「タッチレス」という言葉を聞いたことはありますか?日本語で言えば「非接触型」となり、いわゆる非接触型テクノロジーを取り入れたデバイスなどを指します。新型コロナウイルス感染が拡大する中、この「タッチレス」に大きな注目が集まっています。

そこで今回の記事では、ビジネスパーソンに向けて「タッチレスとは何か?」「なぜ今、注目されているのか?」「そのメリットは?」といった点を紐解き、最新の国内企業導入事例も交えながらお伝えします。

タッチレスとは?

*タッチレスとは「非接触型」のテクノロジーを取り入れたデバイスのこと。*新型コロナウイルス感染が拡大する中、例えばドアノブや、コンビニのレジ、銀行ATMなどのタッチパネルに手を触れることは感染リスクに繋がるため、できれば避けたいものです。

そこで、*接触せずともデバイスを機能させられる、タッチレスの技術に大きな関心が集まっているのです。*この「タッチレス」に必要なセンサー技術は、日本企業が高い競争力を持っており、世界のセンサー市場でのシェアは約5割にも上ると言います。

日本が得意とする技術を活かし、新たなビジネスを創出することが期待されており、AIやセンサーを活用して、各社が技術の開発を競い合っている状況にあります。

参考:「タッチレス」に商機、AIやセンサー活用|JIJI Financial Solutions

タッチレスの事例

ここからは、実際にタッチレスのテクノロジーを実用化している国内企業事例をご紹介します。

①既存エレベーター向けタッチレスボタン(フジテック株式会社)

エレベーターやエスカレーター、歩く歩道の専業メーカー「フジテック株式会社」は、同社の既設エレベーター向けにタッチレス操作可能な「非接触ボタン」を発売しました。そもそもボタンに接触する必要をなくし、タッチレスのエレベーターを実現します。

既に設置されているエレベーターのかご内と、各階の乗り場にある操作盤を、タッチレスボタンが併設された新しい操作盤に交換する、というものです。

このタッチレスボタンは、赤外線ビーム式のセンサーを採用しています。センサーに手をかざすことで赤外線ビームの反射を検知し、反応する仕組みで、ボタンに触ることなくタッチレスで操作することが可能になります。

もし、階を押し間違えても、もう一度手をかざせばキャンセル可能。また、操作盤に近づいたヒトの姿に反応して誤作動が起こらない仕組みにもなっています。

掃除の際は、センサー部分を拭き掃除すると認識するそうですが、その場合は、キャンセル機能があるので、もう一度手をかざすとキャンセルできます。*災害時は、タッチレスは無効になり、普通のボタンで操作します。*この「既存エレベーター向けタッチレスボタン」は、もともとはコロナ対策ではなく、病院、高齢者向け福祉施設、食品工場、研究機関など、衛生面に配慮する施設向けを意図して開発されたものだったそうです。

しかし、withコロナ時代を迎え、人々が「新しい生活様式」に関心を向ける中、当初は想定していなかった商業施設、マンション、ホテル、オフィスなど、さまざまな施設から問い合わせが寄せられているとのことです。

参考:手をかざすだけ? 既存エレベーター向け“非接触ボタン”が登場…コロナ禍で想定以上の大反響|FNNプライムオンライン

②AI顔認識・非接触サーモグラフィー体温計(株式会社ジークス)

「株式会社ジークス」は、AI顔認識による非接触サーモグラフィー体温計の取り扱いを開始しました。AIによる顔認証技術を活用し、高性能サーモカメラとディスプレイを一体化したサイネージ型検温システム「グラウドサーモサイネージシステム」という製品です。

新型コロナウイルス感染拡大の中で、商業施設やイベント会場、ホテル等で正確かつスピーディーに体温測定をしたいというニーズがあります。

この製品では、ウォークスルーにより、一度に複数人(最大30人)の検温が可能。体温が高い場合は警告灯、音声と画面、eメールで警告します。設置も簡単なため、様々な施設、会場で使用することが可能。スタッフや来場客の感染リスク低減、そして検温のための人件費削減につながるシステムです。

参考:AI顔認識・非接触サーモグラフィー体温計グラウドサーモサイネージシステム 取扱い開始|PR TIMES

③後付け可能のセンサー式水道タップ「ieUSE」(合同会社 優心)

「合同会社 優心」では、一般住宅向けに後付可能なセンサー式水道タップ「ieUSE」を取り扱っています。タッチレスで、ハンドルに触れることなく水が出てくる水道タップは、商業施設や空港、駅などではよく出会います。しかし、自宅の水道タップはタッチレスに対応していない家庭も少ないのではないでしょうか。

コロナ禍の中、自宅でも一日に何度も手を洗います。しかし手が汚れていれば、水道のハンドルそのものの衛生面も気になり、何度も掃除をしなければなりません。「タッチレスのタップに付け替えたい」と考えても、水回りのリフォーム工事が必要などコスト・時間面ともに大げさな事態にもなりそうです。

そこで今回、「合同会社 優心」が取り扱いを始めたのが、いま、自宅で使っている水道タップに簡単に取り付けられる、後付けタイプのセンサー式水道タップです。

センサー下部に手をかざすとインスタントモード(手をセンサーから離すと、流水が止まる)、側面に手をかざすと連続流水モード(3分後に自動的停止)と、使用用途に合わせて2つのモードを使い分け可能。自宅で、水道タップの衛生面や利便性が気になっているなら、簡単にアップデートできる製品です。

参考:後付け可能のセンサー式水道タップ「ieUSE」、手で直接にハンドルに触る必要がなく、便利・清潔・衛生的!|PR TIMES

④タッチレスブラインド(株式会社クラウドポイント)

デジタルサイネージなどを手掛ける「株式会社クラウドポイント」は、IoTデバイスや非接触センサーと連動し、スイッチに触れることなく空間を仕切ることが可能な「タッチレスブラインド」の販売を開始しました。

タッチレスセンサーや音声操作を可能にするIoTデバイスとの連動により、スイッチやハンドルに触れることなく、視界の遮断を瞬時にオン・オフにすることが可能。衛生的にプライバシーを守ることができます。

最新の液晶技術を使用し、瞬間調光フィルムに電圧をかけることにより、白濁状態から透明状態に変化する、という仕組みです。オフィス会議室や病院、ショールーム、自宅でのプライベート空間など様々な用途での利用を意図して開発されました。

参考:IoTデバイスや非接触センサーと連動し、スイッチに触れることなく空間を仕切ることが可能な『タッチレスブラインド』の販売を、2020年7月より開始いたしました。|PR TIMES

⑤空中操作のユーザーインターフェース(株式会社ショップパートナー)

システム開発を手掛ける「株式会社ショップパートナー」はタッチレス・空中操作を可能にするユーザーインターフェース製品を販売しています。券売機、デジタルサイネージ、案内板など、不特定多数の人が触れるタッチパネルは、衛生面が気になり、なるべく触りたくないと感じてしまうもの。そのユーザーインターフェイスを、画像系AIを活用してタッチレス、空中操作を可能にする仕組みです。

例えば、食堂で注文メニューを事前に選ぶ券売機。このタッチレス式ユーザーインターフェイスの画面に複数のメニューが表示されたら、空中で指を動かすことでカーソル移動をしてメニュー選択ができます。メニューを決めたら「OK」と指でジェスチャーすれば認識され、発券されます。

任意のジェスチャーを登録することで機能をカスタマイズすることができ、不特定多数の人が利用する環境でも直感的な操作が可能。ドライブスルーなどで距離的に画面に手が届かない状況でも有効です。公共施設、商業施設、飲食店、倉庫、工場、医療の現場で既存のユーザーインターフェースからの置き換えなどを想定しているとのことです。

参考:新型コロナにも有効なノータッチ・空中操作のユーザーインターフェース|PR TIMES

タッチレスのメリット

メリット①感染拡大予防・安全確保

まず、このコロナ禍で「接触」は感染リスクにつながると考えられていますので、タッチレスの最大のメリットは「感染拡大予防」「安全確保」です。「新しい生活様式」「ニューノーマル」に対応したテクノロジーだと言えます。

メリット②来場客に不快感を与えない

衛生面・安全面を確保できるということは、商業施設や公共施設、病院など不特定多数の人が来場する場において「来場客に不快感を与えない」というメリットも生まれます。

メリット③人件費の削減

事例で挙げた「来場客の検温」「食堂でのメニュー注文」など、従来であれば人手がかかっていた部分をタッチレスに置き換えることができれば、人件費の削減にも繋がります。