エンプロイー・エクスペリエンスは入社前から始まっている

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エンプロイー・エクスペリエンスを最大化するために、人事はどんなことに取り組めば良いのでしょうか。

カスタマー・エクスペリエンスは、顧客との初期接触からリアル店舗での接客や購買体験、商品の開封から使用開始後のアフターフォローに至るまで、カスタマージャーニーマップは多岐にわたります。
これはエンプロイー・エクスペリエンスにおいてもいえ、求人の閲覧や求人への応募、その後の面談・面接から、配属後の研修、OJTやワークスタイルに至るまで、従業員とのあらゆるタッチポイントが体験の良し悪しを左右する因子となります。

商品を購入した際、同じことを何度も何度も聞かれたり、何度改善要望を出しても改善がなされなかったりするとゲンナリしてしまいます。それと同様に、採用選考時に人事に伝えていたはずの情報がきちんと共有されておらず、何度も聞かれたり、会社をよりよくするための提案をしても耳を貸してもらえなかったり、ということが繰り返されると、エンプロイー・エクスペリエンスは当然低下します。

これまで、多くの日本企業では、効率性の観点から採用と教育・研修、人事と現場が完全に切り離されていましたが、従業員に対して一貫して良いエンプロイー・エクスペリエンスを提供する、という観点に立てば、これは適切ではありません。さらに言えば、総務や経理、情報システムなどの間接部門がエンプロイー・エクスペリエンスに与える影響も少なくありません。

もちろん、それぞれの担当領域がわかれていること自体は悪いことではありませんが、どうすればエンプロイー・エクスペリエンスを最大化できるのか、採用担当と教育・研修担当が、あるいは人事部と現場が、情報共有をきちんと行いながら、チームとしてエンプロイー・エクスペリエンスの最大化に向けた体制構築を進める必要があります。

例えば、クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社では、いわゆる総務部門のことを「メンバーサクセスチーム」と名付け、同社の従業員が仕事をしやすい環境づくりをすることをチームのミッションとして位置付けて、エンプロイー・エクスペリエンスを向上させる施策を次々と打ち出しています。

参考:
freee人事労務が取り組む「マジ価値人事業務」と「カルチャー浸透方法」とは?
  
Airbnbのようにエンプロイー・エクスペリエンス部を発足させることは難しくとも、部門横断プロジェクトとして、「エンプロイー・エクスペリエンスチーム」を立ち上げ、一貫したエンプロイー・エクスペリエンスを提供するために何ができるか?について、アイデアを出し合うところから始めてみても良いかもしれません。
  

まとめ - エンプロイー・エクスペリエンスの良し悪しを「見える化」しよう -

エンプロイー・エクスペリエンスの重要性がわかったところで、そもそも自社のエンプロイー・エクスペリエンスはいかほどのものなのか、何か対策を行ったとして、効果があったのか、なかったのか、きちんと見える化してPDCAサイクルが回せる状態をつくる必要があります。

エンプロイー・エクスペリエンスの定量化について、先述のグローバルヒューマンキャピタルトレンド2017では以下のとおり紹介がされています。

組織文化とエンゲージメントは、エンプロイー・エクスペリエンス にとって必要不可欠の要素です。先進企業では、ある人の(入社前の)ファーストコンタクトから退職以降までその焦点を拡げています。今日では、企業は 、従業員のジャーニーを観察し、社員のニーズを研究し、ネット・プロモーター・スコア(NPS)を使って、従業員のエクスペリエンスを理解しようとしています。職場環境の再設計、健康経営、そして生産性向上のシステムのすべてがHRの責任事項になってきているのです。

カスタマー・エクスペリエンスを定量化する手法として有名な調査手法「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」の従業員版としてeNPSという調査・分析手法があり、eNPSを活用して定点的にエンゲージメント(従業員の推奨度)をチェックし、押し上げ要因、押し下げ要因を分析することで施策に活かすなど、エンプロイー・エクスペリエンス最大化に向けたPDCAサイクルを回すことが可能となります。

日本版ユニコーンとして注目を浴びるメルカリの躍進を見ればわかるように、エンプロイー・エクスペリエンスの最大化は、最も投資対効果の高い戦略と言えます。

皆さんの会社のエンプロイー・エクスペリエンスはいかがでしょうか。まずはeNPSなどの手法を用いてエンゲージメントを見える化するところからチャレンジしてみることをオススメします。