さまざまなECサイトが誕生し販売チャネルが多様化する今、ダイレクトマーケティングの重要性が高まっています。ダイレクトマーケティングで顧客と直接の接点を持ち、付加価値を高めてより角度の高いアプローチをしなければ、初回購入および継続利用は促せなくなってきました。

顧客に適切なアプローチをして売り上げアップさせるためには、マーケターは時代に合ったダイレクトマーケティング戦略を立てる必要があります。今回は初心者でも理解・実践できるダイレクトマーケティングのポイントとコツについて紹介します。

ダイレクトマーケティングとは?

ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客と直接繋がり関係性を構築していくマーケティング手法を指します。ダイレクトマーケティングを効果的に推進していけば、顧客との関係性が良好になり、良質な顧客が生まれ、顧客生涯価値(CLV)を上げられるのです。

従来は郵送物やリアルな場での繋がりがダイレクトマーケティングの主流でしたが、最近はインターネットを通じて顧客ひとりひとりと繋がれるようになりました。これからのダイレクトマーケティングでは、リアルとデジタルの両方で顧客と直接的に繋がるような戦略を立てていくことが重要になるでしょう。どれだけ顧客との接点を設け、スムーズなコミュニケーションを図り関係性を深められるかが、ビジネスの生命線となりそうです。

ダイレクトマーケティングを成功させるには、顧客との接点で得たデータを分析し、今後のマーケティングに生かすのもポイントです。データから顧客の行動を理解し、顧客が求めている価値を提供していかなければ、せっかく設けた接点も無駄になってしまいます。ダイレクトマーケティングの特徴を踏まえて戦略を立てましょう。

ダイレクトマーケティングの特徴

直接顧客と繋がる

最大の特徴は、顧客と直接(ダイレクトに)コミュニケーションできる点です。テレビやラジオなどの不特定多数に向けたマスマーケティングと異なり、特定の顧客にアプローチできるので、ターゲティングしてより効果が高い訴求をすることもできます。

1対1のコミュニケーションができる

ダイレクトマーケティングでは、顧客と1対1のコミュニケーションも図れます。複数の顧客がいても、性別、年齢、購入回数などに応じてグループ分けし、何度も購入しているロイヤル顧客には特典を付けるなど、それぞれに異なるアプローチを行うことで、より多くの反響を狙えます。

双方向のコミュニケーションができる

ダイレクトマーケティングで顧客との直接の接点を設けられれば、顧客の行動に応じてアプローチするなど双方向のコミュニケーションも可能です。初回購入した顧客にフォローアップメールを送ったり、お得に継続できるキャンペーンDMを送ったりして広告効果を高められます。

また、実際にメールや電話を通じてコミュニケーションを取り、アフターサービスを充実させて継続利用を促すケースもあります。

顧客との関係が生まれる

ダイレクトマーケティングは、顧客との関係(リレーションシップ)を築きやすい手法です。ターゲティングして顧客に合った情報を継続的に届けることで、「この企業は自分に合った情報を提供してくれる」と感じさせ顧客からの信頼度を高め、CLVを最大化できます。

効果測定できる

情報の届け先となる顧客を限定し、リスト化などできるダイレクトマーケティングは、正確な効果測定が可能です。どの広告・メディアからどれくらいの反響があったか数値分析でき、そこから課題を洗い出したりメインターゲットを見出したりと、今後のマーケティング戦略に反映させられるのは大きな強みです。ABテストに用いられるケースも多く、広告ごとに反響を分析して良し悪しを判断できます。

ダイレクトマーケティングのメリット

投資対効果が高い

デジタル化によって販売チャネルが増え続けている昨今、どの販売チャネルが適しているのか、どんなアプローチが効果的なのか把握して取捨選択する必要があります。

そこで重要性が増しているのが、顧客からの問い合わせや購入などの反響データを蓄積し、効果測定して費用対効果を追求できるダイレクトマーケティングです。ダイレクトマーケティングの特徴であるターゲティングや双方向のコミュニケーションによって、売り上げアップを目指せます。

効果的なレスポンス広告を打てる

ダイレクトマーケティングは、ロジカルなレスポンス広告で顧客の購買意欲を高めるのに優れています。レスポンス広告では単なる商品訴求ではなく、不満や期待を感じさせるシナリオ設計を行って顧客の感情を動かすクリエイティブを取り入れるのがおすすめです。

シナリオ設計では顧客が得られる利益を伝える結果、それの裏付けとなるデータなどの証明、専門家やタレントの口コミやお客様の声による信頼・安心、今買うべき理由となる特典を盛り込むと反響がよくなります。

ダイレクトマーケティングのデメリット

手間と時間がかかる

ダイレクトマーケティングの効果を最大化するには、顧客のリスト化やターゲティング、効果分析などの時間と手間がかかります。それによって費用対効果を高められるのがダイレクトマーケティングのメリットですが、それだけの工数を割かなければならないというデメリットにもなります。

短期間で効果を出そうとするのではなく、長期間PDCAを回して効果を出そうと考えましょう。プランの実施・分析をする人員を確保し、無理なく継続するのが成功の秘訣です。

広告臭が強いとブランドイメージが下がる

ダイレクトマーケティングは、顧客との距離が近い分、いかにも広告といった押し売り感が出てしまうとブランドイメージが下がり、ネガティブな印象を持たれやすいです。特にインフィード型広告が主流のSNSでは、タイムライン内に広告が埋め込まれるためユーザーは強制的に広告を見させられる状況にあり、広告を見ると不快感を抱きます。

こうしたデメリットを解消するには、広告掲載媒体の世界観に合った広告クリエイティブを心がけるのがポイントです。例えば、InstagramならInstagramらしいシンプルでおしゃれな広告画像にして文字量を減らす、などユーザーが受け入れやすい広告にする必要があるでしょう。

企業の成功事例

パズル&ドラゴンズ/ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

社会現象にもなった人気のスマホゲーム「パズドラ」こと「パズル&ドラゴンズ」は、意外にもダイレクトマーケティングで顧客の層を広げ、多くのユーザーの支持を集めました。

パズドラを運営するガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社では、「サービスがあって初めて、ゲームが成長する」という考えのもと、コールセンターを土日祝日含めて365日営業し、顧客の声を収集してサービス改善につなげています。

直接のコミュニケーションを図る場としてリアルイベント「ガンホーフェスティバル」も開催し、社員総出で運営。顧客の反応を間近で見たりイベントとゲームを連動させながら、リアルとデジタル両方から顧客との関係性を深めた点もポイントです。

Whim(ウィム)/MaaS Global

フィンランドのMaaS(Mobility as a Service)「Whim(ウィム)」も、ダイレクトマーケティングを活用した人気サービスです。公共交通機関、自動車やバイクのシェアサービスなどの交通手段をユーザーのルーティングに沿って提案します。

「Whim」はルーティングとペイメントのみを提供し、ユーザーはたくさんの交通手段の中から最適なものを自身で選べます。自分の行動データに合わせた交通手段の組み合わせが直接提示されるため、様々な交通アプリを併用せずともスムーズで効率的な移動ができるのがメリットです。

Whimが顧客との直接の繋がりを多く持って影響力を高めれば、ゆくゆくは交通機関の価格決定権すら持つようになるかもしれません。

ブランドのファンを作るなら、ダイレクトマーケティングが必須

「自分に合ったもの」を好む風潮がある今の時代に、生活者の嗜好に合ったアプローチができるダイレクトマーケティングは、ブランドのファン作りに適した施策です。ファンを創出してビジネスの基盤を固めるために、今すぐダイレクトマーケティングを始めてみましょう。

参考:https://dm-watch.jp/direct-mail-strategy/what-is-direct-marketing/
https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201408/dm-frontline/002930.php
https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201911/terms-for-victory-in-direct-marketing/017241.php
https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201911/terms-for-victory-in-direct-marketing/017246.php