録日が必要)

3.Web閲覧履歴メール

ユーザーの中には、頻繁に自社のWebサイトを訪れるなど、購買意欲が高そうなユーザーが一定数存在します。しかし、多くの企業はそのようなユーザーにアプローチできていないのが現状です。
「Web閲覧履歴メール」はユーザーごとのWeb閲覧履歴を活用し、会員のステータスや興味度に応じて最適なメッセージを届けることで購買行動を促進する施策。具体的には、初回流入者に初回限定キャンペーンを提示し、初回購入を促したり、リピーターにお得意様限定クーポンを配信して、継続購入を促したりします。

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・準備するもの
顧客データ、受注データ、計測タグの設置、連携タグの設定

4.Web検索キーワードメール

MAを利用すると、Webの閲覧履歴を活用できるだけでなく、サイトに流入したキーワードごとに相性が良い商品をおすすめすることで、ユーザーの購買意欲を高めることもできます。
例えば、ユーザーがサイト内検索を行った際に検索ログを取得し、その検索ログをもとに関連する商品を訴求することで、購買意欲を向上させるという施策などが考えられます。また、しばらく訪問や購入がなく、離脱していたユーザーが商品に興味を持って検索したタイミングでアプローチするという施策も可能になります。
例えば、サイト内で「Tシャツ」と検索した人にのみ、人気のTシャツトップ3をまとめたメールを配信することで、メール経由の購入率が2.7倍になったという事例もあります。

・準備するもの
顧客データ、受注データ、計測タグの設置、連携タグの設定、連携タグのカスタマイズ

5.導線離脱メール

商品を購入するかどうか迷って一旦Webサイトを離れた顧客にすかさずアプローチする仕組みも重要です。「導線離脱メール」は、離脱したページをもとにユーザーの興味に合わせたリマインドを送付する施策です。
例えば、旅行サイトでハワイの航空券を調べているユーザーのアクセスログを取得し、そのユーザーがページを離脱した際に「ハワイへの航空券をお探しですか?」というメールを送ることで、購入を後押しすることができます。このように、離脱したページコンテンツを想起させる施策を行うことで、ユーザーの購入率を引き上げられます。

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・準備するもの
顧客データ、受注データ、計測タグの設置、連携タグの設定

6.男女×年代別セグメントメール

顧客の購入率を高めるためには、画一的なコンテンツのマスメールではなく、セグメントを切って対象顧客に合わせたコンテンツのセグメントメールを打つことも大事です。
「男女×年代別セグメントメール」では、年齢や性別、居住地などの顧客のデモグラフィック情報でセグメントを切り、対象顧客に応じたコンテンツを配信することで、マスメールよりもCVRを上げることができます。20代女性には、20代向けのコンテンツを、40代男性には40代男性向けのコンテンツを提供し、セグメントにマッチする内容で訴求を行います。
「今さらこんな施策を?」と思われる方もいるかもしれませんが、あるアパレル通販の企業では、件名と配信タイミングと配信コンテンツを細かくかけ合わせたセグメントメールを実施したことで、メール経由の売上が12%も向上した事例もあるほどです。

・準備するもの
顧客データ(誕生日/性別などのデモグラフィック情報が必要)

7.ポイント期限切れ告知メール

みなさんもポイントの有効期限を忘れてしまい、ポイントが失効してしまったことは何度かあるのではないでしょうか。顧客もおそらく同じような悩みを抱えています。そんな顧客の悩みを解消し、購買意欲を高めるのが「ポイント期限切れ告知メール」です。顧客データ、ポイントデータを活用することで、ポイントの有効期限が1ヵ月を切ると、ポイント失効日とポイント数を記載したメールを顧客に対して自動配信します。

こうして、「ポイントやクーポンの期限が切れる前に何か購入しておこう。」という購入のきっかけを創出することで、離脱からの引き上げ・リピート購入促進にもつながりますし、「せっかく貯めたポイントが無駄になった」と顧客に感じさせると離脱要因にもなりますので、その防止施策としても有効です。

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・準備するもの
顧客データ、ポイントデータ(直近のポイント失効データ)

8.定期商材購入促進メール

みなさんの会社の商材の中には、一定のスパンで購入が必要な商品やサービスもあるかと思います。そんな商材の場合、「定期商材購入促進メール」を使うことで、来店・購入を済ませた顧客を次回の来店・購入につなげることが可能になります。

例えば、去年の冬にスキー旅行をしている顧客がいれば、彼らに対して今年の冬もスキー旅行を紹介することでリピート利用を促進でき、3ヵ月で使い切るドッグフードを購入している人がいれば、そのドッグフードが切れそうなタイミングでリマインドのメールを送ることで、再購入を促すことが可能です。

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・準備するもの
顧客データ、受注データ

9.特定商品/カテゴリ購入メール

継続的に自社サービスを利用(購入)してもらうためには、顧客の欲しているものを、最適なタイミングで提供することが重要です。そのための切り口の一つとして、顧客が購入している商品に応じて送付するメール内容を調整する施策があります。

例えば、お酒のECであればワインを購入しているユーザーは次もワインを、ビールを購入しているユーザーだとカクテルやサワーなど価格帯が低めの多ジャンル商品を購入する傾向があるように、その商品特性と購入傾向に合わせたメール施策の実施を行うことで顧客の購入率の引き上げにつながります。
すでに自社内にある併売のデータを基に、顧客のニーズに合わせたレコメンドを試行錯誤することで、メール経由の購買率が1.8倍になったという事例もあります。

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・準備するもの
顧客データ、受注データ

10.カゴ落ちメール

ECサイトを利用するときに、一度カゴに入れてから購入を踏みとどまった経験がある人は多いのではないでしょうか。一度カゴに商品を入れたユーザーは商品購入へのモチベーションが高く、もうひと押しすることで商品を購入させることが可能なユーザーとも言えます。

「カゴ落ちメール」では、購入に至りそうだった顧客に対し、カート商品をリマインドすることで購買意欲を刺激します。具体的には、カート商品のリマインド、在庫状況、値下げなどのプロモーションメッセージを送り、ユーザーの購買を後押しします。

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10の施策を月々5万円から始められる『b→dash』

先述しましたが、これらの施策は高額の費用を注ぎ込む必要もなければ、データやマーケティングに関する高度なリテラシーがなくても再現することが可能です。

今回、本記事を監修いただいたb→dashも、月々5万円から始めることができ、これらの施策もすべて実現可能となっています。「トライアル感覚でデータマーケティングに着手したい」「MAには興味があったけど、金額が高くて導入を断念した」という方はぜひ話を聞いてみてはいかがでしょうか。