プログラマティック広告の市場規模

電通グループの電通イージス・ネットワークが2020年1月に発表した「世界の広告費成長率予測」によると、世界の総広告費は継続的に成長し続けると見込んでいます。媒体別では、衰退する新聞や雑誌の広告に対し、デジタル広告は二桁成長という躍進を見せているのです。

参考:「世界の広告費成長率予測(2019~2021)」を発表|電通グループ

デファクトスタンダードとなっているプログラマティック広告は、デジタル広告の中でも圧倒的なポジションを確立し成長を続けています。2019年4月に米国サンフランシスコで実施されたイベント「PROGRAMMATIC I/O」 におけるAdExchanger編集部の報告によると、プログラマティック広告の市場規模は2021年まで順調に成長し、市場規模は810億ドル(8兆9100億円)を超えると予想されています。デジタル広告全体の87.5%にも該当するものです。

参考:[PROGRAMMATIC I/O イベントレポート - 直近のプログラマティック広告の動向|東洋経済プロモーション

また、テレビ広告や交通広告などの本来デジタルではない媒体でも、デジタル対応によるプログラマティック化が進んでいることにも注目したいところです。プログラマティックと言えるもののシェアの割合は確実に大きくなってきています。

プログラマティック広告の課題とこれから

メディアの品質が広告成果を偏らせる

プログラマティック広告はオーディエンスデータによるターゲティングが特徴です。ただし、成果を上げられるのは大手メディアのプレミアム枠が多いため、広告枠のあるメディアに魅力がなければ、ユーザーが広告をしっかり見ることもないでしょう。広告在庫を消化したとしても、効果がない広告枠を販売するのでは広告に価値を感じなくなってしまう恐れがあります。

ブランド価値を下げてしまう恐れがある

オーディエンスデータを充実させることで、広告枠のあるページの品質が低くても広告在庫が売れてしまうのです。ブランドイメージを損なうようなページ広告を表示してしまう恐れがあります。マイナス効果のある広告枠でも作れば売れてしまう、という仕組みは問題があるので、最近では「アドベリフィケーション」という広告主のイメージ通りに配信できているか確認できる仕組みも存在します。

今後も進むプログラマティック化

今後も、Webページで目にする広告だけではなく、デジタルサイネージやテレビ広告などプログラマティックの仕組みが導入される機会が増えるでしょう。利用される場面が増えることにより、新たな課題が増える可能性もありますが、それをヘッジするアドテクノロジーの進化に期待が募ります。

アドテクの進化をキャッチするアンテナを張る

インターネット広告の多くを占めているプログラマティック広告でも、登場までの背景や課題を細かく把握している人は多くないでしょう。しかし、深い知識を得ることで、今後さらに発達するデジタル社会において、最適なインターネット広告の知識を持って挑めるはずです。プログラマティック広告は、これからもユーザーの生活環境の様々な場面で接触する存在になります。最新の広告を使いこなせるように、アドテクノロジーには常にアンテナを張り、マーケティング知識を厚くしましょう。

参考:プログラマティック広告の基本と課題|Criteo
「プログラマティック広告」って何?|東洋経済プロモーション