D2Cにおける組織作りとマネジメント

オンライン・オフラインに限らず、さまざまなタッチポイントを作ることでユーザーとの接点を増やすこと。それがD2Cにおいては重要なことですが、実際にそれを実行する組織作りやマネジメントの面が気になります。

氷熊氏の会社は13名という少数精鋭のチーム。オンライン・オフライン両方の事業に、全員で取り組んでいます。

「開発チームもビジネスチームも、オンラインのこともクリニックのことも同時にやっています。一人のエンジニアが、フロントエンドとバックエンドの両方を考えなければいけないということがあるので、結局は区別しない組織になっています。人が少ないからこそそうなっているという面もありますね」(氷熊 氏)

坂梨氏は、まだブランドを立ち上げたばかりの時期ということで、今はさまざまなタッチポイントを作っている最中。そのなかで工夫していることなどはあるのでしょうか。

「前職で各企業とのコラボや連携というのは経験していて、自分の得意分野でもあるので、それが活きていますね。スタートアップなのであまり人員がいないのですが、いなくてもなんとかなるなというのはすごく感じています。結局、自分事にできて本気な人が何人いるかというところにかかってくるんじゃないかと思います」(坂梨 氏)

事業拡大フェーズにおける注意点

事業を行い軌道に乗ってくると、いつかは事業拡大のフェーズに移ります。この事業拡大フェーズにおける注意点について参加者から質問がありました。このウェビナーの1日前にベビーフードのブランドチェンジを行ったばかりの杉岡氏は、「スピードが大事」と答えます。

「ブランドは、顧客対象者以外の人たちが入ってくると難しくなってくると思います。ここで安易に事業拡大をしても難しいでしょうね。事業をニッチに絞っていくと解決したいニーズもニッチになるため、そうじゃない人たちが購入してくれたとしても期待に応えられないということになります。これを解決するためには、いち早くニーズをキャッチアップして、それを自分たちが解決すべき課題かどうかを見極めて、解決すべき課題ならばプロダクトやサービスにしていくということをスピーディーにやることが大事だろうなと思っています」(杉岡 氏)

ニーズについてやるやらないという判断は、社内で常に議論をして順位付けを行い、それを順番に実行していくというやり方をしているとのこと。常にニーズをくみ上げそれを精査していくということは重要のようです。

それぞれの今後について

最後のテーマは、今後の事業展開などについて。それぞれがこれから大事にしていきたいと思っていることは何なのでしょうか?

「当初大事にしていたブランドストーリーやミッションを踏まえて、事業拡大するときにそれがほんとうにアクションとしてあっているのか、それを愚直にやるということです。サービスの追加、広告、価格の見直しなど、それがほんとうにあっているのかは結構意識しています。あとは組織のメンバーですね。何かしらヘルスケアに関して実体験で苦労したことがあるメンバーが多いので、これから組織を大きくしていく上でも、そういうことに共感してくれるメンバーでやっていくということを大切にしていきたいですね」(氷熊 氏)

「僕らは子どもへの投資という意味で、食の領域でどういうプロダクトやサービスがあるべきなのかということを真摯に考えて開発をしていくことですね。最近は友だちにもほんとうの気持ちが言えないような社会になっていますから、親友や家族のように相手のことを考えて、何も言っていないのにこれどう? ってアドバイスをしてくれるようなものを、サービスを通して実現できるといいなと考えています」(杉岡 氏)

「弊社の最終的なゴールは、早期に自分の妊孕力を知ってもらうということです。これを潜在層にどうアプローチするかというところが当面の課題ですね。新しい慣習を作っていくということなので、私たちのようなスタートアップ企業だけではできません。行政や企業、大学、それに両親まで巻き込んで一緒にサービスやプロダクト、市場を作り上げるところまで弊社でやっていかなければと思っています」(坂梨 氏)