SNSやキュレーションメディアの台頭により、ユーザーはあらゆる経路を経てコンテンツを消費することが当たり前となりました。
そのような背景を受けて、近年「分散型メディア」の重要性が叫ばれています。

「自社サイトへの流入」ではなく、「コンテンツを見てもらうこと」を目的とした「分散型メディア」の施策は、ユーザー体験に沿ってはいるものの、メディア側としては様々な課題が残されています。

GoogleやFacebookの仕様変更に伴い、分散型メディアへ移行せざるを得ない状況になりつつある中、メディアはどう対処していけばいいのでしょうか。

今回は、FeedTech2016内で行われた、DIGIDAY編集長長田氏による「分散型メディア時代をどう捉えるか、考えるか」をテーマにしたセッションの様子をお届けします。

登壇者紹介

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長田 真氏(株式会社メディアジーン DIGIDAY[日本版]編集長)

株式会社宣伝会議の月刊誌『編集会議』『ブレーン』の制作に携わった後、2004年に株式会社インフォバーン入社。国内有数のブログメディア「ギズモード・ジャパン」「ライフハッカー[日本版]」などのプロデューサー・編集長を歴任する。 その後、ソリューション事業で大手企業のオウンドメディア立ち上げ・運営 を担当。2015年9月よりDIGIDAY[日本版]編集長に就任。(引用:https://feedtech.net/#timetable)

現状「分散型メディア」と言えるのは「NowThis News」と「BuzzFeed」だけ

分散型メディアと最近よく聞きますが、まず「分散型メディアとは何か」という定義付けが必要だと思います。

「分散型メディア」とはっきり言えるのは今はこの2社しかないかなと思います。
「NowThis News」「BuzzFeed」です。

NowThis News というのはいろんなプラットフォームに直接配信して読者に届けようとしている試みをしているサイトです。
バズフィードは去年の年末くらいからバズフィードジャパンができて、ご存知の方が多いと思います。

この2社がここまで大きくなった理由は、プラットフォームに対してフレンドリーなコンテンツを作ることに注力したからでしょう。

ただ、バズフィードには自社サイトがある。その中でもっと斬新な試みをしているのが、「Tasty」「Nifty」という新しい分散型メディアです。

日本語のネットスラングでいうと「飯テロ」ですね。
Facebook上でレシピ動画を流す。Niftyの方はそれのDIY版です。手作り棚の作り方を流します。
あくまで自社サイトはなく、バズフィードの1カテゴリとしてある形ですね。

ただやはり、本当の意味での分散型メディアとなると「NowThis News」のことをいうのかと思います。

「分散化」は「自社サイトのコンテンツ」を各プラットフォームに流すこと

「分散型」と同様に「分散化」という言葉もよく飛び交っていますよね。

分散化は、分散型とは少し意味が異なります。
自社サイトがあった上で、プラットフォームに自社コンテンツを出していくことを分散化と呼びます。

Yahoo!ニュースには様々なニュースが並んでいますが、全てがYahoo!のオリジナルコンテンツではないですよね。

時事通信やAP通信、毎日新聞、スポーツ日刊などが提供しているコンテンツを配信する、いわゆるキュレーションメディアです。
現状Yahoo!ニュースは、月間115億PV、2300万UUを超えているようです。

分散化するにあたって、コンテンツを提供するのはより大きなメディアに寄り添って、そこからメリットをいただくという施策になっています。

さらに身近な例でいうと朝のワイドショーも分散化の1つかなと思います。

ワイドショーで、いつも新聞記事が紹介されているのが不思議だったんですよね。やっていることはyahooニュースと同じですよね。

コンテンツ生成者の恒常的な問題である「マネタイズ」は解決できるのか

分散型メディアではなく、ここで「メディアの分散化」とはどういうことかを整理しておきます。

まず、パブリッシャーとプラットフォーマーの定義から。
パブリッシャーはコンテンツの生成者、コンテンツを提供する先はプラットフォーマー。
プラットフォーマーは自分でコンテンツを作ることもあります。

コンテンツメーカーからプラットフォーマーに対して、コンテンツを提供するというのが一般的な流れです。
プラットフォーマーから提供されるのは流入数であったりブランドであったりで、お金のやり取りがあるかというと、正直現状はあまりありません。
ただ、レガシーメディア、テレビ、ヤフーと新聞社の取り組みはわかりませんが。基本的な分散化のルールとしては、全文掲載が原則です。
yahooニュースもそう。ワイドショーでも全文どころか紙面全部紹介されてますよね。

その代わり、プラットフォーマーは送客認知を提供しています。
この関係はバーター、もしくは無償です。
もし有償だったとしても、心付け程度の金額であることがデジタルメディアでは多いですね。

転載コンテンツ広告は入れられないんですよね。
コンテンツ提供先はコンテンツ提供者の広告は載せないのが一般的です。

FacebookとGoogle 2大プラットフォームのシェアは今後も拡大

eマーケーターによる2015年の調査と予測によると、2015年におけるモバイル広告の収益の53%がGoogleとFacebookです。
過半数が検索サイトとSNSが53%握っている中で、コンテンツ生成者はどうやって食べていこうか、という。

初めの段階では検索サイトはリンクを提供してくれる、SNSも同様ではシェアリンクを拡散してくれた上で認知を拡大してくれるというものでした。

ところが2015年、GoogleとFacebookが全文転載をするサービスを発表しました。
要するに、テレビと新聞が行っていた取り組みをしたいということですね。

僕個人の感想としては、テレビや新聞が開発できていれば早い話だったのかなと。
デジタルで一直線でつながってしまったのが、コンテンツメーカーの思いよらなかったところなのかなと思います。

分散化の現代において、どうやって収益化するかが問題。ただ、FacebookのインスタントアーティクルもGoogleのAMPも広告の提供先を残してくれたり、ネイティブアドも残してくれるとは聞いています。

分散型メディアをどう捉えるか・考えるかというのは、正直まだ答えは出せません。
日々新しいニュースが出て、新しいチャレンジが生まれています。
DIGIDAY日本版をご愛読いただけたら皆様の答えが見つかるかなと思います。