Q:各社の失敗と学び、難しかったこと

今井氏:「そのうち客」の業績貢献への繋げ方

今井氏:失敗ではなくて学びだったり難しかったところですが、「そのうち客」を業績貢献にどう繋げられるかです。「フォローしなかったら2年以内に80%が別の会社で買う」というデータがありますが、この理論はその通りだなと思います。

いざ実際に、そのうち客にお金をかけるか、具体的にどうやるかって考えると難しいですし、お金の使い道を判断しにくい。メルマガを送ると本当にそのお客さまはホットになっていくのか、当然、直接聞けないんで分かりにくい。

例えば昔お付き合いがあった企業なんですけど、お付き合い開始から半年後ぐらいに問い合わせをしてくれた場合、メルマガやナーチャリングの影響があったのか、それともたまたま思い出しただけなのか分かりにくい。ここをどうしていくのかが難しいですし悩みました。

栗原氏:具体的にはどのような施策を行ったのですか?

今井氏:段階はありますが、最初に取り組んだのは名刺管理システムを入れて、その情報を元に定期的にメルマガを配信していました。リードナーチャリング目的ですね。実績を作っていかなきゃいけないし業績貢献していることを見せなければ新しい投資をしてもらえない。そこでやったのは、ちょっとこじつけです。

「このお客さまはメルマガを送らなかった去年は問い合わせしてくれなかったが、今年は問い合わせをしてくれた。これはおそらくメルマガを送ったから思い出してくれて、いざ困ったときにセレブリックスを想像した、と仮定できるはず。現に去年の問い合わせは0件だったけど、今年はどうやらそれ以上の結果が見えている」といった風です。

この結果は顧客育成の効果が出ているはずだ、という業績貢献の示し方をしました。そして、そこに対して予算を増やしました。

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私がお伝えしたい顧客育成で業績貢献を示すポイントは、計測の方法を工夫する、多少リスクを背負う、ですね。

河村氏:だいぶ背負ってますよ(笑)

これはおそらくリードナーチャリングのおかげだと思いますし、リスクを背負ったからこそ新しい投資を得られているのだと思います。リスクを負わずに新しいことをやるのはそもそもおこがましいですね。投資が欲しいなら責任を負うべき

栗原氏:効果が示しにくいですよね。

今井氏:名刺管理ツールを使い始めてからはABテストができるからよかったのですが、システムの導入前後は効果が見えにくかったです。ツールを動かすにもそこに人が必要ですし、最初は専任の人間を置けなかったりして、すごく良い施策なのに成果が出せないというジレンマに悩まされ続けると思います。「少なくとも全部やりきれてはいないがこんな効果が出ているから人を投資してもいいのでは」というロジックで上司と戦えたかなと。

河村氏:見せかけのプロダクトマーケティングフィット

河村氏:以前、ferret Oneは多い月だと2桁受注してて、かなりイケイケだったんです。「これはマーケットにフィットしたな」思って投資するためにアクセルを踏んだんですね。

ですが、買ってはいただいたものの継続していただけないという2年目以降の更新に課題があったんです。そのとき「アクセルを踏んだはいいものの、本当にうちのお客さまだったのだろうか」って社内で気づいて。

そこでアクセルを弱めて、ターゲットをBtoBだけに絞り、プロダクトもツールだけじゃなくコンサルもセットにして売ってみようと方針を変えました。2019年にやってみて継続率が約300%にまでなり、やっとプロダクトマーケティングフィットしたなと。そして2020年から再度アクセルを踏み始めました。

栗原氏:それまではBtoBの事業者以外にも売ってたのですか?

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河村氏:そうですね。うちの会社のモットーが「Webマーケティングを世界一簡単に」っていってるんですけど、日本中でWebを使ったお問い合わせを簡単にしてほしいし、いろんな人に使ってほしくて「思い先行」で売ってしまいました。

最初は興味がある人だけに絞って、そこだけに商品を使ってもらい磨き込むべきだったな、というのが手痛い失敗です。

藤田氏:記事にも出てましたけど継続率が30%だったのが85%にまでなったと。プロダクトもそうだしお客さまに徹底的に向き合って、売り方も変える。中の人はやれること全部やって85%、すごく満足して使い続けられるものになってるという背景もあってセミナーにもアクセルを踏んでるんですよね

河村氏:記事をご覧いただきありがとうございます。85%まで上がりましたが、やってるのはカスタマーサクセスチームです。そこでは細かくお客さまをスコアリングして、毎月1回訪問してケアをしてくれている成果ですね。

藤田氏:受注に繋がらず営業とマーケが分断

藤田氏受注に近いところから組織を作っていきました。インサイドセールスを立ち上げ、LPも改善しやすいようにCMSを入れ、リードを獲得する部分に投資をしようとオンライン広告ホワイトペーパーのダウンロードや業界のカンファレンスに登壇して、そこにいらした方のリードをいただいていたんです。いわゆるペイドでリードを得ることをやっていました。

ですが、想定していたより費用対効果が合うといえるまでの期間が長かったんです。受注に繋がっていない時期だったということもあり、マーケと営業が絵に描いたように分断されて、お互い全く信用していないような時期がありました。5年以上前ですね。

いったん施策を止めて、営業から徐々にマーケの方へ組織を作っていき、3年のときを経てマーケサイドにきたという歴史がありました。

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その後、マーケ施策でリードの獲得をしたものの「新規のリードって意外とないね」ってなったんです。イベントに出てリードを獲得しても、そういうとこに来られる方って決まっていて、イベントに来ない方が多いんです。

「そういう方にリーチをするのはペイドの手法では難しいのではなかろうか、できたとしても想定より期間が長い、少なくともうちの会社のマーケやプロダクトからすると、今すぐこのリードの施策をやり続けるのは得策ではなさそうだ」ということがやってみて分かった結果でした。

結果的には回収見込みを話していたのに対していかなかったので「すみません」ですね。だから次の手はこっちの方が良さそうだねってのを見せて、別なことやろうかと。反省を経て新しいリード、よりお客さまに来ていただくセミナーをたくさんやろうとか。今やっている施策はこういった反省から得た施策ですね。

栗原氏:バージョンアップしたわけですね。

藤田氏:そうですね。サービスの話や展示会であれば来てくれませんが、お客さまがベンチマークしている会社のマーケの人が話すセミナーであれば来てくれるんじゃないかと。