2017年5月27日、驚くべきニュースが私たちの元に飛び込んできました。
中国・浙江省で行われたThe Future of Go Summitにおいて、囲碁世界レーティング1位の柯潔(カ・ケツ)九段と、Google参加のAI開発チームDeepMindの囲碁AI「AlphaGo」が3番勝負を行い、結果的に柯潔九段の投了で、AlphaGoが全勝したというのです。

この囲碁AI「AlphaGo」のニュースは非常にインパクトがあるので、AIといえば真っ先にAlphaGoを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
しかし、進行中のAIプロジェクトには実際にたくさんの種類があり、AlphaGoはその一つに過ぎません。

今回は、AIとして有名なIBMのWatsonやGoogleのAlphaGoだけではない、世界を賑わすAIをご紹介します。
AIと言ってもまだまだ万能なわけではなく、ある特定の分野において最大の力を発揮するようなAIの方が多いことが分かります。

1. Deep Blue

Deep Blueは、IBMが開発したチェス用のスーパー・コンピュータです。
大学の研究室で生まれたチェス専用のスーパー・コンピュータであるDeep Thoughtを引き継ぐ形で、1989年からIBMが開発を開始したものです。
プログラムはC言語で書かれており、OS(オペレーティングシステム)はIBMのUNIX OSであったAIXを使っています。

Deep Blueの注目すべきところは、1秒間に2億手もの先読みを行なって、対戦相手のプレイヤーの思考を予測することです。
対戦相手の過去の棋譜を元にして期待値を出し、効果があると考えられる手筋のすべてを洗い出していきます。

1996年には、当時チェスの世界チャンピオンだったロシアのガルリ・カスパロフ選手に勝利し、翌年には使命を果たす形で勝利する形で幕を閉じました。
すでにDeep Blueは解体されていますが、機械の一部は現在でもコンピュータ歴史博物館などに展示されています。

2. FreeHAL

FreeHALは、2008年から2012年まで研究・開発が行われていた、分散コンピューティングによるチャットボットAIプログラムです。
当初、このプログラムはJElizaと呼ばれていました(JはJavaに開発していたことにちなんでいます)が、開発言語が2008年5月に変更となったために、FreeHALという名前に変更になりました。
このHALは映画『2001年宇宙の旅』に登場するコンピュータにちなんでいます。

分散コンピューティングは、プログラムの個々の部分が同時進行で複数のコンピュータ上で実行され、各々がネットワークを介して互いに通信を行いながら全体で処理が進行する計算手法です。
FreeHALは、この手法を用いて、より人間に近い振る舞いで会話できるようにすることを目指していました。
プロジェクトが進行していた当初は、WindowsやMac、LinuxなどほとんどのOSでインストールすることができ、2012年以降はGoogle PlayストアでダウンロードしたAndroidアプリでも加わることができました。
現在は開発自体は行われていませんが、今でもネットワークに参加することが可能です。

3. MAANA

MAANAは、AIによって収集・分析された情報を、特定のルールや論理に基づいて行なっていく意思決定アシスタントです。
現在MAANAは、テクノロジー関連のほか、石油・ガス関連分野でも積極的に使われており、石油やガスのあらゆるデータを分析しながら、次にやるべきことを提示してくれます。

どちらかといえば大型のエンタープライズ向けのAIではありますが、MAANAのようなAIをうまく活用することで、産業全体が次のステージへ行くのは間違いありません。
実際に、インテルやシェル石油のような世界的な企業が、MAANAを活用しています。

4. Fluid AI

Fluid AIは、インドのムンバイで2008年に2人の兄弟によって制作されたビジネス用の人工知能です。
ロールスロイスやボーダフォンなどを顧客に持ち、2012年にはニューヨークで行われたTechCrunch Disrupt Hackathonで入賞を果たした、注目のAIです。

Fluid AIはその「流動的なAI」という名前からも分かるように、特定の分野に縛られず、さまざまなところで活用することができます。
チャットボットはもちろん、ATMマネジメント、AI経由でのオートメーション、顔認識、クレジットカード限度額の自動設定、ビジネスにおける意思決定、配送予測、AIドリブンなマーケティングやセールスなどです。

Webサーバー経由で構築することもできるので、インストール不要で使うことができるのも魅力の一つです。

5. 3VR

3VRはVRという名前が付いていることからもお分かりの通り「ビデオインテリジェンス」と呼ばれる動画解析を専門とした人工知能ソリューションです。

3VRが得意なのは動画解析なので、例えば空港に取り付けられたカメラの画像を分析し、通り過ぎた人の顔からおおよその国籍や年齢、あるいは表情を読み取って不審な動きをしているかをリアルタイムに予測したり、インデックスを作成したりすることができます。

防犯分野ではもちろん、カスタマーサービスにも3VRは役立てられています。
顧客の顔からデータベースのデータを照合することができれば、来訪者が誰でどんな要件で来たのかもすぐに認識できるので、円滑にコミュニケーションを進める`ことができるのです。

3VRは、特別な専用器具を取り付けなくとも、すでに備え付けてあるカメラでもすぐにリアルタイム分析を行うことができるので、低コストである点も革命的です。
また、プライバシーやコンプライアンス対策のガイドランも作成しているので、安心して利用することもできます。

6. Automation Anywhere

Automation Anywhereは、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)と言われる物理ロボットを使った人工知能ソリューションです。
具体的には、物流などの現場で、自動化されたロボットをAutomation Anywhereが監視する形で動かしています。

人間が行なっていた物理的な作業を機械に置き換えることができれば、ミスなく正確に、タイムロスなく、低コストで行うことができ、ほとんどの場合は高いROIが見込め、より生産的になると言います。
もちろん、ロボットを動かすだけではなく、機械学習機能を搭載しているので、荷物の量に応じた意思決定の手助けや分析なども行なってくれます。

Automation Anywhereもインストール不要でプラットフォーム非依存型なので、環境に縛られることなく運用を行うことが可能です。
また、サードパーティーのセキュリティー企業とタッグを組み、暗号化などを行なってセキュリティ対策も行なっています。

7. Yseop

Yseop(「イージーオプ」と読みます)は、自然言語生成(NLG)ソリューションです。

Yseop Composeと呼ばれるAIソフトウェアは、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語に対応しており、大量のデータを要約したり、契約書を書いたり、問題に対するアドバイスを書いたり、面白い台本を代わりに書いてもらったりすることができます。
また、他の分野を学習させることによって、ファイナンス分野ではファンドのレポートを作成したり、セールス分野ではクライアント向けの広告を代わりに作成してもらうことができます。

8. H2O.ai

H2Oは、スケーラブルなビッグデータを取り扱うことのできる機械学習を取り入れたAIです。
H2O自体はJavaで作成されており、さまざまなオープンソース製品と柔軟に統合することができます。

セットアップも非常に簡単で、慣れ親しんでいるWeb上のユーザーインターフェイスを使って簡単に設定することができます。
主に金融・保険・ヘルスケア業界で使われており、構築の自由度が高いので非常に人気なAIプラットフォームの一つです。

9. MATLAB

MATLABは、MathWorksが研究・開発を行なっている技術計算に特化したAIソリューションです。
世界の数百万という科学者や技術者がMATLABを使用して、さまざまなシステムや製品を解析・設計しています。

MATLABの強みは、工学や科学分野の問題解決に最適化されている点です。
行列ベースの言語を使用することで、非常に簡単に計算数学を表現することができます。
また、グラフィック処理にも長けており、データを簡単に可視化して把握することも可能です。

10. Sensory

Sensoryは1994年に創業されたニューラルネットワークを用いたソフトウェア企業で、音声認識に強みを持つ音声認識や音声合成技術AIを開発しています。
これらの音声合成技術は、GoogleやHuawei、JVCやSamsungなどのスマートフォンなどに利用されています。

手や他の身体を使わなくとも操作できる、人間の持つ最も自然なユーザーインターフェイスは「声」です。
Sensoryは発話によってさまざまな操作を行う研究を推し進めており、また声紋認識などを活用したセキュリティ面でも活用されています。