インターネット上で"モノ"や"サービス"を提供する際、顧客管理や在庫管理など大切な要素はいくつかあります。その中で、カスタマーにとってもサービス提供者にとっても重要な機能(部分)の一つとして挙げられるのが、直接お金を取引する*「決済」*です。

決済機能はECサイトを運営している方であればもちろん必要不可欠で、新規制作しているホームページに設置しようとしている方も、既存のホームページ内に組み込みたいと思っている方も存在します。そこで今回は、プログラミングの基礎を押さえておくだけで、自社ホームページに数行のコードで決済機能を実装することができる、オンライン決済プラットフォームをご紹介します。

最近では決済機能の付いたECサイトを簡単に作ることができるようになりました。当記事では、決済機能を設置しようと検討している方、これから検討しようとしている方にオススメです。ぜひ一読ください。

オンライン決済プラットフォームとは?

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オンライン決済プラットフォームとは、個人事業主や中小企業でも、自社のホームページに決済機能を安く簡単に導入できるオンラインサービスです。

自社のホームページに決済機能を取り入れたい際、これまでは決済代行業者とシステム利用の提携を個別に結んで、大規模なシステムを導入する必要がありました。また、利用する場合には決済代行業者に問い合わせ、初期費用や決済手数料などを営業担当から説明してもらい、見積もりを出し、実装……というように時間・費用がかかり、個人事業主や中小企業には敷居の高いものでした。

参考:
おすすめのネット決済サービスはどれ?33個のサービスの特徴をまとめてみました|ferret

しかし昨今、登場したオンライン決済プラットフォームのおかげで、APIを扱える程度のプログラミングの知識さえあれば、簡単に自社ホームページに決済機能を導入できるようになりました。ほとんどのプラットフォームでは初期費用が不要で、最短3営業日ほどでサービスを利用することができます。クレジットカード情報などもプラットフォーム側で管理してくれるので、情報メンテナンスなどは必要ありません。
  

オンライン決済プラットフォームの7つの導入メリット

導入によって体感できるプラス要素(1~4)

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それでは、個人事業主や中小規模の法人がオンライン決済プラットフォームを導入するメリットはどこにあるのでしょうか。下記では導入メリットをについて解説していきます。

1. キャッシュフローを安定化できる

こうしたプラットフォームを導入せずとも、直接の現金取引や銀行振込、または代金引換などを利用することはできます。ただ、オンライン上で銀行振込を促す場合、相手が確実に期限までに振込をしてくれるかどうかはわかりません(お客様を信じたいところですが、未回収リスクがあります)。代金引換も商材を選ぶので、どんなビジネスでも取り入れやすいという訳ではありません。

クレジットカード決済であれば商品やサービスの購入時点で決済できるので、代金の未回収リスクが格段に減ります。結果的に、キャッシュフローを安定化することができるのです。

2. 購入者の決済の選択肢が増える

クレジットカード番号を一度登録しておけば定期的に引き落とされるサブスクリプション決済(定期課金)に対応していたり、Apple PayやTポイントなどの様々な決済方法に対応しているプラットフォームもあります。多様化する消費者のニーズに対し、柔軟に応えられる決済方法を提供することが可能です。

3. 信頼感が増す

商品購入の際に、決済画面だけ別の決済代行業者のページに飛ぶよりは、できるだけ同一ドメインのサイト内で決済を済ませた方がスムーズです。決済システムもしっかり用意されていることがわかれば、商品やサービスを購入するカスタマーは安心し、事業や会社に対する信頼感が増します。

4. 売上げの管理や分析の負担を軽減

ほとんど全ての決済プラットフォームがダッシュボードを用意しています。ダッシュボードでは、顧客情報、決済情報、振込などのあらゆる情報を管理できます。
仮にこうしたプラットフォームを使わずに管理するとなると、自分でエクセルや電卓などを使いながら管理することが必要で時間や労力がかかってしまいます。カスタマーの数が少なければ対応できますが、ビジネススケールが大きくなるほど大変になるので、売上げ管理や分析がしやすいのはプラスです。

開通にあたり準備するもの(5~7)

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従来の代行業者のシステムを使いよりもハードルは低くなったとはいえ、プラットフォームを利用するにあたり必要なものがいくつかあります。大きくわけて、次の3つは必要になるので必ず確認してください。

5. プログラミングの知識

多くの決済プラットフォームはAPIやライブラリという形で決済機能を組み込みます。したがって、APIを扱える程度のプログラミングの知識が必要になります。

しかしながら、多くの決済プラットフォームが多言語対応をしています。PHPやPython、Rubyのようなバックエンド言語(サーバー側で実行するための言語)だけではなく、JavaScriptのようなフロントエンド言語(HTMLCSSのようにブラウザ側で実行するための言語)にも対応しているライブラリが用意されている場合があるため、何らかの言語が扱える場合には学習障壁が格段に低くなります。

多くの決済プラットフォームにはAPIガイドなどのリファレンスが用意されているため、学習しやすいようになっています。また、本番環境に申し込む前に、テスト環境を使って実際に正常に決済できるかを確かめることができます。

参考:
ノンプログラマーでも心配無用!ゼロからプログラミングを学ぶための手順と21個の学習方法|ferret

6. 必要書類

本番環境に申し込む際には、クレジットカード会社との提携が必要になるため、個人事業主の場合には*「開業届」、法人の場合には「登記簿謄本」*が必要になる場合があります。

7. 銀行口座

実際に決済が完了した場合の振込先となる銀行口座の登録が必要です。まだ銀行口座をお持ちでない場合は、本番環境の申し込み前に開設を済ませておきましょう。

数行のコードで実装可能なオンライン決済プラットフォーム7選

それでは、実際に*「数行のコードで実装可能」オンライン決済プラットフォームをご紹介します。なお、今回ご紹介する情報は2016年12月1日時点*での情報です。
最新の情報に関しては、各ポラットフォームのホームページをご覧ください。

1. PayPal エクスプレスチェックアウト

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https://www.paypal.jp/merchant/service/express-checkout/

テスラモーターズやスペースXのCEOとして知られるイーロン・マスクが創設者であることでも有名なPayPal。PayPalはプログラミングの知識がなくても決済ページを用意することはできますが、APIを利用することができる*「PayPal エクスプレスチェックアウト」*に登録すれば、ドメインを移動することなく決済ができるシステムを実装することができます。

エクスプレスチェックアウトでは、すでにカスタマーがPayPalアカウントを持っていれば、カスタマーのクレジットカード情報や配送先住所を省略することができます。画面遷移が少ないため、決済完了率のアップが期待できます。

  • 初期費用:無料
  • 月額費用:0円
  • 決済手数料:1件につき2.4%+40円〜 - 手数料について
    - 対応ブランド - VISA / MasterCard / JCB / AmericanExpress / DISCOVER / UnionPayなど
  • 振込手数料:基本無料 / 引き出し金額が5万円未満の場合250円/件
  • API仕様書一覧

2. PAY.JP

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https://pay.jp

PAY.JPはインスタントにECサイトが作れるBASEが別サービスとして開始した決済プラットフォームです。BASEの決済システムとは完全に切り離した仕組みになっているため、BASEのアカウントを開設していなくても決済システムを組み込めます。

また、Apple Payの日本上陸と同時にApple Payにもいち早く対応しています。通常の決済も、たった1行のJavaScriptで、モバイルに最適化された購入フォームを生成することができ、リダイレクトなしで、すべてホームページ内で決済が完結します。

PAY.JPでは独自のアカウントサービスであるPAY IDを提供しています。カスタマーがあらかじめPAY IDに登録しておけば、クレジットカード情報を何度も入力することなく、シームレスな決済を行うことができます。

  • 初期費用:無料
  • 月額費用:ベーシックプラン 0円・プロプラン 10,000円・Seed 0円
  • 決済手数料:1件につき2.59%〜
  • 対応ブランド - VISA / MasterCard / JCB / AmericanExpress / DinersClub / DISCOVER / PAYIDなど
  • 振込手数料:250円/件
  • API利用ガイドAPIリファレンス

3. Stripe

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https://stripe.com/jp

Stripeは、2015年5月に日本上陸を果たしたアメリカ・サンフランシスコ発の決済サービスです。クレジットカード決済はもちろん、Apple Payやビットコイン決済にも対応しており、対応エリアは100カ国以上にも及びます。「Stripe Rader」と呼ばれる機械学習機能を用いた決済サービスや、米国法人の立ち上げ支援を行う「Stripe Atlas」など、ユニークなサービスも豊富です。クレジットカードだけでなく、デビッド決済にも対応しています。

ドキュメントやAPIリファレンスはまだ日本語版が準備されていませんが、機能性で見れば非常に使いやすく、セキュリティも万全です。

4. KOMOJU

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https://komoju.jp

KOMOJUは、クレジットカード決済以外にも、コンビニ支払い、Pay-easy(ペイジー)などを利用した銀行振込、さまざまなプリペイドカード電子マネーに対応した決済方法を提供しているユニークな決済プラットフォームです。オンライン決済全体のうちクレジットカードの占める割合が多くないということに着目してのことだそうです。

クレジットカード決済の手数料は3.25%〜ですが、コンビニ決済を使うと2.75%と手数料を抑えることができます。コンビニ決済やプリペイドカード決済なども、クレジットカード決済と同じように数行のコードで実装できるのは便利ですね。

  • 初期費用:無料
  • 月額費用:0円
  • 決済手数料:1件につき3.25%〜 (クレジットカード決済の場合)
  • 対応ブランド - VISA / MasterCard / American Express / Union Pay など
  • 振込手数料:無料 (ただし海外送金は2,500円) - 価格
  • Komoju API - 概要

5. Omise

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https://www.omise.co/ja

Omiseは日本・タイでサービスを行なっている決済プラットフォームです。各種APIのほか、「EC-CUBE」や「OpenCart」などのサードパーティー製のコマースCMSプラグインも提供しています。また、売り上げの振込を複数箇所に分けることもできるので、プラットフォーム型ビジネスにも適しています。

  • 初期費用:無料
  • 月額費用:0円
  • 決済手数料:1件につき2.95%〜
  • 対応ブランド - VISA / MasterCard / JCB / American Express / Diners Club
  • 振込手数料:260円 - [利用料金]
  • ドキュメント

まとめ

今回紹介したようなプラットフォームを導入することで、APIを扱える程度のプログラミングの知識があれば、自社のホームページで簡単に決済の仕組みを実装できます。カスタマーにとって不要な画面遷移はストレスとなり離脱率を上げる原因となりますが、同一ドメインで決済が完了するのであればそうしたストレスも軽減されます。

決済プラットフォームを選ぶ際には、手数料などのコスト面ばかりを気にするのではなく、すでにあるその他の機能を確認したり、これから開発される機能を開発者ブログなどで確認することも大切です。開発サイドだけでなく、カスタマーにとってどれが一番よい*CX(カスタマーエクスペリエンス)*になるかを考えることが、プラットフォームを選ぶ要素になるのではないでしょうか。

ぜひ、自分にとって一番の決済プラットフォームを探してみてください。