RFM分析とは、顧客ごとの購入データを分析し、マーケティングに役立てる手法です。RFM分析を行うことで、顧客をいくつかのグループに分類し、それぞれに対して最適な施策を立案できます。

この記事では、RFM分析の進め方やマーケティングの施策例、RFM分析を行う際のポイントなどについて解説します。Webマーケティングの成果を高めたい企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. RFM分析とは
  2. RFM分析を行うメリット
  3. RFM分析が向いているケース
  4. RFM分析が向いていないケース
  5. RFM分析の進め方
  6. RFM分析に基づくマーケティング施策の例
  7. RFM分析に役立つツール
  8. WebマーケティングでRFM分析を活用するポイント
  9. RFM分析に似ている他の分析手法
  10. RFM分析でマーケティング施策の精度を高めよう

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RFM分析とは

RFM分析は、分析対象の期間について、以下の3つの指標をもとに顧客をグループ分けする手法です。各指標の頭文字をとって「RFM分析」と呼ばれます。

● 最新購入日(Recency)

顧客が直近で商品を購入した日付

● 購入頻度(Frequency)

分析対象の期間中に顧客が商品を購入した回数

● 購入金額(Monetary)

分析対象の期間中に顧客が商品を購入した金額

RFM分析の記入例.png

RFM分析を行うメリット

RFM分析で顧客をグループ分けすると、次のようなメリットが得られます。

マーケティング施策の精度が高まる

RFM分析を行うことで、購入頻度や購入金額の高い優良顧客や、商品を最近購入したばかりの新規顧客などを特定できます。それぞれのグループに対してマーケティング施策を立案すると、より良い反応を得ることが可能です。

無駄なコストを削減できる

RFM分析を行うと、成果につながらないマーケティング施策による無駄なコストを削減できます。

例えば、最新購入日から長い年月が経ってしまっている顧客に郵送DMなどを送っても、成果は期待できません。また、優良顧客に新規顧客向けのメッセージを発信することでも、無駄なコストがかかってしまいます。

これらの費用を削減し、施策のコストパフォーマンスを高められることがRFM分析のメリットです。

自社の課題を明確化できる

RFM分析で顧客をグループ化すると、自社が取り組むべき課題が明らかになります。

例えば、新規顧客の数が多いものの、優良顧客が少ない場合は、購入回数や購入金額の向上が課題です。また、休眠顧客が多い場合は掘り起こしのための施策や、そもそも離脱させないことが課題となります。

このように、自社の課題を明確化できることもRFM分析のメリットです。

RFM分析が向いているケース

次のような条件を満たすビジネスは、RFM分析によるマーケティング施策の立案に向いています。

図_RFM分析が向いているケース.png

ECサイトなど購入データを蓄積できるビジネス

RFM分析を行うには、商品が購入された回数や金額など、顧客ごとの購入データが必要です。ECサイト会員制サービスエステ美容院といった店舗型ビジネスなど、顧客ごとの購入データを蓄積できるビジネスがRFM分析に適しています。

リピートや追加購入の多いビジネス

RFM分析は、同じ商品がリピート購入されたり、異なる商品が追加購入されたりすることを前提とした分析手法です。そのため、日用品や健康食品などリピート性の高い商品を扱うECサイトは、特にRFM分析に向いています。

また、有料のオプションサービスが追加できるSaaSコンサルティングなどのビジネスでも、RFM分析が有効です。

RFM分析が向いていないケース

次のような条件にあてはまるビジネスは、RFM分析に向いていません。

顧客あたりの購入回数が少ないビジネス

冠婚葬祭に関するサービスなど、顧客あたりの購入回数が少ないビジネスは、RFM分析に不向きです。自動車不動産大型家具などの高額商品も、購入回数が少ないためRFM分析に向いていません。

季節性の高い商品

水着クリスマスグッズなど、季節性の高い商品を扱っている場合、最新購入日に偏りが生じてしまいます。そのため、RFM分析でマーケティングに役立つ知見を得ることが困難です。

また、シロアリ駆除サービスなど、特定の時期に依頼が集中するビジネスもRFM分析に向いていません。

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RFM分析の進め方

RFM分析で顧客をグループ分けし、マーケティング施策の立案に役立てるまでの流れは次の通りです。

①既存顧客の購入データを用意する

まずは、対象期間を決めた上で、既存顧客の購入データを用意します。データには、顧客ごとの最終購入日と対象期間中の購入回数購入金額の情報が必要です。

Excelなどの機能を用いて、下記の例のような形式で顧客ごとの購入データを整理しましょう。

顧客ID 顧客氏名 最新購入日(R) 購入回数(F) 購入金額(M)
0001 田中太郎 2022/09/13 10 ¥80,000
0002 山本花子 2022/05/08 2 ¥12,000
0003 木村良夫 2022/01/25 2 ¥10,000
0004 小林幸江 2021/10/17 1 ¥6,000
0005 吉田賢二 2022/06/29 3 ¥24,000

ECサイトの場合、これらの情報を含むデータを簡単に出力できる場合もあります。

②目的に応じてグループ分けの基準を決める

次に、3指標に基づいて顧客をグループ分けするための基準を決めましょう。

RFMのそれぞれを5段階で評価し、全125通りのグループを作る方法もありますが、グループ数が多すぎると手間がかかりマーケティング施策を効率化できません。そのため、分析の目的に応じてグループ分けの基準を適切に決める必要があります。

例えば、顧客ごとのLTVを高めたい場合は、購入金額の指標が特に重要です。購入金額を3~5段階に分け、購入回数や最新購入日は2段階などに分けると、適度なグループ数になります。

グループ分けの基準の例最新購入日(R)
3月31日以前:ランク1
3月31日以降:ランク2

購入回数(F)
3回未満:ランク1
3回以上:ランク2

購入金額(M)
10,000円未満:ランク1
10,000円以上 50,000円未満:ランク2
50,000円以上:ランク3
顧客ID 顧客氏名 最新購入日(R) 購入回数(F) 購入金額(M)
0001 田中太郎 2022/09/13
※ランク2
10
※ランク2
¥80,000
※ランク3
0002 山本花子 2022/05/08
※ランク2
2
※ランク1
¥12,000
※ランク2
0003 木村良夫 2022/01/25
※ランク1
2
※ランク1
¥10,000
※ランク2
0004 小林幸江 2021/10/17
※ランク1
1
※ランク1
¥6,000
※ランク1
0005 吉田賢二 2022/06/29
※ランク2
3
※ランク2
¥24,000
※ランク2

設定した基準に沿って、マーケティング施策を行う上で特に重視する顧客グループを次のように設定しましょう。

優良顧客 新規顧客 休眠顧客
・Rがランク2
・Fがランク2
・Mがランク3
・Rがランク2
・Fがランク1以上
・Mがランク1以上
・Rがランク1
・Fがランク2
・Mがランク2以上

上記の例なら、優良顧客のグループには「田中太郎さん」が含まれます。「山本花子さん」や「吉田賢二さん」は新規顧客です。

③グループごとに施策を立案する

最後に、グループごとに適切な施策を立案します。例えば、優良顧客に分類される顧客数が少ない場合は、もう少しで優良顧客になりそうな顧客に対するアップセルクロスセルなどの施策が効果的です。休眠顧客が多い場合は、掘り起こし離脱防止の施策を行う必要があります。

各顧客グループに含まれる顧客数の比率も確認しながら、優先的に取り組むべき施策を考えましょう。

RFM分析に基づくマーケティング施策の例

ここでは、RFM分析で得られた結果をマーケティング施策に生かす方法の具体例を紹介します。

RFM分析_グループ分けの例.png

優良顧客向けに特別な商品をオファーする

購入回数や購入金額が多い優良顧客向けには、さらにLTVを高めるための施策が効果的です。優良顧客限定の特別な商品やサービスを企画し、オファーすると成果につながる可能性があります。

例えば、ECサイトの場合は、機能やデザインをグレードアップした特別な商品を限定販売する施策が考えられます。また、コンサルティングビジネスの場合は、優良顧客限定の特別セミナーなどでLTVの向上が可能です。

新規顧客に十分な情報提供をする

購入回数が少なく、最終購入日からあまり日が経っていない新規顧客のグループには、十分な情報提供を行う必要があります。商品の効果的な使い方や、オプションサービスなどについて情報提供をすると、購入回数や購入金額を高めることが可能です。

ECサイトの場合、「こんな使い方もできる」といった情報などを提供すると、商品の積極的な使用やリピート購入につながります。SaaSビジネスでは、オプションサービスの案内や成功事例のシェアなどが効果的です。

頻度・金額が高い休眠顧客を掘り起こす

最終購入日から時間が経っているものの、購入回数と購入金額が高い休眠顧客は、掘り起こし施策によって購入を再開してもらえる可能性があります。

休眠顧客の掘り起こしには、商品やサービスの新機能や改善されたポイントを訴求することが重要です。また、カムバックキャンペーンなど、期間限定の割引を用意する施策によっても再購入を促せます。

RFM分析に役立つツール

顧客ごとの購入データを分析したり、グループ分けに基づく施策を実行したりする際は、次のようなツールが役立ちます。

顧客データを管理できる「CRM」

CRMは顧客の属性や購入データ、取引履歴などの情報を管理できるツールです。CRMを導入すると、Excelなどを使って手作業でデータを管理するよりも効率的にRFM分析に取り組めます。

効率的な分析が可能な「BI」

BIはビジネスに関する様々なデータを分析できるツールです。グラフや表などを使用してデータを可視化できます。RFM分析の機能が備わっているBIツールなら、顧客データを入力するだけで簡単に分析を行うことが可能です。

分析に基づいた施策を自動化できる「MA」

MAはマーケティング施策を自動化するためのツールです。RFM分析で分類した顧客グループごとに、内容を最適化したメールを自動送信するなどの施策に取り組めます。

WebマーケティングでRFM分析を活用するポイント

RFM分析をWebマーケティングの施策に役立てるには、いくつかの点に注意が必要です。ここでは、RFM分析を行う際に押さえておくべきポイントを紹介します。

十分なデータを集めてから分析を行う

RFM分析は、リピート購入や追加購入が発生し、十分な顧客データが集まった段階で行いましょう。

ビジネスを立ち上げたばかりなどで、新規顧客しかいない段階では、RFM分析によるグループ分けをしても成果につながりません。優良顧客や休眠顧客など、顧客ごとに購入回数や購入金額の差が見られるようになった段階が、RFM分析に取り組むべきタイミングです。

分析を行う目的を明確にする

RFM分析を行う際は、「自社が今注力すべき顧客グループを特定する」など、目的を明確にする必要があります。また、単に顧客をグループ分けするだけでなく、得られた分析結果をもとにマーケティング施策を立案するようにしましょう。

定期的に分析し最新の状況を把握する

RFM分析は、分析を行うタイミングによって結果が変化します。そのため、定期的にRFM分析を実施し、最新の状況を把握することが大切です。

例えば、ビジネスを立ち上げたばかりの時と、数年間継続した時では全体の顧客数や顧客グループの内訳が異なります。自社の商品がリピート購入されるまでの期間などに応じて、定期的にRFM分析を行いましょう。

RFM分析に似ている他の分析手法

RFM分析に似ている他の手法として、デシル分析やMRFI分析、CPM分析などが挙げられます。各分析手法の概要や特徴は次の通りです。

デシル分析

デシル分析は、顧客ごとの購入データを購入金額に基づいてグループ分けする手法です。購入金額が高い順に10個の顧客グループに分け、優良顧客を特定します。

MRFI分析

MRFI分析は、RFM分析で使用する3つの指標に、購入商品Item)の指標を加えて顧客をグループ分けする手法です。購入回数や購入金額だけでなく、どの商品を買ったかも踏まえて顧客を分析できます。

CPM分析

CPM分析は、購入回数や購入金額に加えて、初回購入から最終購入日までの期間や最終購入日からの経過日数も含めて顧客を10個のグループに分ける手法です。

「短期間で高い金額を購入している顧客」や、「一定期間は安定的にリピートしていたものの離脱してしまった顧客」など、RFM分析とは異なる形でグループ分けができます。

RFM分析でマーケティング施策の精度を高めよう

RFM分析で顧客をグループ分けすると、マーケティング施策の精度を高めることが可能です。優良顧客のLTVをさらに向上させたり、休眠顧客を掘り起こしたりする際にRFM分析が役立ちます。

リピート性が高いビジネスや、追加購入できるオプション商品が多いビジネスのマーケティングにRFM分析を活用してみましょう。

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