【第二部】Account Restructure グーグル株式会社 広告代理店営業部 エージェンシープロダクトスペシャリスト 米満智之

“完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致するものを返すエンジンである”

これはGoogle創業者ラリー・ペイジ氏の言葉です。Googleは日々、ユーザーができる限り簡単に、求めている情報を見つけられ、すべき作業を完了できるよう進化を続けています。

オーガニック検索結果だけでなくGoogleアドワーズの検索連動型広告においても、ユーザーが求めている情報とぴったり一致した広告を出すことは非常に重要かつ根源的な考え方となってくるため、リスティング広告のキーワード構成もこの考えを念頭に置いて構築していくことが大切です。

今日は、ユーザーが求めている情報を適切に表示できる構成について考えていきます。

▼なぜ広告グループをマッチタイプで分けてはダメなのか?

皆さんは広告を表示させるトリガーとなるキーワードを、どのように入稿しているでしょうか。

さまざまな形態があるかと思いますが、同一キーワードを異なるマッチタイプ(完全一致と部分一致など)で、別々のキャンペーン広告グループに分けて運用しているケースを比較的良く見かけるように思います。

登録キーワードとマッチタイプ例

:登録キーワードとマッチタイプ例

グルーピングイメージ例

:グルーピングイメージ例

上図は賃貸不動産を例に取ったリスティング広告の構成例です。表示機会を高めるために全てのキーワードで完全一致と部分一致を両方登録し、広告グループを分けて入札価格でクリック単価の強弱をつけるというやり方を取っています。

一見、効率的で理にかなった考え方のように思えますが、実はこのやり方、さまざまなデメリットが発生するリスクがあります。

デメリットその1、同一検索ワード(クエリ)で表示が分散する

マッチタイプが異なる同一キーワードを複数の広告グループに分けていると、ユーザーが検索した場合に広告を表示するトリガーがいくつもアカウント内に存在することになります。

結果、下図のように表示回数とクリック回数がいくつものグループに分散し、例えばABテストで正確な判断を下すスピードが落ちたり、クエリレポートから新キーワードの追加や削除をするのに手間がかかったりします。

広告グループ

※編集者注広告の掲載順位は、「キーワードごとの品質スコア×入札価格+広告表示オプション」で算出された広告ランクによって決定されますが、運用経験上、一定以上のクリック数がないと品質スコアの良し悪しは評価されにくい傾向があるように思います。もちろん案件によって柔軟に考える必要はありますが、品質が正当な評価を受ける機会を増やすという意味でも、できるだけキーワード重複の少ないシンプルな構成を心がけ、各広告グループに母数を集約させていく構成は大事だと考えます。

マッチタイプの異なる同一キーワードで広告グループを分けていると、ユーザーが検索したクエリと登録キーワードが完全に一致していても、完全一致グループを差し置いて部分一致グループの方が表示されることが見受けられます。完全一致(下表A)より部分一致(下表B)の方を低い入札単価にしているケースでは、意図した掲載順位より低く表示されてしまい、表示回数やクリック数で機会損失を起こしてしまうリスクもでてきます。

デメリットその2、意図したクリック単価と広告で配信されない場合がある

デメリットその2、意図したクリック単価と広告で配信されない場合がある

例えば入札価格を「完全一致>部分一致」、「メインキーワード>ミドルキーワード>テールキーワード」の順に強弱をつけて入札した時に起こりがちなのが、テールワードの完全一致(下表a)よりもメインワードの部分一致(下表b)の入札価格の方が高くなってしまうケース。※品質スコアは同等であるとします

デメリットその2、意図したクリック単価と広告で配信されない場合がある2

こうなると、「賃貸 マンション 格安」と検索したユーザーに対し、「賃貸 マンション 格安」の完全一致グループ(a)ではなく、入札額の高い「賃貸」の部分一致グループ(b)の方がトリガーとして引っかかり、本来より高いクリック単価で掲載されるリスクが出てきてしまいます。

また、せっかく広告文をキーワードごとに分けて設定していても、「賃貸 マンション 格安」用に作られた広告文ではなく、「賃貸」という広いワードに向けた広告文となってしまうため、クリック率やコンバージョン率も必然的に低くなりがちです。

ユーザーの検索したキーワードに対し、意図しない広告グループと広告文で表示されることで、クリック単価は高くなり、クリック率やコンバージョン率は低くなるとまさに踏んだりけったり。もちろん、しっかり緻密な入札ピラミッドが組まれていれば問題ない場合もありますが、入札調整を繰り返す中で常に整合性を保つためには、大きなリソースが必要になってきます。