デバイスによる回答の差をなくす試みが必要に

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モニターによる同一の回答をPCとスマートフォンで比較したところ、例えば、同じ数の設問でもスマートフォンでは回答を途中で中止するケースが2倍近くに上りました。また、複数回答を得るマトリクス形式の設問に対しては、スマートフォンの方が選択される項目数が少ないという結果でした。このほかにも、設問や選択肢の見落としやいい加減な回答の増加などによる、データ精度の低下も予想されます。

こうした状況は、インターネットリサーチにも少なからず弊害をもたらすと考えられます。例えば、ブランドの定例調査では、項目選択や回答の数が減ることで、調査対象のブランドが実際以上にダウントレンドとなっているという誤った結果が出ることなどが懸念されます。

とはいえ、我々としてもただ手をこまねいているわけではなく、PC、スマートフォン、タブレットなど、端末ごとの回答の差をできるだけ小さくするように調査票の作り方を変えるなど、 “マルチデバイス”に対応した研究を日々続けています。

●インターネットリサーチにおけるスマートフォンとPCの差

・スマートフォンの画面はPCより小さい → 1画面で見える範囲が狭い、小さい
・スマートフォン入力はキーボードを使わない → 文字入力はPCより時間がかかる可能性
・画像や動画を呈示する設問 → PCより呈示物が小さく見える
・マトリクス形式の設問 → PCよりスクロールが多く必要
・自由回答、純粋想起など → PCより入力に時間がかかる
(インテージ調べ)

  

スマホによる調査手法の広がり……人の行動は全てわかる?

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前述のような問題がある一方で、スマートフォンはリサーチ分野にたくさんの可能性をもたらしています。

周知のようにスマートフォンには写真や位置情報などといった、生活者の行動ログを取りやすい機能を備えています。こうした特徴を活かすことで、モニターの行動や購入履歴などを細かく収集することができるようになっています。

さらにリサーチする際、スマートフォンを利用することは従来のアンケートとは全く異なるデータの収集を可能にしています。例えば、通常のアンケートで行った商品の購入リサーチでは、モニターが過去に買ったことを“覚えている”商品だけが対象となります。一方これに対して、スマートフォンの記録は本人の記憶に依存しない正確な行動ログです。こうした、従来では不可能だった生活者のデータを集めることも可能となっているのです。

現在、スマートフォンに限らず、測定の技術はかつてないレベルに至っています。顔認識などのセンシング技術もどんどん進化しており、今後生活者の行動は全てわかるようになるといっても過言ではないでしょう。
  

生活者の行動はわかっても頭の中がわかるわけではない

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ただ、こういう話をすると、アンケートがリサーチ手法としてダメになったという印象を持たれるかもしれませんが、それは全く違うことを強調しておきます。

前述のように、現在は様々な行動に関するログ・データが取得できるようになっていますが、アンケートでなければわからないことは、まだまだたくさんあります。ログでわかるのは基本的に“生活者の行動”だけで、頭の中までがわかるわけではありません。肝心なことは、結局は本人に直接訊くしかなく、アンケートはその重要な手段なのです。

事実、これだけ多様な調査手法が出てきている中でも、いまだにアンケート調査の需要は減っていません。今後もこのリサーチ手法は消えることはないと考えています。