表現を工夫するだけで大きな効果が得られる可能性あり

23.カリギュラ効果

禁止されると、人はかえって禁止された行為をしたくなってしまいます。これを「カリギュラ効果」といいます。童話でも、「鶴の恩返し」や「浦島太郎」でこのような人の性質が描かれています。
キャッチコピー等に応用する場合は

「本が大好きな方以外はこの本を買わないでください」
「本気で痩せたいと考えていない方はこの先のページは見ないでください」

と言ったような見せ方があります。

24.フレーミング効果(≒リフレーミング)

見方や基準を変えることで、同じ物事でも全く違う印象を持ってしまうことを「フレーミング効果」といいます。
以下の文章は同じ現象を表していますが、受ける印象は正反対になるのではないでしょうか。

・大腸がんを患った患者の3割は死亡します
・大腸がんを患っても7割は生存します

少し表現を変えるだけで、受ける印象はマイナスにもプラスにも転換させることができます。自社サービスも、普段と少し違った見方をすれば新たな切り口が見えてくるかもしれません。

25.文脈効果

隣り合う情報の意味がお互いに影響しあい、意味が形成されることを「文脈効果」といいます。
例えば、ホームページで基礎化粧品を販売する際、ターゲットが女性であれば、ピンクやオレンジなどを基調とした柔らかく女性的な印象のホームページデザインに仕上げるのが一般的ですが、男性向けの場合は黒やグレーなどシャープなデザインにする場合が多いでしょう。このように、同じ基礎化粧品でも、周囲の情報を変えると、途端にその商品が誰向けなのか、どのような価値をもっているのかで変わってきます。

26.ストループ効果

異なる情報を同時に受け取った場合、その情報を処理するまでに時間がかかることを「ストループ効果」といいます。例えば、赤色で「黄色」という文字を目の前にして「その文字は何色?」と問われると、一瞬、赤なのか黄色なのか判断に迷ってしまいます。
そのような人の特性を把握したうえで、ホームページ上でどうしても強調したい部分が合った時は、ストループ効果を使って視線を留めるようなデザインにするのも良いでしょう。

27.シャルパンティエ効果

大きさや重さの単位を変換することで錯覚が起こることを「シャンパンティエ効果」といいます。例えば、10kgの鉄と10kgの羽毛布団を比べた時、重さは同じなのに羽毛布団の方が軽そうだと感じてしまいます。シャルパンティエ効果はキャッチコピーによく使われる手法で、「ビタミンC1g」より「ビタミンC1,000mg」と表記されていた方が大量のビタミンCが入っているような印象を受けます。
少し表記を変えるだけでユーザーに与えるインパクトは大きく変わります。

複雑なユーザー心理

28.ディドロ効果

自分が理想と考えるモノが手に入り、その他の身の回りのものがそれと適合しなかったとき、新しく手に入れたモノに合わせてその周囲のものまで変えていくことを「ディドロ効果」といいます。
例えば、自分の好みの花瓶を購入し、部屋に飾った時、部屋の雰囲気がその花瓶にそぐわなければ、人はその花瓶に合わせた部屋作りを始めます。

29.ブーメラン効果

相手に対して説得しようと試みた際、全く逆の方向に相手の気持ちを動かしてしまうことを「ブーメラン効果」といいます。自分の意図したものと反対の結果に陥ってしまう現象は避けるべきです。ホームページ上でどのような訴求をしているか、良かれと思って書いていることもユーザーの感情を逆撫でする要素になっていないか確認してみましょう。

30.ツァイガルニク効果

既に完了した物事よりも、未完了のものの方を記憶に留めやすいことを「ツァイガルニク効果」といいます。CMなどで一時期多用されていた「続きはWebで」はわざと情報を分断し、ユーザーの「続きを知りたい」という感情の喚起を促しています。
例えばホームページ上でも、連載ものの企画を用意し、常に「未完了」のコンテンツがあるという印象を根付かせることができると、ユーザーの興味をひきやすくなります。

31.権威への服従原理

人は権威のある者の言動には無意識に従ってしまいます。これを「権威への服従原理」といいます。専門家として紹介された人物のアドバイスであれば、ほとんどの人は無条件にその内容を信頼し、受け入れます。例えば基礎化粧品を販売する際も、「皮膚科医が開発に協力」したとアピールできれば、一般的な基礎化粧品よりも印象は良くなるでしょう。

32.一貫性の原理

一度決めたことは無意識のうちにやり通そうとする人の性質を「一貫性の原理」といいます。「決めたこと」というと大げさな感じもしますが、つまりは自分で「やりたい」と思ったことをやろうとする性質のことです。例えば、ダイエット食品のランディングページの場合

「夏までに痩せたいですか?」(→痩せたい)
「堂々と水着を着られるカラダになりたいですか?」(→なりたい)

という風に、このページを見ているであろうユーザーの欲求を刺激し、少しずつイエスを取ったうえで

「この商品を使えば理想の身体が手に入ります」

と訴求することで、ユーザーは痩せたいという欲求を満たす為にその商品を購入する、という流れが起きやすくなります。

33.返報性の原理

人は無償で施しを受けた時、何かしらのお返しをしなければいけないという心理が働きます。これを「返報性の原理」といいます。
この原理を応用したものだと試食販売がポピュラーでしょう。インターネットの場合、ホームページに訪れたユーザーに向けて無料プレゼントや無料相談を実施し、その後の購買につなげるという手法もあります。

34.認知的不協和

自身の中で、矛盾する2つの感情を抱え、不快感を感じることを「認知的不協和」といいます。例えば「タバコは吸いたい。肺に悪いことはわかっている」という状態は「認知的不協和」といえます。
多くの人が潜在的に抱えているであろう認知的不協和に対して、解決策を提示できるようなサービスであれば、悩みを抱えている人は強い関心を示すはずです。
「痩せたいけどついつい食べ過ぎてしまう」という悩みを抱えている人に対し、その認知的不協和が起きている状態を解消するためのサービスはこちらです、という訴求ができればコンバージョンに至る可能性が高いでしょう。