デジタル技術が発達した結果、ユーザー一人ひとりに異なるアプローチをする「One to Oneマーケティング」を行えるようになりました。
ユーザーの興味関心や属性に合わせた内容を訴求することでコンバージョン率の向上につながるOne to Oneマーケティングの中で、今注目を集めているのが「パーソナライズド動画」です。

ユーザーごとに内容を変えることのできるパーソナライズド動画は、適切なシーンで活用することで大きな成果をもたらします。

今回は、ferret主催の勉強会で行われた、パーソナライズド動画サービス「OneDouga」を提供する日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社の磯野氏による「パーソナライズド動画の仕組みと成功事例」をテーマにした講演をレポートします。

登壇者紹介

DSC00200.JPG

磯野 周司氏(日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社 OneDougaプロジェクトマネージャー)

2015年2月からパーソナライズド動画を研究。同年「OneDouga」ブランドを立ち上げたコアメンバー。大手広告会社、住宅関連の事業会社、外資系Webサービス会社を経て現職に至る。(引用:https://ferret-one.com/cm_seminar0928)

パーソナライズド動画とは「視聴者一人ひとりに向けて」作成された動画

パーソナライズド動画とは、視聴者一人ひとりのために作り込まれた専用動画コンテンツのことです。
身近なところでいうと、結婚式で流れるビデオなんかはパーソナルユースな動画ですよね。

パーソナライズド動画に関しては、こちらの動画をご覧ください。

電話やメール、対面など、One to Oneのコミュニケーションは業種関係なく発生しますよね。
パーソナライズド動画もOne to Oneコミュニケーションのうちの1つのコンテンツです。

パーソナライズされると「自分ごと」になりやすい

パーソナライズド動画の利点は、視聴しているユーザーが動画の内容を「自分ごと」として捉えやすくなり、最後まで閲覧してもらえる確率を高められる部分にあります。

例えば、皆様がおもちゃを販売する企業の担当者だとします。
アリソンという女の子に自社のプロモーション動画をできるだけ長く見てもらうためにはどうしたらいいかを想像してみてください。

まず、動画の出だしに「アリソン」という名前が入っている場合と入っていない場合、そのまま見続ける確率が高いのは名前が入っている方ですよね。

次にその子供の興味を引くコンテンツを考えると、大人が好むような難しい内容より、子供向けのアニメ映像の方が見てもらいやすいです。

そうやって興味を引いた上で自社のおもちゃを訴求します。アリソンは女の子なので、女の子が好みやすいキッチントイや人形を訴求するとコンバージョンに結び付きやすいでしょう。

このように、まず閲覧ユーザーの名前を出して、ユーザーの属性に沿った内容を連鎖して出していくことで「ついつい見てしまう」状態が生まれます。
「ついつい見る」行為が積み重なっていくことを累積エンゲージメントと呼んでいます。

累積エンゲージメントを計測する指標として平均再生率動画全体の尺の何%視聴されたか)があります。

ある損害保険会社様の場合、1分38秒の動画で、平均再生率が88.5%。
住宅電力会社様の場合だと82%を計測しました。

この数字が高いか低いかでいうと、今の段階では高いのではないかと感じています。
ユーザー一人ひとりのデータに合わせ、累積エンゲージメントを獲得することは、今までにない新しい動画活用方法だと思います。

パーソナライズド動画を実現する「バリアブル動画生成技術」とは?

バリアブル動画生成技術.png
バリアブル動画とは、レイアウトは同じままで、内容だけを差し替える動画を指します。

基本的にはパラパラマンガと同じ構造です。
バリアブル動画の場合、パラパラマンガの1枚を「フレーム」と呼びます。
フレーム内のレイアウトやデザインなど基本的な構図は変えず、テキストや画像など内容だけを入れ替えることができます。

バリアブル動画生成技術では皆様の会社でお持ちのデータベースに沿って、情報を「フレームごと」に出し分けることができます。

例えば、Aさんの1フレーム目にはこれ、Bさん向けの1フレーム目にはこれ、といったように振り分けできます。

そして一人ひとり異なる動画(40秒程度のもの)を、1つあたり20秒ほどで自動作成していきます。

動画の作成って一般的にはすごく手間がかかる印象があるかもしれませんが、フォーマットを固めてしまえば、運用負担も少ないです。

平均再生率が9割近くにのぼった事例

ある自動車保険会社のお客様に、昨年の秋頃に実証実験として取り組んでいただいた事例をご紹介します。

実験期間は約2ヶ月、総配信数は約2万人、この条件でユーザーに配信するメールマガジンにパーソナライズド動画を添付しました。
配信した結果、平均再生率は9割近くとなり、ユーザーの良い反応を得ることができました。

どのデータをどれだけ取り入れるのかを選定

パーソナライズド動画を作成する際は、データ選定が重要となります。弊社の場合は、お客様と一緒にデータの選定から取り組ませていただいております。
先述の自動車保険会社様の場合は、顧客名、車種、契約月や特約加入率などを選定しています。

この場合、「2月に30代で契約満期を迎えるユーザー」に対して、再契約を検討いただけそうな最適なプランをアプローチする、ということができます。

システムセットアップはほぼ自動化

我々のクラウド上のデータベースにお客様のデータベースを取り込むと、動画がどんどん生成されてファイルができあがります。
ファイルができると、動画配信プラットフォームに自動的にアップロードされます。

出来上がった動画のURLを、お客様から受け取ったデータのIDと紐付けて我々がお客様に納品します。
お客様は受け取ったURLを自社のメールシステムに差し込んでメールの本文に挿入して配信すると、ユーザー毎に情報が異なる動画を送れる、という流れです。

配信した結果、契約継続率が2ポイント向上

動画配信結果としては、ユーザーが動画全体の尺のうちどれだけの尺を見たのか、どこで離脱したのか、をデータとして取得することができます。

とあるお客様では平均再生率のデータを営業支援に活用いただきました。
動画の視聴状況を踏まえたトークスクリプトを作成し、ユーザーごとに個別アプローチをしていただいています。

今回の自動車保険会社様の場合、パーソナライズド動画を配信した結果、自動車保険の継続率が2ポイント向上しました。
自動車保険でリテンションCVRが2ポイント上がると増収効果が大きく、その効果を実感いただくことができました。

簡単にパーソナライズド動画を作成できる「OneDouga」

最後に、我々が提供しているOneDougaについてご紹介します。
当社がスローガンとして掲げているのですが、すべてのOne to Oneコミュニケーションに動画を入れたいなと考えています。

基本的なコンセプトとしては「企業と顧客のエンゲージメントを推進するOne to One動画」を掲げています。

マーケティングはもちろんそうなんですが、それ以外でも解決できる課題はたくさんあるということがわかっています。
より広い分野で活用されるようにしたいなと。

特に「簡単に、自由に」活用していただけるようこだわっています。

動画って結構手間がかかるんですよね。
「簡単に」を実現した上で、「自由に」動画をカスタマイズできるようにしていきたいなと考えています。

▼OneDougaの詳細についてはこちら