長期化するコロナ禍の中、コンビニやスーパー、飲食店など日常の買い物において非接触で支払いができるスマホ決済の利用が進んでいます。スマホ決済には、実に多数の種類が見られ「各サービスのシェアはどれぐらい?」と疑問に感じているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、スマホ決済の国内導入動向を知りたい人に向けて種類、利用伸展の背景、各サービスのシェアなどを解説します。

スマホ決済には大きく分けて2タイプがある

日本国内で利用されているスマホ決済には、大きく分けて2つのタイプがあります。それは、「非接触IC決済」と「QR(バーコード)決済」です。

非接触IC決済

非接触IC決済のイメージ
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出典:スマホ決済とは?種類・支払い方法・メリットやデメリットを解説|LINE MOBILE

どんな方式?

「非接触IC決済」とは、スマホ本体に搭載されたFeliCa、Bluetooth、NFCといった近距離無線通信規格を利用した決済方法です。スマホ本体を専用の端末に「かざす」動作によって決済が行われます。

(一例)

ID、楽天Edy、Suica、PASMO、WAON、QUICPay、nanaco など

QR(バーコード)決済

QR(バーコード)決済のイメージ
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出典:スマホ決済とは?種類・支払い方法・メリットやデメリットを解説|LINE MOBILE

どんな方式?

QR(バーコード)決済とは、スマホに専用の決済アプリをインストールし、アプリ画面に表示される専用QRコードを店舗に読み取ってもらうことで決済を行う方式です。店舗側に設置されている専用QRコードをアプリ側で読み込むことでも決済を行えます。

専用の決済アプリをインストールすれば利用できるため、前項で述べたFeliCa、Bluetooth、NFCといった通信規格に対応していないスマホ端末でも対応可能です。

(一例)

PayPay、LINE pay、au PAY、楽天ペイ、d払い、メルペイ

スマホ決済が広がっている背景

スマホ決済の普及率は、現時点でどれぐらいなのでしょうか?

2021年02月18日にJCBが公開した調査結果(*1)によると、スマホ決済利用率は51.6%に上り、人々の間で次第に利用が進展しつつあることが伺えます。

スマホ決済利用拡大の背景には、政府がキャッシュレス決済普及に向けた取り組みを多角的に進めていることが挙げられます。

政府は国民のメリットを以下のように掲げ、普及活動に取り組んでいます。

①消費者の利便性向上(自治体窓口でも活用広がる)

スマホさえあれば買い物が身軽になり、大金の持ち歩きや小銭の管理が不要になります。
また、スマホ決済アプリと家計簿アプリの連携設定をしておけば、自動で家計簿を付けることができるなど、買い物履歴の管理も簡単になります。

②店舗側のレジ管理手間減/売上拡大

キャッシュレス決済が進めば消費者側の簡便性が進展するだけでなく、店舗側のレジ管理も簡単になります。

閉店時の「レジ締め」にかかる作業時間はレジ1台当たり25分、1店舗当たり平均1日153分にも上ることが明らかになっており、これらの作業時間短縮につながります。また、従業員による現金搬出入回数の手間減や、売上現金紛失・盗難等のトラブル減少も期待できます。

さらに、訪日外国人によるインバウンド需要取込など、売上拡大にもつながります。政府の調査によると、訪日外国人の約7割が、キャッシュレス決済が利用できる場所が今より多かったら「もっと多くお金を使った」と回答。こうした訪日外国人の需要をつかむことが可能になると見込まれています。

③デジタル化推進(データ活用)

キャッシュレス決済が浸透していくことで、消費者一人ひとりの購買情報を分析・活用して、高度なマーケティングやターゲット層向けの商品・サービスの開発も可能になります。

④災害時のメリット

近年、自然災害が頻発する中で、災害時に金融機関やATMで両替・入出金を行うことが困難になるケースも生じています。災害時にキャッシュレス決済を利用できることは消費者・店舗の双方にとって助けとなります。

⑤感染症対策

そして、キャッシュレス決済は、現金決済に比べて衛生的であり、新型コロナウイルス等の感染症の蔓延しにくい環境の構築につながるとされ、政府でも推奨されています。

衛生環境の維持が必要な自然災害発生時などにもキャッシュレス決済を利用できるようにすることは衛生面でもメリットがあると考えられます。

(*1)クレジットカードに関する総合調査 2020年度版調査結果レポート 株式会社ジェーシービー

キャッシュレスの現状及び意義|経済産業省

令和2年度地域におけるキャッシュレス導入支援事業(災害時のキャッシュレス決済実証・調査事業)事業報告書