感情は、ユーザーインタラクションにおいて最も大切な要素の一つです。その理由は、広告業界を見てもらえば一目瞭然で、人々の感情を動かすことで大きな利益を得ているからです。ブランドや製品に対して信頼や同情、欲望から羨望まで、人間のあらゆる感情を心理学的に利用することは、実世界だけではなく、Webマーケティングの世界でも有効です。

その中でも、UXデザインは、ユーザーの立場に立って、ユーザーに共感し、ユーザーに共感してもらうスキルとして、昨今大きく注目を浴びています。

そこで今回は、共感を生み、信頼を得るためのデザインを作るために注意したいポイントをまとめました。

共感を生むデザインを作るために気をつけたい5つのポイント

1. 言うのでなく見せる

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「文字にしているからわかるでしょう」というスタンスではなく、一つひとつを丁寧に図示することで、書いてある言葉がより分かりやすくなり、スッと頭に入ってきます。視覚に訴えることで、ユーザーと見ている景色や視線を共有することができるからです。

2. ストーリーをつむぐ

Webデザインの世界でトレンドになっている、「ストーリーテリング」という手法があります。

ストーリーテリングとは、簡潔に言うと、ホームページ全体が一つの物語になっているデザインの手法です。ストーリーテリングを用いたホームページは、ページ全体をスクロールしていくと、まるで絵本をめくっているかのように一つの物語として構成されているので、Webサイトを訪れた人に、よりわかりやすく伝わるようになっています。

3. 価値観の違いを受け入れる

デザインのターゲットとしている人々のバックグラウンドをとらえ、価値観の違いを理解しているということを、デザインで示すことが大切です。
例えば、ナビゲーションバーには多くのボタンがありますが、色だけを使っていると、どれが選択されているのかを、色盲の方や色弱者の方は気づきにくいことがあります。
色だけを使う代わりに、ボタンラベルに下線を加えると、色弱のユーザーも、どれが選択されているかも一目瞭然です。

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4. ニーズや行動を先読みする

現実世界でも、自分のしてほしいことを読み取って、自分がやるより先にやってくれることがあれば、大変嬉しいものです。Webデザインにおいても、ニーズや次に行う行動を読み取ることは共感を得る上で非常に重要な要素になります。

例えば、下記に示すのはモバイル端末での入力フォームの例です。左右どちらがユーザーフレンドリーだと思いますか?

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左のケースでは、送信ボタンはページ上部にありますが、保存ボタンは非常に識別しずらくなっています。一方、右の場合は、送信ボタンを下部に設置しており、フォームに必要事項を入力した後にボタンを押せばいいということが明確です。ちょっとしたことのようですが、ボタンを置く位置を一つ取っても、ユーザーの小さな共感を得ることができるのです。

5. デザインの基本原則を守る

最後は、デザインの大前提としての話です。共感を得るためには、デザインの基本原則を守ることです。
デザインの基本原則は、脳が心地よいと感じるレイアウトの基本パターンです。具体的には、位置を揃えたり、大きさを揃えたり、間隔を均等にしたり、シンプルにしたり……、脳は法則性のあるものを好みます。