SaaS企業がサービスを成長させるための方法には、様々なマーケティング手法があります。サービスの規模やターゲットに合わせて、適切な戦略を選ぶことが重要です。

この記事では、SaaS企業のマーケティング戦略やサービスを成長させる6つの手法代表的なSaaSサービスなどを紹介します。SaaS企業のマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. SaaSとは
  2. Saasビジネスモデルの特徴
  3. SaaS企業のマーケティング戦略
  4. SaaS企業の6つのマーケティング手法
  5. 代表的なSaaSサービス
  6. SaaSビジネスの重要な指標(KPI)
  7. SaaSの特徴を理解してマーケティングに活かそう

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これだけは覚えておきたい! SaaS×マーケティング用語集

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SaaSとは

SaaSは「Software as a Service」の頭文字をとった略称で、サースまたはサーズと読みます。

SaaSの種類はコミュニケーションツールや企業向けの各種ソフトウェア、音楽や映像の定額配信サービスなど様々です。日本におけるSaaSの市場規模は、年平均成長率約13%で成長しています。2024年には約1兆1,200億円へ拡大する見通しです。

有名なSaaSモデルのサービスとしては、BtoC向けではNetflixSpotifyなど、BtoB向けだとSalesforcefreee会計などがあります。

参考:『SaaS業界レポート2020』公開

Saasビジネスモデルの特徴

SaaSのビジネスモデルは次のような特徴があります。売り切り型のビジネスモデルとの決定的な違いに焦点を当てて見ていきましょう。

●サブスクリプション

サブスクリプションとは、定額制で継続利用できるモデルのことです。SaaSではサブスクリプション型のサービスが基本となっていますので、売り切り型と違い長期的に利用してもらうことで利益が出るモデルになっているのが大きな特徴です。

● ユーザーの利用状況の分析と活用

SaaSはユーザーデータをマーケティングや商品の改善に活かしやすいモデルです。前述のように長期的に利用されることで利益が最大化するモデルなので、特にサービスの利用状況を把握できるユーザーデータの分析は重要になります。

● フリーミアムの活用

フリーミアムとは、基本となる機能を無料で提供し、より高度なサービスは有料で提供するビジネスモデルです。まずは無料でSaaSを体験してもらうことで、より多くのリードを獲得できます。ユーザーの利用状況や課題に応じて上位プランをリコメンドし、顧客単価を向上させていくことができます。

SaaS企業のマーケティング戦略

SaaS企業のマーケティングでは、目指すゴールを明確にした上で施策を実行する必要があります。また、サービスのステージによるターゲットや手法の違いを理解することが大切です。
ここでは、SaaS企業のマーケティング戦略について解説します。

目指すべきゴール

SaaSマーケティングで目指すべき主なゴールは次の通りです。

❶ リードの獲得

サービスの認知を広げ、リードを増やすことで顧客獲得の土台を作ります。

❷ リードの顧客化

見込み度の高いリードに対してアプローチを行い、サービスの購入を促します。また、リードの購買意欲を高めるための施策も重要です。

❸ 解約の防止

サービスの利用開始後の解約を防ぐことで、LTV顧客生涯価値)が向上します。LTVSaaS事業で最も重要な指標となるので、その大きな要因となる解約防止は、重視すべきゴールの一つです。

❹ 顧客単価の向上

上位プランオプションサービスなどの利用を促し、顧客単価を向上させることで売上をより効率的に伸ばすことができます。

ステージによってターゲットや手法が異なる

SaaS企業が優先的に目指すべきゴールやターゲット、効果的なマーケティング手法などは事業のステージによって異なります。

❶ 導入期

最初の段階は導入期と呼ばれ、まだサービスが認知されていない状態です。このステージでは、ターゲットのニーズを顕在化させる必要があります。すでに認知されている競合のSaaS企業やサービスとの比較、業界のトレンドに合わせたメッセージ発信が効果的です。

❷ 成長期

サービスがある程度認知されてくると、成長期と呼ばれるステージに入ります。成長期には積極的なリード獲得や育成、顧客化などの施策が重要です。リードの興味度や課題に応じて最適化したアプローチ、自社プロダクトが多くの企業で導入されていることのアピールが効果を発揮します。

❸ 成熟期

次の段階は、顧客数の伸びが鈍化してくる成熟期と呼ばれるステージです。成熟期には既存顧客の解約防止や、サービスの多角化による顧客単価の向上などに注力する必要があります。事業の段階に応じて、適切なゴールを設定し、優先度の高い施策に取り組みましょう。

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SaaS企業の6つのマーケティング手法

SaaS企業が自社サービスの販売促進をするための手法には、様々なものがあります。SaaS企業のマーケティングを担当する場合、各手法の特徴を理解した上で施策に取り組むことが大切です。

ここでは、SaaS企業の主なマーケティング手法を6つ紹介します。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、自社商品に関する情報をオウンドメディアやSNSなどで発信し、Webサイトへのアクセスを集める手法です。検索結果の上位に自社のWebサイトが表示されることが、アクセス数の増加に繋がります。

多くのSaaS企業が、特にオウンドメディアに力を入れています。例えば、BtoB向けのSaaSを提供するfreee株式会社はオウンドメディアを活用している企業の一つです。

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出典:経営ハッカー

freee株式会社はオウンドメディア「経営ハッカー」を運営し、会社設立や経営戦略に関する様々な情報を発信しています。自社のターゲット層に役立つコンテンツを作っていることが成功のポイントです。

この他、ホワイトペーパーなどのコンテンツを公開し、ダウンロードしたユーザーに対してSaaSの利用を勧める手法も効果的です。

イベント・セミナー

イベントやセミナーSaaSマーケティングに繋がります。ターゲットの課題解決に役立つイベントやセミナーを開催すると、見込み度の高いリードを獲得できるでしょう。

オンラインセミナーなら、場所を問わず幅広いターゲットへのアプローチが可能です。

Web広告出稿

Web広告はユーザーを細かくターゲティングでき、少額の広告費から始められるため、SaaSの認知拡大やリード獲得に効果的な手法です。

Web広告には検索エンジンの結果画面やWebサイト、SNSなど様々な配信先があります。テキストバナー画像を使った広告だけでなく、動画広告の出稿も可能です。

TVCM

TVCMを利用すると、幅広い層から認知を獲得できます。信頼性が高まりやすいことがTVCMのメリットです。ただし、Web広告などと比べて広告費が高い点に注意する必要があります。

主なSaaSのTVCM事例は次の通りです。

SATORI(サトリ)

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MAツール「SATORI」のTVCMでは、顧客獲得に強いSaaSであることを短いストーリーで表現しています。

kintone(キントーン)

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タスク管理や情報共有など複数の機能を持つSaaS「キントーン」のTVCMでは、西遊記をモチーフにしたキャラクターを使って、企業の業務効率化に役立つことを印象付けています。

Spotify(スポティファイ)

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音楽配信サービス「Spotify」のTVCMでは、サービスの特徴に加えて、期間限定の無料キャンペーンの情報もアピールしています。

メルマガ・ニュースレター

メルマガやニュースレターは、リード獲得や育成に役立つマーケティング手法です。メルマガやニュースレターの購読を促すことで、見込み顧客のリストを獲得できます。

自社サービスに関する情報やお役立ち情報の発信により、リードの興味度を高め、商談に繋げることが可能です。また、既存顧客へのアプローチにも、メルマガやニュースレターが活用できます。

コミュニティ

コミュニティの運営は、解約の防止や顧客単価の向上などに役立つマーケティング手法です。コミュニティに参加したSaaSのユーザー同士が交流することで、課題の解決やロイヤリティの向上に繋がります。

また、コミュニティにアップされたユーザーからの体験談や感想の声は、購入を検討している見込み顧客の参考になります。

代表的なSaaSサービス

SaaSには、BtoB向けやBtoC向けなど様々なサービスがあります。ここでは、代表的なSaaSサービスを分野別に紹介します。

BtoB向け

BtoB向けのSaaSでは、企業内のコミュニケーション営業活動経理業務などをサポートする以下のようなサービスが有名です。

● Salesforce(セールスフォース)

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出典:Salesforce公式サイト

Salesforceは、顧客情報を一元管理できるSaaSサービスです。中小企業から大手企業まで、これまでに15万社以上の企業がSalesfoceを導入しています。

顧客の属性や取引履歴などのデータを分かりやすいダッシュボードで管理し、マーケティングや営業、カスタマーサポートなど様々な部門で活用することが可能です。

● kintone(キントーン)

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出典:kintone公式サイト

kintoneは、日報やスケジュール管理、受発注管理など複数の機能が利用できるSaaSサービスです。また、プロジェクト進捗や売上情報の共有や、社内外でコミュニケーションもkintoneで行うことができます。

自社に必要な機能だけを選び、業務を効率的に進められることがkintoneの特徴です。

● freee会計

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出典:freee会計公式サイト

freee会計は帳簿や請求書の作成、経費精算、確定申告などの経理業務ができるSaaSサービスです。各種経理業務の効率化だけでなく、月次シミュレーションの作成や損益分析などの機能も備わっています。

個人事業主から大企業まで、様々な規模の経理業務で使用することが可能です。

● SATORI(サトリ)

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出典:SATORI公式サイト

SATORIはマーケティングオートメーションの機能を持ったSaaSです。Webサイト上でのポップアップ表示やリードの一元管理など、見込み顧客を増やすための機能が備わっています。

1,000社以上の企業に導入されている認知度の高い国産MAツールです。

BtoC向け

BtoC向けのSaaSでは、動画や音楽などのコンテンツ視聴や、家計簿管理などができる以下のようなサービスが有名です。

● Netflix(ネットフリックス)

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出典:Netflix公式サイト

Netflixは映画やドラマ、アニメなどの映像作品が定額で視聴できるSaaSサービスです。パソコンやスマホだけでなく、テレビなどの大画面でも映像作品を楽しめます。

予め端末に作品をダウンロードしておけば、インターネット接続がない環境でも視聴することが可能です。

● Spotify(スポティファイ)

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出典:Spotify公式サイト

Spotifyは数千万件の楽曲とポッドキャストが楽しめるSaaSサービスです。無料プランと有料プランがあり、無料プランでも楽曲を聞くことができます。ただし、無料プランは楽曲の検索ができず、音声広告が入るなどの機能制限付きです。

● マネーフォワードME

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出典:マネーフォワード公式サイト

マネーフォワードMEは、家計簿や資産管理ができるSaaSサービスです。クレジットカードや電子マネーによる支払い、銀行口座への給料振込など、お金の出入りを分かりやすく管理できます。

金融機関にアクセスするためのデータはすべて暗号化されるため、セキュリティ面でも安心して使用できます。また、パスワードやクレジットカード番号など、引き出しや決済に必要な情報は入力する必要がありません。

SaaSビジネスの重要な指標(KPI)

ここでは、SaaS企業でマーケティングを担当する際に押さえておきたい重要な指標を紹介します。

MRR:月次収益

MRR(Monthly Recurring Revenue)とは月額利用料と顧客数から算出される月次収益を表します。MRRによって、月ごとの成長率や目標達成の進捗を把握することが可能です。

NRR:売上継続率

NRR(Net Retention Rate)とは、ある月のMRR(月次収益)の前年同月比を表します。NRRが100%を超えていれば、既存顧客からの売上が増えていると判断できます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、SaaS1ユーザーあたりの採算性を表す指標です。ユーザー1人あたりの顧客獲得単価に対して、いくらのLTVが得られたかを表します。

LTV:顧客生涯価値

LTVLifetime Valu)とはSaaS導入から解約までに得られた利益を表す指標です。顧客単価と購買頻度、継続期間の平均値からLTVが算出されます。

解約率:チャーンレイト

解約率(Churn Rate)とは、一定期間内にどのくらいのユーザーが解約したかを表す指標です。ある時点でアクティブだったユーザーの数に占める解約ユーザーの割合として、解約率が算出されます。

SaaSの特徴を理解してマーケティングに活かそう

SaaS企業のマーケティングでは、自社のステージに応じたゴールを設定し、適切な施策を行うことが重要です。サービスの認知を広げて顧客を獲得する手法には、コンテンツマーケティングセミナー、TVCMなど様々なものがあります。

SaaSの特徴を理解し、ぜひ自社のマーケティングに活かしましょう。

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これだけは覚えておきたい! SaaS×マーケティング用語集

これだけは覚えておきたい! SaaS×マーケティング用語集

本書では、独特な言い回しが多いSaaSの専門用語の中でも、ビジネスの現場で使う頻度が高い47用語をまとめてご紹介します。おさえるべきキーワードとして、ぜひ参考にしてみてください。