QRコード式スマホ決済は実店舗だけのものではない

QRコード式スマホ決済といえば、街中の実店舗で利用するもの、というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。前項の主要7サービス比較の中でも少し触れた通り、実は、ECサイト上でも使える店舗が拡大しています。

先に「エコシステム(〇〇経済圏)」の考え方について述べましたが、例えば「楽天ポイント&楽天カード&楽天ペイ」や「メルカリ&メルペイ」のように、今やポイントサービス、決済サービスとは、オンラインとオフラインで境目が薄れつつあります。

オフラインの世界(=街中)で利用者数の多いQR決済手段をオンライン店舗でも導入することで、オンライン側(=EC)の事業者にとっても新たな顧客を呼び込む商機を期待できるのです。

テレビショッピングやライブコマースとの関係拡大にも期待

日本の大手テレビ通販業者「ダイレクトテレショップ」では、QRコードをテレビ画面上に表示し、Amazonペイ(※QRコード式スマホ決済の一種)で顧客に決済してもらう、という施策を導入した事例があります。テレビ通販といえば従来は電話注文がメインでしたが、このスキームは全く新しいスタイルです。

テレビ画面に表示されたQRコードをスマホで読み取ると、先ほどまでテレビで紹介していた商品ページに繋がり、注文したい商品カラー、名前など顧客自身が10項目ほど入力する画面が表示されます。そして、大きな特徴は「Amazon Pay」による決済が可能という点で、既にAmazonユーザーであればクレジットカード情報を新たに入力するという煩わしさがありません。たまたまテレビを見ていて興味をそそられた商品を、画面にスマホをかざすだけでクイックに購入できる、という仕組みです。消費者側はテレビショッピングの利用がより簡単になります。

一方、事業者側は、これまでテレビショッピングを見ても注文・決済まで進もうとしなかった客層を新たに取り込める商機ともなります。この事例をヒントに、今後はライブコマースなどにもQR決済が導入されていったとしたら、ユーザーの利便性もますますアップすることが期待できますし、ライブコマース市場の活性化も見込むことが出来るかもしれません。

参考:拡大するQRコード決済とECサイトの関係|Refine
QRコードによるクイックオーダー+Amazon PayでECサイトの課題解決?

消費者視点に加えてビジネスのケーススタディとしての視点も持つ

QRコード式スマホ決済とひと口に言っても、各社のサービスが乱立しているのが今の日本の現状です。いち消費者視点で「どれに絞って利用していいか、迷ってしまう」という人は、自分がよく貯めているポイントサービスをフックに選ぶと、結果的にメリットがありそうです。

そして、QRコード式スマホ決済の各事業をめぐる「エコシステム(〇〇経済圏)」という考え方は、ひとつのビジネス視点としても参考になる部分があったのではないでしょうか。QRコード式スマホ決済のような新興ITサービスに対して、ビジネスパーソン、特に企業のWeb担当者として、いち消費者視点で理解することに加えて、ビジネスのケーススタディとして何らかのラーニング、気付きを常に見つける、という視点も持っておきたいものです。