「ブランド力」は、企業の知名度を上げたり商品やサービスを販売したりする場合に、武器となります。
しかし、ブランディングが必要であることは重々理解できていても、そもそもブランディングで得られるメリットやどのような点に注意すればよいのか、把握できていますでしょうか。

今回は、特にこれから起業する、商品やサービスの販売を始める、という方が最低限知っておきたい「ブランディング」についてご紹介します。
ブランディング確立で得られるメリットや、確立のために最低限押さえておきたい要素を理解すれば、自社にはどのような施策が必要なのか検討しやすくなります。
競合他社に負けないブランド力をつけるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

ブランディングとは

「ブランディング」とは、一言で表すと企業や店舗などがユーザーに与える共通イメージを確立することです。
名前やコピー、ロゴ、商品、デザイン、価格などを通して共通イメージを作り上げることで「◯◯(商品名など)と言えば△△(企業名など)」という認識を持たせて実態のない価値を作り、世の中における認知度アップを目指します。

ブランディングの起源には諸説ありますが、自分の家畜に焼印を押してほかの家の家畜と区別したことが始まりとの説が有力です。
この説をもとにブランディングについて考えるなら「区別」するために必要となる施策と言えます。

ブランディングの大きなメリット5つ

1.価格競争からの脱却

類似商品が多数販売されている近年、競合他社との安売り競争を行わなければならなくなってしまうケースは多々あります。
ブランディングが確立されていれば商品そのものの価値に加えて、憧れや共感などの「付加価値」が生まれてファンが定着し、価格競争を行う必要がなくなります。

2.商品開発などの障壁の操作

高いブランド力があれば商品だけではなく企業そのものにファンが定着するため、例えば新商品を発売する際にすでに定着しているファンが「指名買い」してくれる可能性が高まり障壁を低くすることができます。
また「この商品ならあの企業」というブランディングを確立することで、競合他社が参入してくる際に障壁を高くすることも可能です。

3.リピート率の向上

商品を購入するユーザーは、大きく新規顧客と既存顧客の2種類に分けることができます。
販売している商品や企業の運営方針にもよりますが、新規顧客を獲得するために投資を行い、既存顧客のリピート購入で生まれる利益で投資の回収を行う、というビジネス構造が一般的です。
そのため、リピート率が低ければ新規顧客獲得のために使用した投資を回収できなくなってしまい、最終的に企業が運営危機に陥ってしまう可能性もあります。
ブランディングが確立されていれば、既存顧客が企業や商品に対して愛着が強くなるため、競合他社の商品と比較するまでもなく購入してもらえるようになり、リピート率向上が期待できます。
リピート率が向上すれば新規顧客獲得のための投資の回収も可能になり、さらにユーザーに好まれる商品開発などに着手できるため、結果として企業全体の収益向上にもつながります。

4.コスト削減

ブランド確立までには広告出稿などの宣伝費が必要なりますが、ブランドが定着してリピートユーザーが増えれば、最小限の宣伝でユーザーが商品を購入してくれるようになります。
「指名買い」をするユーザーが増えれば増えるほど、宣伝費を縮小することができ、広告宣伝費にかかるコストを削減できるようになります。

ブランディング確立は、仕入れコストの削減にもつながります。
ブランディングが確立して商品の販売数が増加すれば、原材料の仕入れ数量必然的に増えるため、価格交渉しやすくなります。
さらに、社会的影響力を持つブランドにまで成長すれば、採算ギリギリでも取引をしたい、という業者も出てきます。
業者にとっては、高いブランド力を持つ企業が原材料の仕入先として認めてくれた、という付加価値を得ることができ、今後さらなるビジネスチャンス拡大にもつながるからです。

5.人材確保

企業が成長を遂げるためには、企業の社長だけが有能であればよい、というわけではなく、社長を含め、働く人材が優秀でなければいけません。
「引き抜き」は、優秀な人材を少しでも多く欲するがゆえに発生することです。
しかしブランディングが確立されていると、購入してくれるユーザーだけではなく従業員の企業に対する愛着も強くなるため、引き抜きに応じない人材の確保、優秀な人材が指名入社してくれる、といったメリットがあります。
企業に対する愛着の強い優秀な人材が優れた商品の開発やブランディング育成に貢献してくれることで、より強いブランド力が期待でき、強いブランド力がリピートユーザーを増やす、という好循環を生み出せる、ということです。