最近、Twitterで話題になっているアカウントがあります。アイドルでも政治家でも、100日後に死んでしまうわけでもありません。元プロレスラーである長州力さんのアカウントです。武骨で無愛想なイメージのある長州力さんですが、Twitterでは日常のことをつぶやいたり、最近ではPR案件までこなすという活躍っぷりに、プロレスファンだけでなく、長州力さんをあまり知らない層にもウケている様子。いったいどんなことをつぶやいているのか、どのような点が人気なのか、プロレスファンである筆者の視点から解説します。

フォローしているのはトランプ大統領のみ

長州力さんのアカウントを見てみると、3月23日時点でフォロワー数が40.8万人。開設は2019年12月25日なので、わずか3ヶ月ほどでこれだけのフォロワーを獲得しているのはすごいですね。筆者はアカウント開設初日から光の速さでフォローしました。

一方で、長州さんがフォローしているのはトランプ大統領のみ。長州力さんがなぜトランプ大統領をフォローしているのか、詳しいことはわかりませんが、インターネット上では「Twitterのおすすめツイートに表示されていたから」という説がささやかれており、まあそうなのかなと思っています。

ほのぼのとしたつぶやきで一気に人気に

長州力さんと言えば、現役時代は「革命戦士」というキャッチフレーズで、ガチガチの攻めるプロレスをする怖いプロレスラーでした。現役時代、専門誌などのインタビューでは時折笑顔を見せるものの、テレビのバラエティー番組などに出ることはほとんどありませんでした。

しかし、現役引退後はバラエティー番組に出ることも増え、実はゆかいな人柄であることが知られるようになりました(相席食堂での長州力さんはほんとうにおもしろかった)。そういったこともあり、長州力さんのTwitterアカウントは瞬く間に人気となったのでした。

ツイートの内容は、自分の日常のことや、友人知人への私的なメッセージらしきもの、Twitterは難しいといった愚痴的な内容がほとんど。当初はあまりTwitterの内容は理解できていなかったようですが。絵文字を駆使したほのぼのしたツイートは、一種の癒やしにも似た感情をわき上がらせてくれます。

現役時代の無口なイメージとのギャップも、人気の要因と言えます。

「ハッシュドタグ」の生まれた日はTwitterの「革命記念日」

そんな長州力さんのTwitterアカウントの人気が爆発したのが2020年3月12日のツイートです。

どうやら、スタッフなどに教えてもらいハッシュタグを知った様子。しかし、ハッシュタグを「ハッシュドタグ」と言い間違えているほか、ハッシュタグに使う「#」を「井」と間違えています。これが長州ファンの心をわしづかみにしただけでなく、おそらく長州力さんを知らない層にも広まった模様。リツイート21.3万人、いいねは59.5万人となりました。

このツイートを見たとき、筆者は1982年10月8日のことを思い出しました。この日、長州力さんは新日本プロレスの試合後に、タッグパートナーである藤波辰巳さんに「俺はお前の噛ませ犬じゃないぞ!」という、プロレス史に残る名ゼリフを叫びます。この日は、プロレスファンの間では「革命記念日」と呼ばれています。

この「ハッシュドタグ」が生まれた3月12日は、Twitterにおける「革命記念日」ではないでしょうか。プロレスを引退した後も革命を起こす長州力さんは、まさに革命戦士ですね。

PR案件なのに写真を付けないミスも大人気に

人気となった長州力さんのTwitterがさらに注目されるようになった出来事があります。それは2020年3月17日のツイート。

なんとPR案件が入った模様。これだけの人気アカウントですから、広告代理店が目をつけるのも当然のことなのかもしれません。どうやら何か商品を紹介するだけの簡単なお仕事だったようですが、ツイート内に商品の名前がなく、その上写真も添付されていないため、何の商品かまったくわからないという状態に。

PR案件としては失敗してしまっているのですが、逆にこのツイートが話題に。同日中には写真付きで再度ツイートされ、内容が明らかになりました。

ツイートの失敗はあったものの、逆に話題となりリツイート3.1万、いいね13.1万となり、広告案件としては成功したのではないでしょうか。さすが長州力さんといったところです。

こういうミスをしてしまうところも、長州力さんらしさ爆発といった感じ。それが許されてしまうのも長州力さんの普段のツイートをみんなが知っているからでしょう。

純粋な個人アカウントではなくても問題なし!

実はこの長州力さんのTwitterアカウントは、本人だけではなくスタッフもツイートすることがあります。長州力さんが完全に個人でやっているものではなく、公式アカウント的なものなのでしょう。

またインターネット上では、本人っぽいツイートも実はスタッフがしているらしいという検証がなされています。

参照:長州力“破天荒ツイッター”はスタッフの仕業説「ツッコミは無粋だ」|まいじつ

インターネット、特にTwitterなどのSNSでは、個人的なものだと思っていたものが実はバックに大きな組織がいるとわかると、手のひらを返したように叩かれたりすることがほとんど。今回の長州さんの問題も同様なのですが、さすがプロレスファンはそんなことでは動じません。

プロレスというスポーツは、リアルとフェイクの境目が非常に曖昧なもの。プロレスファンは昔から「なんでロープに振られたら返ってくるの?」とか「台本あるんでしょ?」とか「真剣勝負じゃないんでしょ?」とか言われ続け、それを「まあ、そう感じているのならそれでいいんじゃね?」というように受け流してきた人種。長州力さんのTwitterアカウントが純粋な個人アカウントではないということなんて、何の問題でもありません。

長州力さんが孫と一緒にニコニコして映っている写真がアップされたり、ベロベロに酔っ払った写真がアップされたり、いきなり知らない人に対して私信めいたツイートがされるだけで、大満足なのです。プロレスファンとはそういう人種なんですよ。

おそらく広告代理店などが絡んでいるとは思いますが(何せ、ハッシュドタグが話題になった後すぐに「リキチャンネル 井長州力」というYouTubeチャンネルも開設してますし)、そんなことくらいでいちいち目くじらを立てないプロレスファンの気質も見越しているとしたら、たいしたもんですよ。

長州力さんの革命は終わらない

プロレスラーを引退してからはあまり言われることがなくなりましたが、Twitterでの長州力さんはまさに革命戦士。現役時代のピリピリとした雰囲気とは違いますが、確実にTwitterに革命を起こし続けています。

この革命が成功しているのは、偏に長州力さんが昔のイメージにこだわらず、今の長州力さんとしてTwitterという新しいリングで戦っているからでしょう。

Twitterでのマーケティング施策はさまざまなものがありますが、長州力さんのケースはかなり高度なテクニック(?)を用いたものと思われます。あえて真似をすると失敗する可能性のほうが高いと思われますが、「ありのままをツイートする」といった部分は、参考になるかもしれませんね。

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