皆さんは、昨年11/25(金)に初めて日本の企業でもイベントやキャンペーンが催されるなどして話題となった、*「ブラックフライデー」*という言葉をご存知でしょうか。

ブラックフライデーとは、アメリカを中心に行われている大規模なセールであり、セールに合わせて各地でイベントが行われます。日本国内でも2016年には流通大手のイオンやトイザらスが参入し、今年はさらにアディダスやDELLもブラックフライデーに合わせたセールを実施しました。

今回は、近年話題となっているブラックフライデーの基礎知識と国内事例をご紹介します。

今後、ブラックフライデーが日本国内でも定着すれば、バレンタインデーやハロウィンのような小売やネットショップ業界における一大イベントに成長する可能性もあります。自社で取り組むべきキャンペーンなのか判断するためにも、他に先駆けて情報をおさらいしておきましょう。
  

ブラックフライデーとは

ブラックフライデーは、アメリカの祝日であるサンクスギビング(感謝祭)の翌日の金曜日のことを指します。

サンクスギビングとは、アメリカ最初の移住者がその土地で初めての収穫を祝い、技術を教わった先住民へ食べ物を振る舞った感謝祭に由来します。アメリカではカフェやホテルなどのサービス業を除き、サンクスギビングから土日までを合わせて4連休にする企業もあるようです。

ちなみに、ブラックフライデーの "ブラック" というのは、ブラック企業やブラックマンデーなどとは異なり、決して悪い意味ではなく、店が黒字になることから付けられたと言われています。

日本でも、ゴールデンウィークやシルバーウィークなど祝日が重なって連休が発生し、多くの人が旅行やショッピングに出向くため、各地で商戦が激化します。ブラックフライデーはこれらと同様に、アメリカではサンクスギビングからの連休は各地でイベントやセールが数多く催されます。また、アメリカでは、ブラックフライデーが合図となり、クリスマス商戦が始まるのだとも言われているようです。

参考:
米国の感謝祭・ブラックフライデー、実店舗は売上減 ネット好調|ロイター通信
米ウォルマート、ネット特売をブラックフライデーに前倒し|ロイター通信
  

日本での行事化の動き

ここまで企業を中心に話を進めてきましたが、ブラックフライデーに注目しているのは企業だけではありません。政府も企業同様に注目しているようです。

経済政策を行っていく上で、ブラックフライデーというイベントを日本の行事として習慣化できないかという動きがあります。2014年以降の消費税の増税に伴い、個人の国内での消費額は低迷しています。増税直後の駆け込み需要の反動であるといわれていましたが、それ以降も停滞してしまっているのが現状です。安倍政権が目指す、「経済の好循環」の仕組みを作るためのイベントとして、ブラックフライデーはこれからも行事化としての動きを進める可能性があります。

参考:
平成28年第2回経済財政諮問会議(pdf)|内閣府
  

日本での今後の定着

海外では、日本よりいち早くブラックフライデーを導入している国があります。

例えば、隣国である韓国や中国です。

韓国では、2015年のブラックフライデーに参加した主要22企業のイベント期間中の業績が前年同期比で20.7%増加しています。

しかし、いまだブラックフライデーの定着が薄い日本では、習慣行事として根付いていくのかは未知数で、「盛り上がらなければ単なる安売りになる」「月末の金曜は仕事が忙しくて早く帰れず、買い物できないお客さんも多いのでは」といった意見もあります。この様子だと、定着にはまだまだ時間がかかるかもしれません。

参考:
韓国でブラックフライデーに続く一大セールイベント開催へ、業界は期待と不安が交錯―韓国メディア|エキサイトニュース
  

海外でのブラックフライデー

盛り上がり方

ブラックフライデーが盛んなアメリカ・ニューヨークなどでは、1925年から「Macy’s Thanksgiving Day Parade」というパレードが行われており、市民を巻き込んだイベントとして毎年お祭りムードで開催されています。

また、在サンフランシスコ日本国総領事館から旅行者に対してテロへの注意喚起が行われていることからもわかるとおり、パレードやショッピングモールは大変な混雑に見舞われます。アメリカにおいてブラックフライデーは1年でも最も盛り上がるイベントの1つと言えるでしょう。

参考:
【世界のセール事情】2017年全米最強セール「ブラックフライデー」&「サイバーマンデー」!海外通販を使って日本で体験♪|STYLE HAUS(スタイルハウス)
(注意喚起)サンクスギビングデーのイベントを狙ったテロ等に関する注意喚起|在サンフランシスコ日本国総領事館
  

実際にどのくらい安いのか

海外では、商品の多くが半額以下や半額以上の割引をされることが多いようです。例えば、アメリカの家電量販店「BestBuy」のネットショップでは、およそ550ドルするサムスンの40型テレビが330ドルまで値下げされています。

クリスマスや年末という時期のため、在庫の処分や日本でいう福袋のような感覚で行うため、洋服、日用品からブランド品まで多くの商品が出品されています。

参考:
Black Friday Samsung TV Sale|Best Buy
  

ブラックフライデーがネットショップにもたらす影響

ネットショップの担当者であれば、ブラックフライデーだけではなく、*「サイバーマンデー」*も合わせて覚えておきましょう。

ブラックフライデーでは実店舗でセールが行われますが、サイバーマンデーでは翌週の月曜にネットショップでセールが行われます。

仕事が休みになる祝日にしか実店舗には行きづらいですが、ネットショップであれば行きづらさはありません。そのため、感謝祭から続く購買意欲の高まりがそのまま翌週の月曜日の消費につながっていくのです。実際、日本でもAmazonが「サイバーマンデー」に合わせたセールを行っています。

参考:
Amazonサイバーマンデー
  

実際のキャンペーン事例

日本でもブラックフライデーとして、セールを行う企業が登場してきました。経団連からも個人消費の喚起のために検討されていたブラックフライデー、実際にはどのようなキャンペーンが行われているのでしょうか。

参考:
週刊 経団連タイムス|石原内閣府特命担当相と懇談
  

1. イオン

AEON_MALL___超スゴい AEON_BLACK_FRIDAY.png
http://www.aeon.jp/sc/lp/blackfriday/

流通大手のイオンでは、11/23〜26にかけて、セールを行いました。ブラックフライデーに合わせたセールは、2016年から全国のイオン系列の店舗にて展開しており、2017年は2回目の開催となります。

衣料品や食料品、家電まで幅広い商品を対象にしており、黒い商品だけを集めた福袋など、ブラックにちなんだ商品も販売されています。
  

2. トイザらス

BLACK_FRIDAY_ブラックフライデー|トイザらス_オンラインストア.png

おもちゃ販売のトイザらスでは、11/23〜26にかけて実店舗及びネットショップにてセールを行いました。GFKジャパンの調査によると、おもちゃは最もネットで購入経験が多いカテゴリであり、中でもクリスマスプレゼントの需要は多くあります。両親が子どもにバレないようにプレゼントを用意するため、ネットショップでこっそり購入する方法をとっているようです。

クリスマス前におもちゃのセールを行えるブラックフライデーは、絶好の機会とも言えるでしょう。

参考:
【EC関連リサーチ】「世界各国のネット購入体験調査」/日本のネット購入比率1位は「おもちゃ」|GFKジャパン
  

3. アディダス

Black_Friday(ブラック_フライデー)|アディダス_オンラインショップ__adidas_公式サイト_.png
http://shop.adidas.jp/cp/black-friday/index.cgi

スポーツ用品メーカーであるアディダスでは、ブラックフライデーである11/25に1日だけの特別セールを行いました。人気アイテム9品に絞り、最大75%の値引きを行っています。
  

4. DELL

お買い得・お役立ち情報___Dell_日本.png
http://www.dell.com/learn/jp/ja/jpdhs1/campaigns/special-offering-jp-cons

PCメーカーのDELLでは、公式ネットショップにおいてブラックフライデーに合わせてPCやモニターのセールを行っています。最大20%引きのクーポンコードが発行されており、自分の購入したい機種に合わせて通常よりも安く購入できます。

また、ゲーミングPCと呼ばれるコンピューターゲームの利用に特化したPCでは、最大6万円もの値引きが行われています。
  

5. KAIストア

BLACK_FRIDAY_ブラックフライデー2017___貝印公式オンラインストア.png

キッチン用品をメインに展開している貝印株式会社では、2014年からブラックフライデーとしてセールを行っています。実店舗だけではなく、ネットショップではタイムセールを組み込みながら販売を展開しています。

事前のメルマガに登録すると、一般のユーザーよりも2時間早く購入できる先行販売に参加できます。最大80%オフの商品の販売されており、2016年度には先行販売のみで売り切れとなってしまう商品もありました。

タイムセールと先行販売で、ユーザーに「早く買わなければ売り切れてしまう」という感覚を印象付けているのが特徴的なセール内容です。
  

6. Shufoo!

ブラックフライデーキャンペーン開催中_____シュフー_Shufoo__くらしとちらし.png

チラシ配信サービスであるShufoo!(シュフー)では、サイト内のキャンペーンとしてブラックフライデーを取り上げています。ブラックフライデーにセールを行う店のチラシを特集ページ上で紹介するだけではなく、独自のポイントシステムであるシュフーポイントを貯めるとブラックにちなんだ黒い商品が抽選で当たります。

また、期間中のいずれか1日にシュフーポイントが2倍になるというサプライズを取り入れているのも特徴的です。
  

7. LINE

LINE_BLACK_FRIDAY|_LINE誤爆_みんなの『黒歴史』を大募集!.png

ブラックフライデーに便乗したキャンペーンを行っているのは、小売店だけではありません。コミュニケーションアプリのLINEでは、すでに送信したメッセージの取り消し機能を2017年12月以降に実装するのに合わせ、『#LINE誤爆 Black FRIDAY』キャンペーンを実施しています。

「ブラック」と「黒歴史」をかけたキャンペーンであり、過去に誤って送信してしまった恥ずかしいメッセージを投稿すると抽選でプレゼントが当たるというものでした。

参考:
LINE、送信メッセージを時間限定で取り消しできる「送信取消」機能を12月以降に実装 実装に先駆け、誤送信の思い出を精算する『#LINE誤爆 Black FRIDAY』キャンペーンを本日より開始|LINE Corporation
  

キャンペーンを行う際のポイント

ブラックフライデーを実際に自社のネットショップでも取り入れようと考えた時、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。

今回は、ポイントを2つご紹介します。
  

1. 対象にすべき商品とは

セールの際に展開する商品は、顧客のニーズに合わせて用意するようにしましょう。

・季節に合わせたもの:冬物の衣料品など、もともと顧客に需要がある商品
・ギフト商品:クリスマスプレゼントに適したギフト商品や子ども向けおもちゃ
・黒にちなんだ商品:ブラックに合わせた言葉遊びの商品

また、 定価より大幅に安く値段設定を行える在庫の処分もセールの目玉になります。11月後半に行われるため、季節柄に合わせた商品を選ぶことも大切です。
  

2. キャンペーン用のページのポイント

セールを行う際は、商品ページにセールしている旨を記載するだけではなく、キャンペーン用のページを用意しましょう。

各社のキャンペーンページの特徴を見ると、ブラックフライデーにちなんで黒をベースにしたランディングページが目立ちます。また、大幅な値下げを行い、ほかのセールとの差別化を図るようにもしています。
  

まとめ

あまり聞きなれないブラックフライデーという文化ですが、かつてのバレンタインデーやハロウィンのように、日本でもイベントの1つとして定着していくかもしれません。

ネットショップを運営している企業であれば、ブラックフライデーとしてだけではなく、サイバーマンデーまで影響をもたらすイベントになるかが気になるところです。

クリスマス・年末の商戦を勝ち続けていくためにも新たなキャンペーンの存在は見逃さず、お客様のニーズに合わせて対応していくようにしていきましょう。