ソーシャルメディアやWebを使ったマーケティングは組織の規模を問わず誰でも活用が可能な時代になりました。ソーシャルマーケティングは莫大な広告費をつぎ込まなくとも、アイデア次第で拡散して行くなどの可能性がありとても重要視されるようになっています。

そんな中、ソーシャルメディアの活用は企業だけでなく、地方自治体にでも盛んになり、様々な効果的で面白い施策が各地で展開されています。

今回は、ソーシャルメディアを活用している自治体の事例をご紹介します。
各自治体の活用方法は、企業のSNS運用にも応用できます。自社に取り入れる要素がないか探ってみましょう。

ソーシャルメディアを主軸にしている自治体も存在する

多くの地方自治体が広報ツールとしてソーシャルメディアを活用しており、194市に上るという調査があります。また、14の市が「ソーシャルメディアが広報活動の柱になるツール」だと回答しています。

特に盛んなのはゆるキャラのような公式マスコットキャラクターの活用で、イメージアップやファンとのコミュニケーションに役立っています。また、市長が自らTwitterアカウントを運用するなどのケースも多く、Webを介して以前よりも自治体と身近に触れ合う機会が増えました。

地方自治体のソーシャルメディア活用は、マーケティングというよりも広報活動がメインではありますが、企業のマーケティング担当者の方でも学べる部分は多いです。
ソーシャルメディアの運用管理は65%の自治体が広報担当の方が兼任して担当していると回答おり、地元の魅了を伝えるプロ達がどのようにソーシャルメディアを活用してるかは、どなたにもとても参考になるのではないでしょうか。

参考:
地方自治体によるソーシャルメディアの活用について

自治体であってもソーシャルメディアの運用の仕組みは変わらない

企業であっても地方自治体であっても、ソーシャルメディアでのコンテンツを届ける手法やファンとのコミュニケーションの仕組みは、基本的に変わりません。組織として一般ユーザーにメッセージを発信することにおいては、活用方法が大きく変わるといったことはありません。
企業アカウントと自治体のアカウントでの違いは、運用の目的をどこに持っているかです。多くの企業は、認知度向上やブランディングをあげ、最終的に自分たちのビジネスでの販売促進や何かしらのコンバージョンをKPIとしておいています。しかし、地方自治体は、具体的な営利目的というよりも、イメージをあげて人口増加、地域の活性化、観光客の増加を目的としている場合が多いです。そのため、認知向上やブランディングに重視しているところが多くなっています。地方自治体のソーシャルメディアの活用事例を見て行く上で、この違いを理解しておくとより応用できる部分を見つけられるのではないでしょうか。

キャラクターの効果はソーシャルメディアでも絶大

ゆるキャラブームと言われるように地方自治体やさまざまな企業が可愛らしいキャラクターを起用して、広報活動を行なっています。ゆるキャラの起用は単なるイメージアップや、グッズライセンスなどの利益だけにとどまりません。ゆるキャラは、ソーシャルメディアの特性にも適しているのです。
例えば、熊本県の公式キャラクターである「くまモン」は、公式Twitterアカウントで11万人を超えるフォロワーがいます。また、公式facebookページも18万人を超えるいいねを集めています。「○○県広報課」という名前のアカウントでは絶対に集めることのできない人数です。
ゆるキャラの起用がソーシャルメディアマーケティングに適している最大の理由は、エンゲージメントを非常に集めやすい点です。単なる日常的な投稿であっても、キャラクター起点での投稿の場合、いいねやシェア数が非常に集まりやすくなります。ゆるキャラが映った写真というだけでコンテンツとして魅力的になり、多くのエンゲージメントが期待できるのです。

ソーシャルメディア上ではこういったいいねやシェアのようなエンゲージメントが起これば起こるほど、多くの人の目につきやすくなります。
キャラクター起用をしていなくとも、地方自治体のソーシャルメディア活用においてエンゲージメントは非常に重要です。ソーシャルメディアを活発に利用されている自治体は、どちらかというと都市部ではありません。広く浅いファン層よりもより深い関係性が重要であり、人口が少ない地方であろうと、ファンとどれだけ密にコミュニケーションが取れているかが自治体におけるソーシャルメディア活用の成果指標とも考えられます。

地方自治体でもバイラル系の企画が盛んに

ついつい人にシェアしたくなるようなコンテンツを発信し、口コミなどを利用してユーザーに情報を広げてもらう手法をバイラル・マーケティングと呼びます。ソーシャルメディアの拡散性を活用して、低予算で爆発的に広まって行くなどの可能性があり、近年注目されています。普段Twitterやfacebookなどを見ている中で、見たことがあるという方も多いでしょう。
バイラルコンテンツの中には、拡散を重視するあまり奇をてらったものも多いです。また、下手をすると炎上してしまうという場合もあり、あまりお行儀がよくないようなイメージを持っている人もいます。地方自治体といった役所のやっている広報活動には、あまり親和性がよくなさそうというイメージもありますが、うまく活用すれば効果的なアピールが可能です。

オモシロ路線で情報発信をすることで、自治体のきっちりとしたイメージを逆手に取ったギャップが面白い、ツッコミたくなるという心理が働きシェア数を伸びる場合があります。こういった背景もあり、実は自治体とバイラル・マーケティングは相性がいいとも考えられるのです。持たれているイメージと反対のことをすることで、結果的にバイラル・コンテンツになり得ます。

バイラルマーケティングの事例【1】静岡県

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http://bokete.jp/user/Shizuokapref
静岡県が実施したバイラル・マーケティングの一つが「静岡県の魅力でボケてキャンペーン」です。「ボケて」というのは、株式会社オモロキが提供しているWebサービスで、画像に対してコメントをつけて大喜利ができます。ユーザー投稿型で面白い画像を好きに作ってもらい、サイト上で公開しているサービスです。

静岡県の観光名所や特産品などの画像を元に、この「ボケて」のフォーマットを使った投稿が募集されました。集められた投稿は、静岡県の広報課が運営しているポータルサイトで紹介されています。投稿一つ一つにソーシャルシェアボタンが用意されており、面白いものはソーシャルメディア上にも拡散される仕組みとなっています。
http://tsukai-shizuoka.jp/boke/comp

バイラルマーケティングの事例【2】宮崎市

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こちらは宮崎県産の金柑をアピールするために行われた施策です。恵比寿の駅前にて宮崎産の金柑をサンプリングとして配り、配られた金柑をオシャレに撮影してInstagramに投稿してもらおうという企画です。オフラインのサンプリングから、オンラインに拡がっていき、さらにソーシャルメディアで拡がっていくという仕組みになっています。

地方自治体が東京に出て商品を配ってアピールするだけでなく、オシャレな街の人たちにオシャレな写真を投稿してもらうことで、ブランドのイメージをよくしていこうという施策です。また、あえてInstagramに限定していることからも、オシャレな写真が並ぶメディアの特性を生かされています。

まとめ

自治体のソーシャルアカウントの人気は、必ずしも人口や知名度と正比例しているわけではありません。自治体だからこそのコミュニケーションやエンゲージメントの方法があり、中小企業のソーシャルメディア担当者の方のヒントになるのではないでしょうか。