顧客を中心にする体験のデザイン

それでは一部だけを作り込むことなく、顧客に良い顧客体験を提供するにはどうするべきか? ここで熊村氏は、 “Customer 360”に繋がる「顧客を中心にする体験のデザイン」を提案します。

熊村氏「顧客の姿をきちんと見極めるためのデータを集めましょう。そのデータは各部門で共有され、誰もが活用しやすいようにします。例えば店舗のデジタル化等、さまざまなものがかなりの勢いでデジタル化されています。その目的は、『お客様の姿をきちんと見極めるためのデータを集める』これに尽きます」

現在、オンライン・オフライン問わずあらゆる顧客接点がデジタル化されています。さらにデジタル化された接点に対して、例えば最適なタイミングでメッセージが届く、昨日訪れた地域の広告が出るなど、日々デジタルな体験が提供されているのです。

ただこの何年かは「あえてデジタルではない体験を提供しているケースが多い」とも熊村氏は語りました。デジタルで顧客接点のデータを取るものの、実際の体験の提供は人が行う形で、顧客に対したケアをきちんとしていくというもの。

「ケアするためにデータがたくさん必要。そのため顧客接点をデジタル化し、そのデータを集め、オンライン、オフライン問わず、つまりデジタルであろうと非デジタルであろうと、そこでベストな体験を提供するということが、よく行われています。顧客接点のデジタル化というのは、そういう点で必須事項です」

Customer 360

ならば、データはどのように取得するのか? ここで株式会社セールスフォース・ドットコムの“Customer 360”が登場します。

Salesforce Customer 360は、当社のB2B・B2Cマーケティング、コマース、サービス製品を連携して動作させるという、新しいクロスクラウドのテクノロジーイニシアティブです。
管理者はCustomer 360によって、Marketing Cloud、Commerce Cloud、Service Cloudの様々なインスタンスを登録できます。
引用:Salesforce Customer 360とは何か|salesforceブログ

“Customer 360”では顧客のすべてのデータを統合し、マーケティング、サービス、コマース、どこからの情報でも同一の人物として認識できるようにしています。つまり顧客データを一元化しつつ、どの部署・部門からでもアクセス可能にしているのです。

「顧客のすべてのデータポイントを統合し、顧客の単一のルールを構築する一連の機能、というものを総称して、“Customer 360”という形で今、発表させていただきました」

これからのマーケターに求められるものは?

最後に、これからのマーケターに求められるものについても熊村氏は言及しました。ここで取り上げられたのは「信頼」「データ」「エンゲージメント」の3つです。

「顧客との信頼関係をきちんと構築していきましょう。顧客は信頼できない企業からものを買わない時代です。顧客はデータ管理をきちんと行っている企業を信頼しています」

「(先ほどの話のとおり)良質な顧客体験を提供するためにはすべてのデータが繋がっている必要がありますよね。そういう話が、“Dreamforce 2019”の中で、マーケターが考えるべきこととして結構大きく取り上げられていました」

「そしてエンゲージメントの在り方も考えなければいけない。突出した顧客体験が業界のベンチマークを引き上げるといった話も多く語られていました」

これは、例えばどこか突出した企業が「クールでイケてる」体験を提供する。そうすると、顧客が、その業界に求める顧客体験の基準が、その企業が提供する体験になってしまうということです。

「つまり他社を比較する時に、突出した顧客体験を提供している企業をベンチマークにして、他の企業を比較するようになります。言い換えれば、良い体験を提供するならば、早いうちにしておいたほうが良いということです。後追いになってしまうことが、大きなハンデになります」

  • 顧客に信頼されることをやりましょう
  • さまざまなデータを繋いで良い顧客体験を提供するできる土台を作りましょう
  • エンゲージメントをもう一回深く考えていきましょう

この3つをまとめとして、熊村氏の公演は終了しました。