昨今のIT技術の進歩には目覚ましいものがあります。コロナウイルスの影響で今まであまり浸透していなかったテレワークが導入されたり、AIを活用した技術が使われたり、電子決済システムが当たり前になったりなど世の中は様々なテクノロジーであふれています。

そしてこのようなIT技術を駆使した企業が、最前線として活躍を続けています。しかし、全ての企業がはじめからIT基盤を整えていたわけではありません。どこかのタイミングで大規模なデジタルシフトを実施しているのです。今回は、企業のマーケターやWeb担当者の方に向けて、今後のデジタルシフトを検討していただくために、大胆なデジタルシフトでV字回復した事例を紹介します。

そもそもデジタルシフトとは?

デジタルシフトとは、企業活動を行っていく上でビジネスの基盤をデジタルに置き換えていくことです。

例えば、今までは現金で支払っていた店舗で電子決済が導入されるのもデジタルシフトによるものです。他にも、楽天やAmazonといったECサイトが利用されていますが、このようなECサイトの利用もデジタルシフトのひとつです。デジタルシフトは、企業側だけではなく消費者にも影響が出ます。デジタルシフトによって便利な世の中へと変革し、今まで以上に過ごしやすい世の中となっていくでしょう。

デジタルシフトでV字回復した事例

ここでは実際にデジタルシフトをして、V字回復した事例を紹介します。

米国家電販売大手のBEST BUY

米国家電販売大手のBEST BUYでは、Amazonの台頭によって経営難へと陥った2000年代に大胆なデジタルシフトを行いました。内容としては、今までアナログで管理していたデータをデジタルで管理する方法に切り替えたのです。
具体的には、顧客のIDを一元管理させることで顧客一人ひとりに応じた情報を配信し、その人のパーソナライズなデータに応じたコンテンツを提供します。顧客にあった情報を提供することで、顧客が本当に欲しいものを明らかにし購入意欲を促進していくのが狙いです。

顧客のパーソナライズな情報としては、実際の店舗での購入履歴やGoogleでの検索履歴などを組み合わせたものになっています。実際の店舗での購入といったオフライン、そしてGoogleでの検索履歴というオンラインを組み合わせた手法です。実店舗でも10億ドルを投資した大きな対策を打ち出しており、店舗を「家電のショーケース」に改造しました。それと同時に、「年間200ドルで家庭内の電化製品に関する相談ができる」といったサービスを立ち上げることで、消費者の家電購入を促進させたのです。この例は、オンラインとオフラインを組み合わせた経営活動によって見事V字回復を果たした事例でした。

参考:死にかけた会社がデジマでV字回復、Adobeが説く「顧客体験管理」の重要性|EnterpriseZine

コンサルとSalesforceが手を組んだ事例

この事例は、経営コンサルティングを得意とする「船井総合研究所」と、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業である「株式会社セールスフォース・ドットコム」による事例です。

デジタルシフトによるV字回復を果たしたのは、包装用品、店舗用装飾品、慶弔用品、事務用品などを扱う専門商社「シモジマ」です。シモジマでは、実店舗の経営とオンライン販売を行っていました。その当時、シモジマの売上高は減少し続けており経営難に陥っていました。そこで船井総合研究所にコンサルティングを依頼したのがきっかけです。

経営難となった原因が、オンラインとオフラインの二極化が進んでいたことが挙げられます。ECサイトでの顧客はオンライン上でしか利用されておらず、実店舗での顧客は店舗の利用のみでした。そこで各チャネルの顧客を連携させる仕組みを構築しました。

具体的には、まずは新規顧客を増やすためにECサイトをリニューアル。わかりやすく見やすいUI設計を心がけ、より多くの新規顧客の流入に成功しました。新規顧客には顧客IDでの管理を徹底し、キャンペーン情報の通知によって実店舗への誘導をかけます。新規顧客の中でも、より大きな取引を見込める顧客に対しては、個人で対応することでより大きな売上効果へとつなげます。

ここで新規顧客の分析に使われたのが「Salesforce」です。Salesforceでは、新規顧客のオンラインとオフラインの行動履歴を分析し、大きな取引が見込まれる顧客のみを抽出しました。シモジマでは、分析によって抽出された顧客のみに個人での対応を実施したため、人手不足も解消され適切な顧客に適切な対応を取れるようになったのです。結果として、今までのオンラインとオフラインの二極化がなくなり、お互いが連携しあうことでさらなる効果を生む形になりました。

参考:【現場発】業績を“V字回復”させた、デジタルシフトの極意|NewsPicks

業界でも随一の早さでおこなったデジタルシフトの事例

今回の事例は、ブランドリユース業界でいち早くデジタルシフトを実現した、大手企業の「コメ兵」による事例です。デジタルシフトを始めたきっかけは、お客様の行動によるものです。その当時はデジタルシフトを行っている企業が少なく、今とは違って通販サイトが主流でした。ある日お客様が店舗を訪れた際に、通販サイトで見た商品をプリントアウトしてきました。

購入者の心情としては、いきなり通販サイトから購入するのではなく、しっかりと実物を見てから購入したいというものです。そこで、商品を見ることのできる「予約」という機能を付けました。この機能のおかげで、今まで購入をするかしないかだけで判断していた顧客は、少しでも気になった商品には予約をするようになったのです。

参考:コメ兵がいち早くオムニチャネル化を実現できた理由|Digital Shift Times