「大企業の定義ってなんですか?」
そんな質問を新入社員からされて、答えに詰まってしまったことはありませんか?

大企業や中小企業という言葉は使い慣れてはいても、明確な分類を認識している方は少ないかもしれません。
実は、中小企業基本法にとって定められている中小企業の定義は、業種によって資本金や従業員数の基準が異なっています。

今回は企業規模の定義を中心に、業種の分類や職種の分類についてわかりやすく解説します。
改めて社会の中で自社や顧客がどのような立ち位置にあるのか、ハッキリと意識できるようになりましょう。

※2017年11月11日本文中の画像に一部誤りがありましたので修正いたしました。

企業規模の定義とは?

ビジネスの場で用いられる「大企業」「中小企業」「零細企業」という言葉、社会の中でそれぞれにはどのような定義があてられているのでしょうか。
  

中小企業の定義は業種ごとに決まっている

実は「大企業」「零細企業」には、社会的な取り決めはありません。
中小企業のみ、中小企業基本法第2条第1項にて下記のように定義付けられています。

【中小企業基本法第2条第1項】資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

また、卸売業、サービス業、小売業に関しては、上記とは異なる資本金の額と従業員数にて定めています。
資本金を元とした設備購入などの多い製造業と比べ、スーパーマーケットのような小売業の資本金は少なくなる傾向にあります。そのような、実情に則した定義がされています。

【中小企業基本法第2条第1項:2以降】
二 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

極めて小規模な企業を一般的には「零細企業」と言いますが、その名称は法律に則ったものではありません。
中小企業基本法では同様に「小規模企業者」として、そのような企業規模の小さい事業者についても定めています。

【中小企業基本法第2条第5項】この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人)以下の事業者をいう。

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※なお、従業員数に含まれ従業員は労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」であり、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員は個別での判断となります。また、会社役員や個人事業主は人数に含まれません。

中小企業基本法に定められた中小企業、小規模企業の定義をまとめるとこのようになります。

総務省が公開している「平成26年経済センサス-基礎調査」によると国内382.0万事業者のうち、中小企業者数は380.9万事業者と、全体の99.7%を占めています。
また、その中でも小規模事業者は325.2万事業者と全体の85.1%を構成しており、国内の企業の大半が中小企業であることがわかります。

参考:
中小企業基本法|e-GOV[電子政府の総合窓口]
  

大企業の定義は「中小企業以外」

では、大企業の定義はどのようになるのでしょうか。大企業については、中小企業基準法に定められた定義はありません。他には助成金の支給条件などで定義づけられている場合もありますが、一般的には上記の中小企業以外の企業を指しています。

スクリーンショット_2017-11-11_23.48.22.png

中小企業の定義を裏返すと、このようになります。
ですが、官庁が行う調査によっては「資本金3億円超の事業者等」を大企業と定義して、調査を行われている場合もあり、確固とした定義ではないようです。

参考:
[下請等中小企業の取引条件の改善に向けた調査結果をとりまとめました|中小企業庁]
(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/160331Shitaukechousa.htm)
  

大企業の傘下にある企業はどうなるの?

企業単体では資本金が少額であっても、株式を保有している親会社が膨大な資本金を抱える大企業である場合もあります。
そのような場合でも「中小企業事業者」として定義されています。

ですが、助成金の支給などについては個別に除外対象として決められている場合があります。下記はその一例です。

例)消費者志向型地域産業資源活用新商品開発等支援事業 公募要件より
 ※ ただし、次のいずれかに該当する中小企業(以下、「みなし大企業」)は除きます。
 ・発行済株式の総数又は出資金額の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業
 ・発行済株式の総数又は出資金額の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業
 ・大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業

中小企業基本法は「中小企業の経営資源の確保の円滑化を図ること、中小企業に関する取引の適正化を図ること等により、中小企業の経営基盤の強化を図ること(第5条第2項)」と基本方針にあるように、経営基盤の強化を支える仕組み作りを目的の一つとしています。

そのため資金の支援策などでは、経営基盤がもともと強固と言える大企業傘下の中小企業は、含まない場合があることを意識しておきましょう。

参考:
FAQ「中小企業の定義について」|中小企業庁
平成26年度経済センサス|総務省統計局
中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果を公表します|中小企業庁
  

業種の分類を知るには……日本標準産業分類

企業の規模だけではなく、業種の分類も同時に学んでおいたほうがいい情報です。
「製造業」「サービス業」など、大まかなものはわかっていても、具体的に自社がどのような業種に属しているのかはわからないかもしれません。

業種の分類について正式な分類方法としては、国勢調査など様々な社会調査を行っている総務省統計局が発表している「日本標準産業分類」を参考にするといいでしょう。
  

日本標準産業分類の構成

日本標準産業分類では、以下のような要素を考慮しながら、大分類・中分類・小分類という3つの分け方がされています。

 (1) 生産される財又は提供されるサービスの種類(用途,機能等)
 (2) 財の生産又はサービス提供の方法(設備,技術等)
 (3) 原材料の種類及び性質,サービスの対象及び取り扱われるもの(商品等)の種

統計局の検索システムからは、大分類から小分類まで選択していくことで自社の業種を調べることができます。

参考:
統計分類・用語の検索 日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定)|e-Stat

例えば、ラーメン店を経営している企業であれば下記のように絞り込むことができます。

宿泊業,飲食サービス業>飲食店>専門料理店>ラーメン店

自社のや取引先の業種がどのように分類されているかを見てみると、新たな発見があるかもしれません。
振りわけされている分類の他の企業を見ることで、その業種の周辺にはどのような類似した業界があるのかを知るのにも役立ちます。

参考:
日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)|総務省
  

職業の分類を知るには…日本標準職業分類

業種だけではなく、職業についても同様に総務省統計局が定めた「日本標準職業分類」が公表されています。

商品のターゲットを絞る際にはおぼろげにでも「この商品は飲食店の店主向けのシステムだな」という想定しているでしょう。
想定する顧客の人物像のことをペルソナといい、マーケティングにおいてはペルソナを如何に練っていくかというのは大切な要素です。

参考:
ホームページ運営に欠かせない!ペルソナの設定方法とは?

職業の分類を知っておくことは、このようなペルソナ設計にも役に立つでしょう。
  

日本標準職業分類の構成

日本標準職業分類では下記の要素を考慮しながら、大分類、中分類、小分類まで決められています。

(1) 仕事の遂行に必要とされる知識又は技能
(2) 事業所又はその他の組織の中で果たす役割
(3) 生産される財・サービスの種類
(4) 使用する道具、機械器具又は設備の種類
(5) 仕事に従事する場所及び環境
(6) 仕事に必要とされる資格又は免許の種類

日本標準産業分類同様に、検索システムが公開されているので参考にしてみるのもいいでしょう。

参考:
統計分類・用語の検索 日本標準職業分類(平成21[2009]年12月統計基準設定) |e-Stat
日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)
  

まとめ

中小企業の定義は資本金と従業員数を基準として、業種ごとに中小企業基本法に定められています。大企業の定義は明確にはありませんが、一般的には「中小企業の定義にあてはまらない企業」だと言われています。

自社の商品やサービスを展開していく上では、顧客が社会の中でどのような立ち位置にあるのかは把握しておきたい情報です。
また、マーケティングの上でも自社のターゲットがどのような産業の中にあり、市場規模はどの程度のなのかを知ることは欠かせないでしょう。

総務省統計局では平成24年度より「経済センサス」という企業の経済活動に関わる社会調査を実施しています。
各業種ごとの事業者数や、粗利など、市場を把握するのに役に立つ情報が詰まっています。
ビジネスパーソンとして一歩レベルアップするためにも、ぜひ社会全体に目を向けて情報収集しましょう。
  

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