企業が自社の商品やサービス、またはブランディングのために“オウンドメディア”を運営するというのが、ここ最近のトレンドになっています。特に、BtoB企業などでこの動きが盛んです。すでに、オウンドメディアを運営しているという企業も多いのではないでしょうか。

しかし、どうもうまくPVCTRが伸びないと悩んでいる方も多いことでしょう。ちゃんと記事を作って定期的に公開しているのに、思ったような成果が上がらない。オウンドメディアの担当者なら一度は通る道なのではないでしょうか。

オウンドメディア担当者が運営ノウハウをnoteで公開

オウンドメディアの立ち上げ、そして運営がいかに難しいか。マーケティングインハウス化を支援するためのSaaSプロダクト「SEARCHWRITE」をはじめ、さまざまなデジタルマーケティング支援事業を手がける株式会社PLAN-Bのシステム開発本部PdMの五十嵐和希さんが、自社のオウンドメディア「PINTO!」の立ち上げ時の苦労について、noteで綴っています。

このnoteを読むと、デジタルマーケティング専門会社であるPLAN-Bでさえ、オウンドメディアを軌道に乗せるにはさまざまな苦労があったこと、そして結果として月間PV数十万ながら、月400〜700件ほどのリード獲得ができるメディアへと成長した経緯を知ることができます。

そこで今回は、その五十嵐さんにオウンドメディア運営において、よくある失敗例についてお話を伺いました。オウンドメディア運営で悩んでいる方は、この記事を読めば五十嵐さんが体験したさまざまな苦労をスキップして、メディアを軌道に乗せることができますよ!

オウンドメディア、よくある失敗例5つ

オウンドメディアを運営するコツはいくつもあります。しかし、運営の方法を知らないと、結果がなかなか出ないもの。では、結果が出ないオウンドメディアは、どんな失敗をしているのでしょうか。

①ターゲットのペルソナが荒い

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オウンドメディアを運営する際には、ペルソナを設定することが多いと思います。しかし、記事単位ではどうでしょうか? 実は、意外と記事ごとにペルソナを設定していないケースが多いようです。

「最近は、そもそもペルソナというものは必要なのかという説を提唱しているのですが、かといってまったくペルソナを作らずにメディア運営をするというのも難しいところがあります。記事を書く前に、ある程度こういう感じのライフスタイルであるとかパーソナリティであるというようにセグメントを切って、大まかなペルソナ像は作っておいたほうがいいですね。あまり細かく設定する必要はありませんが、たとえばダイエット商材の場合ならば、これからダイエットを始める人なのか、ダイエットをしているけれども成果が出ない人なのかというような感じで、記事ごとにペルソナを設定しましょう」(五十嵐さん)

メディア全体のペルソナはもちろん、記事単位でペルソナを設定していくことで、記事のPVCTRのアップが期待できます。ただし、あまり厳格に設定する必要はないとのこと。記事作成時に「こういったユーザー向けにしよう」というくらいのものでOKです。

②ユーザーファーストを追求しすぎ

これは、ユーザーに読んでほしいという気持ちが強すぎて、メディア側がサイトに対してあまり手を加えてない状態を指します。たとえば、離脱防止用のポップアップウィンドウなどは、ユーザーにとってはじゃまではないかと考えて搭載しないといったケースです。

「記事の下にCTAのフォームを設置したり、オファーページを用意するといったことをしていないメディアをよく見かけますが、せっかく来訪してくれているユーザーをなるべく離脱させないようなサイト体験を設定して、リード化していくことが必要です。私は、パイプラインごとにホワイトペーパーを別のものを用意してダウンロードさせるようにしたり、離脱防止用のポップアップなども積極的に使っています。」(五十嵐さん)

Googleなどのキーワード検索からアクセスしてくれたユーザーを、ただ帰してしまうのはもったいない。そこからユーザーに何かアクションを起こしてもらえるような仕組みを作っておくことは、決してユーザーにとってじゃまなことではないのです。

③計画性のないバズ狙い

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オウンドメディアの記事が大人気になることを「バズる」と言ったりもしますが、バズらせるにもテクニックが必要。しかし、ほとんどのオウンドメディア担当者は「いい記事を書けばバズる」と思っているケースが多いようです。

「記事をバズらせようとするなら、いい記事であることはもちろん、どのようにバズらせるかを計算して狙っていく必要があります。具体的には、プレスリリースでメディア露出を図ったり、インフルエンサーに記事をシェアしてもらうといった施策を行うといったことです。しかし、あまりメディア運営に明るくない担当者の方は、いい記事ならば自然とバズると思っている節があります。そのような考え方で記事を作っても、ほとんどがバズりもしませんし、検索順位の上位にも入らないものです。これは結構難しい話だと思っています。」(五十嵐さん)

また、「バズりやすい」コンテンツのタイプというものがあるとのこと。しかし、それが効果的かどうかは疑問であると五十嵐さんは語ります。

コンテンツのタイプは、SNSやキュレーションメディアなどからの流入で爆発的なトラフィックが得られる“受動型コンテンツ”と、ユーザーの顕在化した悩みを解決する“能動型コンテンツ”があります。前者はSNSで見かけてついついタイトルをクリックしたくなるような記事です。こちらはいわゆる爆発的なトラフィックが生まれやすい傾向がありますが、ユーザーは興味本位でアクセスしているだけなので、記事だけ見て離脱してしまうことがほとんどとなります。つまりCVRは当然低く、狙ったようなユーザの態度変容や体験を起こしてくれる可能性が低いという特徴があります。一方後者は、ユーザーの明確な目的に合致したコンテンツを提供することで、CVRに直結するケースが多くなります。企業が収益目的でオウンドメディアを運営するなら能動型コンテンツでの集客を目指すべきです。なぜなら、バズらせるために宣伝費をかけるよりも低コストで運用できるからです。」(五十嵐さん)

単に「バズりたい」というだけなら、刺激的なタイトルや内容の記事を作ればいいわけですが、"受動型"のユーザーのトラフィックが収益になるかは不透明。企業が収益目的で取り組むなら、"能動型"のユーザーにアプローチできるSEOに強いコンテンツ施策を最優先に取り組むべきです。

④記事は「量>質」

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オウンドメディアを運営していると、PVを上げたいという理由から、大量の記事を公開してしまいがちになります。もちろん記事の量は重要ですが、それよりも重要視しなければいけないのが、記事の質です。

「この場合の記事の質は、Googleに評価されやすいか、いわゆるGoogleフレンドリーかということです。Googleはサイトの評価基準を公表しています。独自情報を提供しているか、トピックに対して十分な量の情報を網羅しているかなど、Googleが公式に公開している評価に沿った記事を作ることが、メディア全体の信頼性につながります」(五十嵐さん)

PLAN-Bがコンテンツ制作をする際には、記事の質を高めるための30項目のチェックリストを用意しているとのこと。記事の執筆や校正の際にそのチェックリストと照らし合わせることで、質の高い記事になります。

このチェックリストはダウンロード できるので、ご興味のある方はどうぞ。

⑤公開した記事をリライトせずに放置

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PLAN-Bが提供する「SEARCH WRITE」のタイトル改善画面

そして最後が、記事のリライトです。実はこれがオウンドメディア運営において、もっとも重要でありながら盲点となっているんだそう。特に、1年以上オウンドメディアを運営していて伸び悩んでいる場合は、リライトの効果は絶大なんだとか。PLAN-Bの調査によると、リライトなしで伸び続ける記事は24%ほど。逆にリライトをした記事は60%は成果が出ているそうです。成果が出ている記事の8割は200%の伸び率ということで、リライトをすれば成果が出るのは明らかです。

「たとえば、公開済みの記事のタイトルを修正しただけでも順位、流入共にアップする可能性があります。記事もリライトすればさらに効果は上がります。新規で記事を作るよりもリライトのほうが手間はかかりませんから、ぜひやっていただきたいですね」(五十嵐さん)

ただし、リライトする記事の優先順位がわからないという場合もあるでしょう。そこでPLAN-Bでは、記事ごとのインプレッションとCTRのバブルチャートを作成。これにより、インプレッションが多くてもCTRが低い記事、逆にCTRは高いけれどインプレッションが少ない記事が可視化されます。

このような記事を積極的にタイトルの修正をしたり本文のリライトをすることで、記事ごとのインプレッションやCTRを上位にしたり、記事内容の充実を図って検索評価を上げることで、サイト全体のトラフィックを上げることができます。

しかし、どうやってタイトルのリライトをすればいいのかわからないという場合もあります。そこでタイトル修正についてのテクニックを教えていただきました。

タイトルには、目標キーワードを単語レベルに分解してしっかり入れましょう。そしてタイトルは全角32文字以内に収めること。あとは、クリックしたいキーワード、たとえば数字やトレンドなどを入れる。この3つを念頭に置いてタイトルを変えるだけでも、効果は現れます。リライトは、いわばメディアの健康診断といったものです。定期的にリライトをすることで、メディア全体の健康度が上がって、PVCTRが伸びるはずです。」(五十嵐さん)

リライトには、文章作成のためのノウハウはあまり必要なく、修正するポイントさえきちんと理解していれば、誰でもできるところもポイント。先述の五十嵐さんの記事チェックリストはリライト時にも有用になっているとのことなので、試してみてはいかがでしょうか。

オウンドメディアはインハウスが基本

以上5つの間違いのほかにも、オウンドメディアの運営において重要なことがあります。それは「インハウスでやる」ということ。

通常メディア運営をすると、ライターは外部に発注することが多いと思います。しかし五十嵐さんは、ライティングは社内で行うことを推奨しています。

「オウンドメディアを途中でやめてしまう理由としては、費用がかかりすぎるというものがあります。1記事5万円で外部ライターに月10本記事を発注するだけで50万円のコストがかかりますよね。そのほかにツールの費用や広告費などがかかると、月100万円以上になることも。しかし、ライターをなるべくインハウスで賄うようにすれば、キャッシュアウトを低く抑えられます。その分社員にがんばっていただかないといけないんですが(笑)」(五十嵐さん)

メディア専業ではない企業では、オウンドメディアは「片手間」とみられがち。そのような状態で長く続けるにはなるべくキャッシュアウトを発生させないことが重要。そこでライターのインハウス化なのです。

また、別な効果もあるとのこと。

「ライターをインハウス化することで文化の形成にもなりますし、アウトプット文化も生まれてくると思います」(五十嵐さん)

もっと知りたい方はこちらを

このほかにも、オウンドメディアを運営する上でのコツは数多くあります。もっと知りたい! という方は、以下の方法をオススメします。

ホワイトペーパーダウンロード
PLAN-Bで作成した「新規顧客獲得のためのコンテンツマーケティング実践編」は、集客のためのコンテンツマーケティングコンテンツSEOの方法を実践的に解説した資料です。具体的な施策例なども多く掲載されているので、オウンドメディアの集客で悩んでいるといった場合に役立ちます。

②無料相談を受ける
とにかく困っている! という場合は、PLAN-Bの無料相談を利用してみるのもいいでしょう。現在、コンテンツマーケティングなどに関する無料相談キャンペーンを実施中なので、この機会にマーケティングの専門家にアドバイスを求めてみるというのは、アリじゃないでしょうか。

「オウンドメディアをやってみたけれど、うまくいかない」

そんなときは、この記事を参考に一度記事の見直しや、メディアの施策などを振り返ってみましょう。きっと効果が出るはずですよ。

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