2019年6月27日、LINE株式会社の事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2019」が幕張アンフィシアターにて開催されました。

カンファレンスではLINEの新たなビジョンである「LIfe on LINE」が発表され、24時間365日、ユーザーの生活すべてをサポートするライフインフラの実現に向けて多くのサービスが発表されました。今回は、その中から「LINE Mini App」「LINE BRAIN」の2サービスについて解説します。

OMOの時代に向けたサービス「LINE Mini App」

CWO(Chief Wow Officer) 慎 ジュンホ氏は「オフラインに対応せずに、24時間365日LINEのユーザーをサポートすることはできない」と話し、オンラインとオフラインの境界線を無くすOMOの実現に向け、新たなサービスとして「LINE Mini App (ライン ミニ アプリ)」を発表しました。

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「LINE Mini App(ライン ミニ アプリ)」は、LINEアプリ内に新設するサービスプラットフォームであり、LINEのアプリ上で機能するミニアプリを制作するツールです。

「LINE Mini App」は、2019年秋にソフトローンチ、2020年春に本ローンチ予定となっています。

このプラットフォームを活用することで、企業・LINEユーザーに以下のようなメリットがあります。

知識がなくてもミニアプリを作成可能に

企業や店舗は、LINE内にWebページでもアプリでもない、LINE上に掲載可能な情報ページを専門的な技術なしで開設でき、会員管理・ポイントカード機能・予約フォーム・クーポン発行・顧客へのリマインドなどの機能が利用できます。

これにより、Web関連の技術が無くとも簡単にオンラインを通して顧客へのアプローチが可能です。

また、アクティブユーザーが多いLINEを利用することでユーザーへの接触機会の増加が期待できます。

ユーザーにとって、LINEだけがあればいい時代に

「LINE Mini App」により、LINEユーザーはLINEの中であらゆるサービスや情報にアクセスできるようになるでしょう。

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従来の場合、消費者は各店舗ごとにポイントカード、サイト、専用アプリを利用する必要があり、財布の中身からポイントカードを探したり、スマートフォン上からアプリを探したりと、手間がかかりました。
ポイントカードを作成したり、アプリをダウンロードして登録をしても、一回きりしかその店舗を利用しなかった場合、貯めたポイントが無駄になります。

LINE Mini Appでは、CWO 慎氏が「日常生活でLINEアプリさえあれば、お気に入りの店舗を見つけた場合、ワンクリックで登録ができ、情報を取得でき、支払いができるようになる」と話したように、「LINE Mini App」を利用する場合、LINE Payでの決済のため、LINEポイントが同時に貯められ、他店舗を利用する際にまた別の店舗で貯めたポイントの有効活用ができます。また、ポイントカードの作成はアプリ内のなので、財布内から作成する手間がありません。

加えて、様々な店舗のクーポンや各ユーザーごとへのレコメンド商品の情報をプッシュ通知、LINE Payでの決済などが、LINEアプリ内で完結できるため、LINEユーザーは情報の集約化が期待できるでしょう。

LINEは「LINE BRAIN」を掲げAIソリューションカンパニーへ

本カンファレンスでは、AIの重要性についても言及し、LINEのAIアシスタント「Clova」等でこれまで培ってきたAI技術を、外部企業等に向けて展開していく「LINE BRAIN(ライン ブレイン)」事業を発表しました。

「LINE BRAIN」とは具体的にどのようなプロダクトなのでしょうか。

LINE BRAINとは

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「LINE BRAIN」とは、 LINEが本カンファレンスで発表した、企業がチャットボット・音声認識・OCR・音声合成・画像認識などのAI技術をより簡単に利用できる、各種サービスの総称です。
また、LINEがこれまで培ったAI技術を取りまとめ、「LINE BRAIN」というブランドの元、製品のソリューション化を推進していく事業として、「LINE BRAIN」のAI技術を外部企業に向けて提供していきます。

LINE BRAIN CHATBOT

「LINE BRAIN CHATBOT」は、会話形式で利用者の業務遂行を手伝うAIサービスです。

自然言語処理・機械学習・テキストマイニングなどのAI技術により、人の言語を理解し、学習しながら情報を伝達することが可能です。

この技術を利用することで、顧客からの問い合わせ・注文・発注・予約など店舗での人手不足を補うことが期待できます。

また、「LINE BRAIN CHATBOT」は単語やキーワードに限定されず、リアルな人間と会話する時の様な話し言葉にも対応しています。AIとの対話とは思えないほど自然なコミュニケーションが可能です。

カンファレンス当日はCSMOである舛田氏が「LINE BRAIN CHAT BOT」の実演をする場面があり、人間同士が会話しているかの様な会話を披露しました。

「LINE BRAIN CHATBOT」は、簡単に会話・シナリオが作成できるサービスとなっているため、企業側も特別な知識がなくとも直感的にチャットボットが作成できます。

英語や中国語など様々な言語をサポートしており、日本語以外の言語でもチャットボットが利用可能です。加えて、LINE、LINE WORKS、Facebookなどのメッセンジャープラットフォームと簡単に連動でき、広範囲で「LINE BRAIN CHATBOT」が活用できます。

LINE BRAIN OCR

「LINE BRAIN OCR」とは、LINEが独自に開発した高品質のAI-OCRです。
OCRは、光学文字認識のことであり、活字の文書の画像を文字に変換するソフトウェアを指します。
「LINE BRAIN OCR」は、丸く湾曲して書かれた文字や様々な角度から撮影された文字でも認識が可能です。文書解析と認識に関する国際会議では4分野にて世界No.1を獲得するほど世界的に高く評価されており、企業は、伝票登録や領収書、身分証明書へ活用することで業務効率化を期待できます。

LINE BRAIN SPEECH TO TEXT 

「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」とは、LINEが独自に開発したBtoB向けの、人が話す言葉を文字に変換する日本語に特化した音声認識サービスです。
「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」を利用することで、ノイズなどが多い環境下でも、正確に音声認識をすることができます。長時間解析に特化しており、会議や取材などの場面でも、スピーディーにテキスト変換が可能です。

特別な知識・技術を持たなくても利用ができるよう、専用ビルダーと呼ばれるチューニングツールを用意しており、複数のテンプレート文章を登録するだけで、企業は簡単に利用できます。

企業はLINEを有効活用できるかどうかがカギに

今回のLINE CONFERENCE 2019では、上記の2サービス以外にも「Life on LINE」を実現するための様々なプロダクトが発表されました。

LINEは、今後OMOやAIを活用したBtoBtoC事業に力を入れ、企業向けのプロダクトを提供することで、その先の、LINEユーザーの生活を豊かにすることを目標にしています。

LINEが作り出すインフラは益々拡大を続け、消費者にとって無くてはならない存在になってきており、今後、企業はラインのサービスを効果的に利用するかどうかが重要になるでしょう。

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