日本国内のSNSのユーザーは2016年8月時点で6,800万人を超え、利用率は半数の60%を超えています。

そんな中、FacebookやTwitter、LINEのような主要SNS以外にも多くのSNSが生まれています。料理写真を対象としたSNSであるmiilや、ジョギングに関する投稿で成り立つJogNoteなど、特定のカテゴリに注目することで成り立っているSNSも登場しました。
そのような特徴的なSNSのなかには、本来はSNS開発とは関係のない企業が独自のSNSを立ち上げて、新たな顧客とのつながりを生み出している事例もあります。

今回は企業独自のSNS事例とそれぞれの特徴を解説します。
SNSを通じて、それぞれの企業がどのようにビジネスを成長させようとしているのかを意識してみましょう。

参考:
2016年度 SNS利用動向に関する調査

SNSとは

SNSとはソーシャルネットワーキングサービスの略称で、ユーザー同士のつながりを促進するネットサービスです。

投稿形式での情報発信を行ったり、チャットを利用して会話をしたり、ユーザーはサービスを通して他のユーザーと情報交換を行います。

代表的なものとしては、LINEやFacebook、Twitter、Instagramなどが挙げられるでしょう。

無料で誰でも登録できるものが多い一方、有料の登録が必要なものや会員による招待がなければ登録できないものなどもあります。

企業独自のSNS事例

SNSの多くは、アプリ開発に関わる企業やベンチャー企業が運営しています。
ですが、全く異なる業界の企業が独自にSNSを開発し、展開している事例もあります。

4つの事例を通して企業の独自SNSの特徴を見ていきましょう。

1.LEGO®Life

LEGO®_Life___LEGO.com.png
https://www.lego.com/ja-jp/life

ブロック型のおもちゃを展開しているLEGO®では、2017年1月から子供向けの写真共有SNSの「LEG®Life」をアメリカほか数国で公開しています。

同SNSではLEGO®で作成した作品を写真にとり、他のユーザーに共有できます。
自分のシンボルマークとしてLEGO®風の人物を設定できるだけでなく、メッセージには独自のスタンプが用意されており、ユーザーはLEGO®の世界観を楽しめるでしょう。

子供がトラブルに巻き込まれず、安心して楽しめるような工夫がされているのも特徴的です。

公式サイトでは「デジタルセーフティ」として、保護者に対して子供への指導方法を案内しています。また、ユーザーである子供に対しても、匿名での利用をするよう注意するなど細心の注意が見えます。

なお現在、日本国内については、公式ホームページにて「近日公開予定」と案内されています。

参考:
[子供向けSNS「LEGO Life」がリリース--写真を使ってアイデア共有]
(https://japan.cnet.com/article/35095871/)

2.WOMEN’S PARK

妊娠・出産・育児の悩みや料理の口コミ満載___ウィメンズパーク.png
http://women.benesse.ne.jp/

進研ゼミやたまひよなど教育関連サービスを中心に展開するベネッセコーポレーションでは、妊娠・出産・育児の悩みを相談しあえるSNSを提供しています。

「最強のママ友をもうひとり」というコンセプトで、500万人もの会員を抱えています。

ちょっとした日常の悩みを呟ける投稿機能だけでなく、一つのテーマに絞って意見を交わす「部屋」というコーナーもあり、手軽にノウハウの共有が行えます。

投稿に関連して家族が住みやすいマンションの特集や、貯蓄に関わるセミナーなどかず多くの企業とコラボしているのも特徴的と言えるでしょう。

3.すくパラ倶楽部

すくパラ倶楽部 _出産、育児、子育てSNS_|すくパラ倶楽部.png
http://sukupara.jp/login.php

すくパラ倶楽部は「WOMEN’SPARK」同様、妊娠・出産・育児に関わる情報交換を行えるSNSです。

「まんがライフ」などの4コマ漫画を中心に展開している出版社・竹書房とインターネットマーケティング事業を行っている株式会社オン・サイトが共同で運営しています。

漫画家による子育ての実録漫画が配信されているだけでなく、ユーザーが投稿したエピソードが実録漫画として採用されるサービスは出版社独自のものと言えるでしょう。

4.ぐるっぱ

無料のモニター募集サイト「ぐるっぱ」.png
http://www.guruppa.jp/

食品卸大手の国分グループが運営するSNSです。ユーザーは食べ物に関する動画やレシピを投稿できるだけでなく、メーカーによるアンケートへの参加やモニターへの応募も行えます。

国分では他にも地酒に特化した「地酒蔵元会」や缶詰に特化した「缶つま倶楽部」というホームページも運営しています。

企業独自のSNSの特徴とは

このようなSNSはFacebookやTwitterのような主要SNSと異なる独自の展開を見せています。
では、企業が運営するSNSにはどのような特徴があるのでしょうか?
2つのポイントに分けて見てみましょう。

本業に関わるテーマが設定されている

LEGO®Lifeは自社製品の写真を投稿するのが軸となっており、WOMEN’S PARKにも妊娠・出産・子育てというテーマが設定されています。

制限なく日常生活や仕事に関わるあらゆる情報発信が可能なFacebookやTwitterとは異なる特徴と言えるでしょう。

企業が行っているサービスに関連したものであり、かつ日常生活に密着したテーマが設定されています。
すくパラ倶楽部による消費者からの投稿を漫画化するサービスのように、SNSを通じて新たな顧客関係が生まれているのもポイントです。

SNSでユーザーに対して自社サービスへの誘導を行うことで、本来の事業へも良い影響をもたらすでしょう。
それだけでなく、関連する企業の広告を掲載したり、モニターを募集を行ったりとSNS自体で利益を得るようサービスを展開しています。

トラブルを防ぐ運営体制を引いている

主要なSNSでも利用規約を設定するなど、ユーザー同士のトラブルを防ぐ仕組みが取られています。同様に企業によるSNSでもユーザー同士のトラブルを防ぐ仕組みがあります。

SNSでのトラブルは本業へも影響を及ぼしかねません。
実際に教育関連ビジネスを展開する株式会社スプリックスは、運営していた中高生向けSNSゴルスタの強権的な運営方針が問題となり、サービス終了にまで追い込まれました。

このようなトラブルを防ぐためにも、SNSの運営体制には細心の注意を払っているようです。

例えばLEGO®Lifeでは保護者に対して、子供と利用する際に「ほかのユーザーを尊重しよう」「つねに安全をこころがけよう」といった約束を結ぶことを指導しています。

また、すくパラ倶楽部では出版社とインターネットマーケティングの企業が組んで運営することで、互いのノウハウを生かした運営を行えるでしょう。

SNSは多くのユーザーが利用する以上、運営とユーザーの間だけでなくユーザー同士でもトラブルが発生する危険があります。
そのようなリスクとどのように向き合っていくのかは、SNS運営の大切な要素と言えるでしょう。

参考:
[中高生限定「ゴルスタ」騒動が示した本当の闇]
(http://toyokeizai.net/articles/-/135357)

まとめ

企業が独自で運営するSNSは、それぞれのサービスに結びついて提供されています。
多くのユーザーに対して自社サービスへの誘導を行ったり、商品を通してユーザーが盛り上がる場を作ったりと、顧客との新たなつながり方は本業にとっても良い影響をもたらすでしょう。
一方では企業がSNSを運営するには開発費がかかるだけでなく、社内体制を構築し、SNSとしての運営にも注力する必要があります。
SNSでのトラブルは本業への信頼にも悪影響を及ぼしかねません。そのため、利用規約を定めたり、ユーザーへ利用制限を課したりと細心の注意を払う必要があるでしょう。

ユーザーによってはFacebookやTwitterのような主要なSNS以外にも、今回紹介したような1つのテーマに特化したSNSを利用しています。
消費者がどのようにWebに親しんでいるかを把握するためにも、新たなSNSの動きに今後も注目していきましょう。