伸長する「中食(なかしょく)」市場とは?家庭での喫食が増大
中食のメリット・デメリット
中食のメリット
①時短
まず、調理・片付けの手間を省けるというメリットがあります。弁当や惣菜は、その日に食べる分だけパックされて売られていますから、自分で食材や調味料を揃えて一から調理する手間を省くことができ、さらには、片付けの手間も省くことができます。
よって、普段あまり家庭で調理をしない、調理や片付けそのものを煩わしく感じる人でも手軽に利用できます。
また、普段は家庭で調理をする人に向けても「今日は時間がないから、惣菜や弁当を活用して時短にしたい」といった場面で重宝します。
②普段自分では作らない料理が食べられる
デパートの地下などで売られている弁当や惣菜には、凝ったメニューも見られます。
また、最近はコンビニ各店も飲食店とのコラボメニューを次々に発売するなど、「普段自分では作らない料理が手軽に食べられる」という点もベネフィットとして挙げられるでしょう。
③外食するより価格が安い
弁当や総菜は総じて、外食するより割安であることが多いものです。
また、2019年10月以降の消費増税後にあっても、テイクアウトであれば軽減税率(8%)が適用されますから、「外食より価格が安い」という点も挙げられます。
③食材が無駄にならない
その日に食べきる分だけの弁当や惣菜を自宅へ買って帰れば、食材を無駄にすることもなく、いわゆる「食品ロス」を回避できます。
この観点から、自分で一から食材や調味料をあれこれと買ってきて調理するより割安、と考える人もいるでしょう。
④好きな場所で食べられる
弁当や惣菜をテイクアウトすることで、自宅、職場、公園、アウトドアシーン、車の中など、各自が好きな場所で食べられます。
特に昨今のコロナ禍では、「お気に入りの中食をテイクアウトして、自宅で好きなテレビや映画を見ながら食べる」といった場面にリラックスを感じる人も多いのではないでしょうか。
中食のデメリット
①日持ちしない
中食のデメリットは、基本的に「日持ちがしない」という点です。市販の弁当や惣菜は、その日のうちに消費することを想定して作られているので「ストック」という観点では適していません。
②栄養バランスを考えるのが難しい
市販の弁当や惣菜、調理品には、高カロリーのものや、特定の食材に偏った商品も見られます。
自分で食材や調味料を組み合わせて調理する際に比べ、栄養バランスを考えて食べるのが難しい、という点が挙げられるでしょう。
企業の中食に関連する取り組み
キユーピー株式会社「フレッシュストック」事業
国内大手食品メーカーの「キユーピー株式会社」は、食・買い物ニーズの変化に対応すべく新事業「フレッシュストック事業」を始動させました。
これは、同社が業務用フードサービスで長年培ってきた調理現場のニーズや、プロの味作りなどの技術を生かしたものです。忙しい消費者が、スーパーの低温売場でまとめ買いした商品を冷蔵庫にストックし、日々の食事で手軽にフレッシュな味わいの料理を楽しめるラインアップを提案していく、というコンセプトを掲げています。
従来は「日持ちしない」ものだった「中食」に、「ストック」の概念を取り入れているところも、この新事業の注目すべき点だと言えるでしょう。
調味料、パッケージ惣菜、たまご商品の3つの柱を「青果売場」「精肉・鮮魚売場」「惣菜売場」の3つの売場で展開していきます。
まずはテスト販売からスタートさせているとのことですが、これからはスーパーの店頭で惣菜や、たまご調理品を買って帰ったら「キユーピーの製品だった」ということも増えていくかもしれません。
参考:キユーピーグループの新たな挑戦 「フレッシュストック」事業を始動 withコロナにおける新たな食ニーズへの対応|PR TIMES
ロイヤルホスト、ピエトロ 家庭向け冷凍メニューを提供
ファミリーレストランのチェーン各社でも、「家庭向け冷凍メニュー」の通販や配架が始まっています。
ロイヤルホストは「ロイヤルデリ」という事業を展開。プロが作る、専門店の味を家庭の食卓でも楽しめるよう、レストラン品質の冷凍食品を販売しています。
これは、「ロイヤルオンラインショッピング」を利用すれば全国から取り寄せ可能です。
また、パスタレストランで知られる「ピエトロ」も「冷凍パスタ」を発売。店舗で提供する料理と同等の質を確保し、百貨店や高級スーパーなど約60店舗に配荷します。同社では従来、食品事業の中心はドレッシングやパスタソースなどでしたが、「冷凍パスタ」をこれらの商品に次ぐカテゴリーに育成したい考えとのことです。
参考:
激化する「中食・内食」競争、家庭での喫食は拡大傾向に|食品産業新聞社
食品ロス削減に寄与するフードシェアリングサービス「TABETE」
株式会社コークッキングが運営する「TABETE(タベテ)」は、国内初の「フードシェアリングサービス」。飲食店や販売店に残存する「まだ安全に美味しく食べられるのに捨てざるをえない状況にある食事」を一般消費者が割安で購入でき、飲食店や惣菜店での食品ロス削減に寄与する仕組み(マッチングサービス)です。
この「TABETE」は、2020年9月に登録ユーザー数が30万人を突破し、2020年8月までで累計5万食(約2万5000kg相当)の食品ロス回避に寄与しました。
緊急事態宣言が発令された頃から、飲食店・惣菜店側の出品がそれ以前の2.3倍に増加。また、買い手側も「支援消費」という考えから、購入数が2.2倍に増加したとのことです。
スーパーやコンビニ、デパ地下などで買って帰る「中食」だけではなく、新たなアイデアによる仕組みで「中食事業」がさらなる発展を遂げている一事例と言えるでしょう。
参考:フードシェアリングサービス「TABETE」ユーザー数30万人・累計レスキュー食数5万食に。コロナ禍でTABETEユーザーの「支援消費」が増加。|PR TIMES
「フードデリバリー」と「ゴーストレストラン」
「Uber Eats」「出前館」など、レストランから食事の出前をする「フードデリバリーサービス」各社も最近、一般消費者間で利用が伸長しています。
最近、この「フードデリバリー」に関連した事業で注目すべきは「ゴーストレストラン」「シェアキッチン」という業態です。「ゴーストレストラン」とは、そもそもデリバリー対応だけを想定した、店舗を持たない飲食店を指します。また「シェアキッチン」とは、そのような「ゴーストレストラン」が複数集まって、厨房をシェアしながら運営する場のことです。
ゴーストレストラン向けのシェアキッチン事業を手掛ける「株式会社BeChef」は、2020年9月に同社3施設目となるシェアキッチン 「BeChef SHIBUYA」 を東京都渋谷区にオープンし、出店者の募集を開始しました。さらに、新型コロナウイルスで影響を受けた飲食店向けに、支援策として「初期費用一切無料」も打ち出しています。
食のスタイルが大きく変化し「中食」需要が増える中、この「フードデリバリー」と「ゴーストレストラン」事業は、今後も伸長していきそうです。
フードテックで新しい飲食店体験を実現 モバイルオーダーとキャッシュレス
東京都内を中心に、サラダ専門店を展開する「クリスプ・サラダワークス」。同店は「テイクアウト&デリバリー戦略×フードテック活用」の分野で注目を集めています。
新型コロナウイルスの影響により、外食産業は今まで通りの戦略では生き残りが厳しくなってきています。そこで同社では、消費者に寄り添ったテクノロジーを導入しています。
自社で独自に、モバイルオーダーアプリを開発。アプリ経由で、来店前に自分の好みのサラダをカスタマイズ注文できるようにしました。消費者は、店頭での待ち時間が少なくて済みます。
ここへさらに、キャッシュレスも組み合わせて、「モバイルオーダー×キャッシュレス」の仕組みがテイクアウトとデリバリーの高比率(※80%)を実現しています。
消費者目線に立ったテクノロジーの導入により、テイクアウトやデリバリーの利便性を高めている事例だと言えるでしょう。
参考:「クリスプ・サラダワークス」のマーケティングトレース|FoodClip
- ベネフィット
- ベネフィットとは、「利益」「恩恵」「便益」などの意味で、マーケティングにおいては、「顧客が商品から得られる良い効果」のことをいいます。 人は、商品やサービスを購入する際、商品そのものではなく「その商品を使用することによってもたらされるもの」を購入しています。例えば、ドリルを購入する人は、ドリル本体ではなく、そのドリルで開けられる穴を購入しているといえます。
- コンセプト
- コンセプトとは、作品やサービスなどに一貫して貫かれている考え方をいいます。デザインと機能がバラバラだったり、使い勝手がちぐはぐだったりすると「コンセプトが一貫してないね」などと酷評されてしまいます。
- オンライン
- オンラインとは、通信回線などを使ってネットワークやコンピューターに接続されている状態のことをいいます。対義語は「オフライン」(offline)です。 現在では、オンラインゲームやオンラインショップなどで、インターネットなどのネットワークに接続され、遠隔からサービスや情報などを利用できる状態のことを言う場合が多いです。
- シェア
- シェアとは、インターネット上で自分が見つけて気に入ったホームページやブログ、あるいは、Facebookなど自分自身が会員登録しているSNSで自分以外の友達が投稿した写真、動画、リンクなどのコンテンツを自分の友達にも共有して広めたいという目的をもって、SNSで自分自身の投稿としてコンテンツを引用し、拡散していくことをいいます。
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- アプリ
- アプリとは、アプリケーション・ソフトの略で、もとはパソコンの(エクセル・ワード等)作業に必要なソフトウェア全般を指す言葉でした。 スマートフォンの普及により、スマートフォン上に表示されているアイコン(メール・ゲーム・カレンダー等)のことをアプリと呼ぶことが主流になりました。
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