『100日後に死ぬワニ』はなぜ読者の心を惹きつけたのか?
最終回直後の顛末
『100日後に死ぬワニ』は、最終回を迎えたとき、ストーリーとは別の面で話題になりました。それは、本作の単行本化や映画化、バンド「いきものがかり」とのコラボ、キャラクターグッズ発売やポップアップショップのオープンなど、最終回直後に立て続けに発表されたからです。
これにより、その世界観を楽しんでいた読者が嫌悪感を示します。その理由のほとんどが、「最初からメディアミックスを前提に描かれたものだったのではないか」ということ。
人気マンガがさまざまなメディアミックスをすること自体は、別に悪いことではありません。しかし、『100日後に死ぬワニ』に関してはちょっと違うようです。
読者は、作者のきくちゆうき氏が個人的に描いていたマンガであるということを前提として楽しんでいました。しかし、いざ最終回を迎えると一気にビジネスの話が目白押し。感動的な最終回の余韻をかき消されてしまったことに対して、不満の声が上がったのです。
きくちゆうき氏によれば、「連載途中からいろいろ声がかかり、それらを自分で判断した結果」だということですが、読者からしたら「裏切られた」という感じがしたのでしょう。
参照:「100日後に死ぬワニ」最終回が猛批判された訳 今後「SNSによる作家活動」難しくなる危険も
良質な作品が収益化されること自体は、とても良いことだと思います。しかし今回の件は、タイミングが悪かったのではないでしょうか。最終回が終わった直後ではなく、少し間を置いてから徐々に発表というほうが、ファンの共感を得やすかったのかもしれません。
ただ、話題の移り変わりが早いこの時代。その最適なタイミングを見定めるのはかなり難しいことも事実。この辺りは綿密なマーケティング戦略が必要なのではないでしょうか。
「○日後」ブームが到来
『100日後に死ぬワニ』が話題になったことを受け、最終回後にはTwitter上にさまざまな「○日後に○○する○○」というコンテンツが見受けられるようになりました。いわゆる二番煎じではありますが、そういったブームを作ったということは、賞賛に値すること。先述の伊集院光さんの言葉を借りれば、「○日後に○○する○○」というフォーマットを「発明」したわけですから。
ただし、最終回後の顛末を見ていると、決して有終の美を飾れたとは言えないのも事実です。実際のところ、最終回後に急速に熱が冷め、あまり話題になっていないようにも感じます。
いくらコンテンツが良質でも、少しのタイミングのずれが致命的な失敗にも繋がってしまうという、マーケティングの見本になったのではないでしょうか。
他にもヒットの裏側を探る
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- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- Twitterとは140文字以内の短文でコミュニケーションを取り合うコミュニティサービスです。そもそもTwitterとは、「小鳥のさえずり」を意味する単語ですが、同時に「ぺちゃくちゃと喋る」、「口数多く早口で話す」などの意味もあります。この意味のように、Twitterは利用者が思いついたことをたくさん話すことのできるサービスです。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
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