ホームページやSNSを活用したマーケティングを行っているのは企業だけにとどまりません。
実は、本格的なマーケティングを行なっている「神社」が多数あることをご存知でしょうか。

今回は、神社によるWebマーケティングの事例を紹介します。
寺や教会とは異なり基本的に墓地を持たない神社は、お祓いや結婚式といった単発の収入が多く、安定した収入源を持ちません。

そのため、各地の神社では年間行事のプロモーションを行い、集客をはかっています。
なかにはSNSやクラウドファンディングといったWebを活用した事例もあるので、企業にも参考になる点が多いはずです。

神社の現状

神社や寺などの宗教法人がWebを利用した活動を行うことに違和感を覚える方のいるかもしれません。
なかには「宗教は信者から安定して奉納金をもらっているのでは」と考える方もいるでしょう。

ですが、宗教法人のなかには人件費や社の補修費用といった維持費の確保に困っている組織も数多くあります。

特に神社の場合、江戸時代からの寺請制度の影響により葬式や墓地の管理を担ってきた寺と異なり、明治時代まで葬式や結婚式を行う慣習はありませんでした。
そのため墓地管理による収入を得ることはほとんどなく、神社を信仰する氏子からの会費や賽銭、地鎮祭やお祓いにかかる初穂料(奉納金)などが収入源となります。

人口減少に伴い、地域住民が減少するなか、氏子からの会費も見込めない神社にとって、参拝客を集めることは死活問題です。
そのような神社にとって、日本全国へアプローチできるWebは有用なツールなのでしょう。

参考:
神社本庁 | 神葬祭について
宗教統計調査|文部科学省
[宗務時報|文化庁文化部宗務課]
(http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/shuppanbutsu/shumujiho/pdf/115jiho.pdf)
神社と経営|出雲大社紫野教会

神社のWebマーケティング事例

伊勢神宮や出雲大社、明治神宮など大規模な神社だけでなく、日本各地には大小様々な神社が存在します。
では、それぞれの神社ではどういったマーケティングを行っているのでしょうか。
Webを活用することで、成功につながった4つの事例をご紹介します。

参考:
夏に初詣も!? 御朱印ブームだけじゃない神社界の新潮流 | ニューズウィーク日本版

1.川越氷川神社

縁結びの神様 川越氷川神社:安産、お宮参り、戌の日.png
http://www.kawagoehikawa.jp/

「川越氷川神社」は埼玉県川越市に所在する神社です。縁結びの神社として知られ、境内では神前結婚式も執り行っています。

運命の赤い糸の言い伝えを利用し、赤い紐を利用した「結い紐のもと」や「縁結び玉」といった新しいお守りを生み出しただけでなく、恋愛にまつわるイベントを開催しています。

例えば境内に色とりどりの風鈴を飾るイベント「縁結び風鈴」では、参拝者が撮影した写真に「#川越氷川神社」「縁結び風鈴」をつけインスタグラムに投稿することで、神社に奉納できるというキャンペーンを実施しています。

また、FacebookやTwitterなどのSNSを通して情報発信しており、Facebookでは2万人近いフォロワーを集めています。
縁結びの神社であることを生かし、女性をメインターゲットとしているのが同社の特徴でしょう。

参考:
縁むすび風鈴|川越氷川神社【特設サイト】

2.福母八幡宮

「福母八幡宮」は佐賀県に所在する神社であり、866年より鎮座する歴史ある神社です。
福母八幡宮では、七夕祭に合わせて階段97段を約200の灯篭で飾る「竹灯籠の夕べ」の開催にあたって、経費のうち20万円をクラウドファンディングで募りました。

この取り組みでは募集開始9日間で目標金額の20万円に達し、結果として予定の158%となる出資金を得ています。
クラウドファンディングは、誰でも気軽に出資を募ることができます。
優れた企画がありながらも、資金面で実現が困難な場合はクラウドファウンディングを活用するのも一つの手でしょう。

参考:
竹灯籠を七夕祭で飾ろう 大町町の福母八幡宮 ネットで出資を募る [佐賀県] |西日本新聞
[資金調達の新たな手段!クラウドファンディングサービス19選|ferret [フェレット]] (https://ferret-plus.com/722)

3.浅草神社

浅草神社___浅草神社について.png
http://www.asakusajinja.jp/asakusajinja/

「浅草神社」は東京都の浅草に所在する神社であり、「三社さま」の愛称でも知られています。浅草神社では、川柳教室や着物の着付け教室など一般向けのカルチャースクールを運営しているだけでなく、神社内の事務所を勉強を行うスペースとして一般開放しているのが特徴でしょう。

Facebookページでは神社の年間行事やカルチャースクールなどでの催し物を定期的に情報発信し、1万人以上のフォロワーを集めています。
また、夏の閑散期に合わせて周辺の寺社と共同で「夏詣(なつもうで)」というイベントを行いました。

普段から、一般の方と交流の機会を持ち、SNS上でも交流することでこういったイベントの際にも集客が見込めます。
ファンと手軽に交流できるFacebookを活用した事例と言えるでしょう。

参考:
浅草神社|Facebook

4.氣多大社

能登國一宮_氣多大社.png
https://www.keta.jp/

「気多大社」は石川県羽咋市に所在し、加賀藩の崇敬した神社として知られています。
また、大河ドラマにもなった前田利家とまつに合わせ、縁結びのご利益があるとして結婚式やついたち結びという特別な祭事を行っています。

ついたち結びでは無料で祈祷を行っているほか、メールで祈祷を受け付けています。
また、ホームページ上では、ついたち結びに願いをかけて叶った恋の内容を投稿として受け付けており、今までの7万5千以上の投稿数を得ています。

同社ではFacebookを利用して、積極的な情報発信を行っています。
インスタグラムやアプリの運営、ドローンを利用した空撮など、新しい手法を常に取り入れているのも特徴的です。

参考:
産学共同研究成果を活用したケース教材 | 観光経営マネジメント人材育成 | 人材の育成・活用 | 観光庁
縁結び|氣多大社

まとめ

日本各地の神社行われているマーケティング事例に共通しているのは、神社の由来や伝統に合わせた内容であるという点です。

一方で、ネットを利用したヴァーチャル参拝や一般企業とコラボした観光イベントに対しては、神社界の中でも議論を呼んでいるようです。

伝統や歴史を重んじる業界でWebを利用したマーケティングを行う際は、ユーザーが何を求めているのか、またどういった切り口なら伝統や歴史を傷つけることなく成功できるのかを見極めることが重要です。

参考:
商業/観光資源化に直面する伝統宗教―「市場」への対応としての「信仰」・「伝統」―
高橋典史|RIRC